朝餉添えの贄

琴里 美海

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第参拾弐話

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 目を覚ました時、何処か分からない場所に寝かされていた。

「お目覚めですか?」
「!!」

 起き上がろうとしたけど、体が動かない。

「鴉さん、一体何が目的なんですか?」
「先程も言った通りですよ、貴方欲しいと。そしてお忘れですか?私は此処の神で、貴方は私に献上された生贄だと言う事を。」
「あ…………」

 そう言えばそうだった。

 私は生贄。朝餉に添えられる生贄。

「た、食べるんですか?」
「えぇ勿論、とは言ってもほんの少しだけですがね、貴方程美しい方を殺して食べるなんて勿体無いですからね。少し食べて、また首輪を付けて差し上げますからね。」
「!!あの、暁光さんは……………」
「あぁそう言えば居ましたねそんな方。」
「!!!」

 それって詰まり、鴉さんは最初からあの条件を守る気なんて無かったって事!?

「そ、そんな……………」

 言葉を失った。
 鴉さんは小さな刃物を取り出して私の足に近付けた。

「あぁそんなに怯えないでください。少しだけですから。」
「いッ!!」

 刃が脹脛に入ると血が流れた。
 少しだけ脚の肉を切られると、鴉さんは其の肉を食べた。すると凄い驚いた顔をして口に手を置いた。

「こんなに、こんなに美味しいなんて思っていなかった!!」
「うっ!い、いた……………」

 鴉さんが私の脚の傷に手を翳すと、傷が少しの時間を掛けて治った。

「さて、ではそろそろ。」
「!?」

 鴉さんの手が近付いて来ると、其の手には首輪らしき何かが握られていた。
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