28 / 42
第弐拾八話
しおりを挟む
あの煩い奴、環に文字とかを教わってから三日。恵風からは喋り方を教えてもらっていた。
「けーふー。」
「恵風ね。如何したの?」
今日も環から色々教わってるけど、今は休憩中。あ、あたいの休憩じゃなくて、環の休憩だ。あたいは体力には自信があるから、そんな休憩しなくて大丈夫だけど、教えてもらう側より、教える側の方が疲れるみたいだし、仕方ないか。
あたいはさっき書いた字が合っているか恵風に聞いた。恵風はあたいが書いた文字の線の一本一本をちゃんと見てから頷いた。
「うん大丈夫、ちゃんと合ってるよ。」
「そーか!!」
何も見ないで書けたから、正直凄く嬉しい。
「そう言えば炎陽ちゃん、如何して勉強したいと思ったの?」
突然そんな事を聞かれてあたいは驚いた。正直何て言ったら良いのか分からない。この考えとか、この気持ちとか、こう言うの母さんとか恵風とか環とか、ちゃんと色々分かってる奴等なら、すぐに言葉に出来るのかもしれない。
(あたい、まだ自分の事何にも分かってないから、少しでも知りたいから、その為には色々学ばないといけないと思ったんだ。)
「そっか、そんな風にちゃんと考えてたんだ。」
恵風はあたいの頭を撫でて来た。
(気安く撫でんな!!!)
あたいは恵風の手を思い切り叩いた。
「お待たせしました炎陽殿!!!」
環が戻ってくると、相変わらずの勢いで襖を開けて部屋に入って来た。どうだ、色々と物の名前を覚えたんだ。
「それで如何でしょうか炎陽殿、書けましたかな?」
「ん。」
あたいは字を書いた紙を環に見せた。環も恵風と同じように、ジッとあたいの書いた字を見てから笑顔で頷いた。
「ちゃんと書けております!!!では炎陽殿、ご自分のお名前と恵風殿のお名前、自力で書けるようになれましたな!!!」
「おう!!」
どうだ、あたいだってやれば出来るんだ。
それから環から色々な文字とか、道具の名前とか、そんな物を教えてもらった。
そう言えば此処数日、あたいは環から勉強を教わってるけど、母さんはそれに対して如何思っているんだろう。それに、実際の所母さんはあたいの事、今は如何思ってるんだろう。正直怖くて聞けずにいる。
気が付いたら外から夕暮れ時の太陽の光が差し込んで来ていた。
「あ、もうこんな時間。」
「では今日はこれにて終わりにいたしましょうか!!!炎陽殿、お疲れ様でございます!!!」
環は道具を片付けると、あたいと恵風を外まで案内して、そのまま森のすぐ近くまで送ってくれた。環の姿が見えなくなるまで、環はずっとあたいと恵風に手を振っていた。あれ腕疲れそうだな、とかそんな事を考えながら歩いて行った。
「けーふー。」
「恵風ね。如何したの?」
今日も環から色々教わってるけど、今は休憩中。あ、あたいの休憩じゃなくて、環の休憩だ。あたいは体力には自信があるから、そんな休憩しなくて大丈夫だけど、教えてもらう側より、教える側の方が疲れるみたいだし、仕方ないか。
あたいはさっき書いた字が合っているか恵風に聞いた。恵風はあたいが書いた文字の線の一本一本をちゃんと見てから頷いた。
「うん大丈夫、ちゃんと合ってるよ。」
「そーか!!」
何も見ないで書けたから、正直凄く嬉しい。
「そう言えば炎陽ちゃん、如何して勉強したいと思ったの?」
突然そんな事を聞かれてあたいは驚いた。正直何て言ったら良いのか分からない。この考えとか、この気持ちとか、こう言うの母さんとか恵風とか環とか、ちゃんと色々分かってる奴等なら、すぐに言葉に出来るのかもしれない。
(あたい、まだ自分の事何にも分かってないから、少しでも知りたいから、その為には色々学ばないといけないと思ったんだ。)
「そっか、そんな風にちゃんと考えてたんだ。」
恵風はあたいの頭を撫でて来た。
(気安く撫でんな!!!)
あたいは恵風の手を思い切り叩いた。
「お待たせしました炎陽殿!!!」
環が戻ってくると、相変わらずの勢いで襖を開けて部屋に入って来た。どうだ、色々と物の名前を覚えたんだ。
「それで如何でしょうか炎陽殿、書けましたかな?」
「ん。」
あたいは字を書いた紙を環に見せた。環も恵風と同じように、ジッとあたいの書いた字を見てから笑顔で頷いた。
「ちゃんと書けております!!!では炎陽殿、ご自分のお名前と恵風殿のお名前、自力で書けるようになれましたな!!!」
「おう!!」
どうだ、あたいだってやれば出来るんだ。
それから環から色々な文字とか、道具の名前とか、そんな物を教えてもらった。
そう言えば此処数日、あたいは環から勉強を教わってるけど、母さんはそれに対して如何思っているんだろう。それに、実際の所母さんはあたいの事、今は如何思ってるんだろう。正直怖くて聞けずにいる。
気が付いたら外から夕暮れ時の太陽の光が差し込んで来ていた。
「あ、もうこんな時間。」
「では今日はこれにて終わりにいたしましょうか!!!炎陽殿、お疲れ様でございます!!!」
環は道具を片付けると、あたいと恵風を外まで案内して、そのまま森のすぐ近くまで送ってくれた。環の姿が見えなくなるまで、環はずっとあたいと恵風に手を振っていた。あれ腕疲れそうだな、とかそんな事を考えながら歩いて行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる