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第参拾八話
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「なっ!!狼!!?」
母さんは人間達を薙ぎ倒しながらあたいの所まで走って来てくれた。
(炎陽、貴方の血の臭いがしたけど、何処を怪我したの。)
(ごめん、母さんに助けてもらう為にちょっと自分で指噛んだんだ。)
母さんはあたいの手を見た。右手の親指から血が滲み出ていて、大分深く噛んだから、血が地面に滴っている。だけどそれ以外は特に怪我をしていないから、母さんは安心した様子で、視線を人間達に移した。
(大きな怪我をしてないなら良かった。ほら、道を開けるから、その間に貴方はこの村から出なさい。)
そう言って人間達に飛び掛かると、その隙にあたいは紫蘭母さんを連れて走り出した。
森の中を走っていると、遠くの方で足音が聞こえる。今見付かると結構面倒だから、遠回りして行こう。
何とか時間を掛けて環達の村まで付くと、外の井戸で水を汲んでいた環に遭遇した。
「炎陽殿!!!…………と、まさか紫蘭殿!!?」
環は桶をその場に置いてあたいに駆け寄って来た。あたいは紫蘭母さんを環に託すと、環は驚いた顔をしていた。
「紫蘭殿…………こんなに痩せて……………兎に角家へ運びます!!!あ、恵風殿もおります故、炎陽殿もご一緒に!!!」
環が紫蘭母さんを抱えて環の家へ走ると、あたいは森の方を見た。
母さんに任せて、あたい一人逃げて良かったのか。それとも今すぐにでも戻るべきか。いや、戻ったらきっと母さんはこう言う筈だ、「私の事が頼りなかったの?」と。だから今あたいがする事は、母さんを信じる事だ。
あたいは環の家へ向かった。
母さんは人間達を薙ぎ倒しながらあたいの所まで走って来てくれた。
(炎陽、貴方の血の臭いがしたけど、何処を怪我したの。)
(ごめん、母さんに助けてもらう為にちょっと自分で指噛んだんだ。)
母さんはあたいの手を見た。右手の親指から血が滲み出ていて、大分深く噛んだから、血が地面に滴っている。だけどそれ以外は特に怪我をしていないから、母さんは安心した様子で、視線を人間達に移した。
(大きな怪我をしてないなら良かった。ほら、道を開けるから、その間に貴方はこの村から出なさい。)
そう言って人間達に飛び掛かると、その隙にあたいは紫蘭母さんを連れて走り出した。
森の中を走っていると、遠くの方で足音が聞こえる。今見付かると結構面倒だから、遠回りして行こう。
何とか時間を掛けて環達の村まで付くと、外の井戸で水を汲んでいた環に遭遇した。
「炎陽殿!!!…………と、まさか紫蘭殿!!?」
環は桶をその場に置いてあたいに駆け寄って来た。あたいは紫蘭母さんを環に託すと、環は驚いた顔をしていた。
「紫蘭殿…………こんなに痩せて……………兎に角家へ運びます!!!あ、恵風殿もおります故、炎陽殿もご一緒に!!!」
環が紫蘭母さんを抱えて環の家へ走ると、あたいは森の方を見た。
母さんに任せて、あたい一人逃げて良かったのか。それとも今すぐにでも戻るべきか。いや、戻ったらきっと母さんはこう言う筈だ、「私の事が頼りなかったの?」と。だから今あたいがする事は、母さんを信じる事だ。
あたいは環の家へ向かった。
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