11 / 42
第壱拾壱話
しおりを挟む
気が付くと外は雪景色で白く染まっている。
「寒い。」
私は毛布に包まって窓の外を見ていた。昔の私はこんな中頭から水をかけられて、裸足で歩いていたのだから、暁光さんに見付けてもらっていなかったら今頃どうなっていたのかとゾッとする。
寒いと思いながらも外の真っ白い景色が綺麗で暫く見ていた。
「?」
遠くから一羽の鳥が飛んで来た。
すぐ目の前に着地すると、少しずつ人の姿になって、私の知っている人の姿に変わった。
「鶴さん!」
暁光さんのお知り合いで、その中でも凄く綺麗な女の人。多分白鳥さんよりもずっと綺麗で、とっても格好良い人です。出来る事なら私も鶴さんの様な素敵な人に成りたい。
鶴さんは渡り鳥なので、冬時しかこの辺には来てくれないので、少し寂しいです。
「随分と久しぶりじゃのう。それにしても氷柱、そなた大分背が伸びた様じゃのう。」
「そうですかね。」
やっぱり自分自身の事は全くと言って良い程分かりません。でも暁光さんが殆ど毎日私の身長を測るので、一応伸びていると言う事は分かるんです。柱に背を当てて、頭のてっぺん辺りに刃物で傷を付けると言うやり方な為、柱が一本見事に傷だらけになってます。
「上がっても良いかえ?」
「はい。」
私はすぐに玄関の方へ行って戸を開けた。
「鶴さん。」
「うむ。」
鶴さんは玄関まで歩いて来て、肩に乗った雪を払い落して家の中入った。
すぐに居間まで案内して囲炉裏の火を点けて部屋の中を温めた。
私はすぐに鶴さんに座布団を差し出すと、鶴さんは座布団の上に正座した。
「それにしても暁光一人の時は随分と散らかっておったのに、そなたが来てから随分と片付いておるのう。」
「そうなんですか。」
最近お家の掃除は暁光さんと交代でやっているので、ほぼ毎日掃除している。毎日掃除しているのに汚れるなんて事は無いと思う。でも何が嬉しいって、今日掃除したのは私なので部屋が片付いていると言う言葉は普通に嬉しかった。
「あ、お茶飲みますか?」
「妾の事は構わんで良いぞ。」
そう言われると逆に入れようと思ってしまうので、まずお湯を沸かす事にした。
「そう言えば鶴さん、今日はどう言ったご用件でいらっしゃたんですか?」
「大した様ではないのじゃがのう。それよりも氷柱、そなた随分と敬語が上手くなった様じゃのう。勉強をしているのじゃな、感心じゃ。」
褒められて恥ずかしくなって私は視線を逸らした。確かに最近暁光さんにいろんな事を教えてもらっている。そもそもまず碌に字が読めないので、最初は字の勉強からなんですがね。
お湯が湧くと私はすぐにお茶を入れて鶴さんに出した。
「構わんで良いと言ったのに。」
「あ、いえ。」
雀さんにも特訓を兼ねて出したかったのに、暁光さんがすぐに連れて行ったり、それですぐに帰っちゃったりで出せなかったし、そもそも最近は雀さんが来ていない。
鶴さんはお茶を飲むと、そっと湯呑を置いた。
「結構なお手前で。」
「あ、いえそんな。」
「ふふふ、そんなに恥ずかしそうにするでない、からかいたくなるではないか。」
「からかわないでくださいよ。」
私がそう言うと鶴さんは笑った。
そう言えば鶴さんは今日はどんな用件で来たんだろう。
「そうじゃった、そう言えば今暁光はおるかのう。」
「暁光さんは少しお出掛けしてます。」
「そうか。ならまた時間を改めて来るとするかのう。」
「あ、いえ暁光さんが帰って来るまで居ても大丈夫です。」
「ならばその言葉に甘えるとするかのう。」
流石にせっかく来てくれたのに追い返すなんて事はしたくない。
「寒い。」
私は毛布に包まって窓の外を見ていた。昔の私はこんな中頭から水をかけられて、裸足で歩いていたのだから、暁光さんに見付けてもらっていなかったら今頃どうなっていたのかとゾッとする。
寒いと思いながらも外の真っ白い景色が綺麗で暫く見ていた。
「?」
遠くから一羽の鳥が飛んで来た。
すぐ目の前に着地すると、少しずつ人の姿になって、私の知っている人の姿に変わった。
「鶴さん!」
暁光さんのお知り合いで、その中でも凄く綺麗な女の人。多分白鳥さんよりもずっと綺麗で、とっても格好良い人です。出来る事なら私も鶴さんの様な素敵な人に成りたい。
鶴さんは渡り鳥なので、冬時しかこの辺には来てくれないので、少し寂しいです。
「随分と久しぶりじゃのう。それにしても氷柱、そなた大分背が伸びた様じゃのう。」
「そうですかね。」
やっぱり自分自身の事は全くと言って良い程分かりません。でも暁光さんが殆ど毎日私の身長を測るので、一応伸びていると言う事は分かるんです。柱に背を当てて、頭のてっぺん辺りに刃物で傷を付けると言うやり方な為、柱が一本見事に傷だらけになってます。
「上がっても良いかえ?」
「はい。」
私はすぐに玄関の方へ行って戸を開けた。
「鶴さん。」
「うむ。」
鶴さんは玄関まで歩いて来て、肩に乗った雪を払い落して家の中入った。
すぐに居間まで案内して囲炉裏の火を点けて部屋の中を温めた。
私はすぐに鶴さんに座布団を差し出すと、鶴さんは座布団の上に正座した。
「それにしても暁光一人の時は随分と散らかっておったのに、そなたが来てから随分と片付いておるのう。」
「そうなんですか。」
最近お家の掃除は暁光さんと交代でやっているので、ほぼ毎日掃除している。毎日掃除しているのに汚れるなんて事は無いと思う。でも何が嬉しいって、今日掃除したのは私なので部屋が片付いていると言う言葉は普通に嬉しかった。
「あ、お茶飲みますか?」
「妾の事は構わんで良いぞ。」
そう言われると逆に入れようと思ってしまうので、まずお湯を沸かす事にした。
「そう言えば鶴さん、今日はどう言ったご用件でいらっしゃたんですか?」
「大した様ではないのじゃがのう。それよりも氷柱、そなた随分と敬語が上手くなった様じゃのう。勉強をしているのじゃな、感心じゃ。」
褒められて恥ずかしくなって私は視線を逸らした。確かに最近暁光さんにいろんな事を教えてもらっている。そもそもまず碌に字が読めないので、最初は字の勉強からなんですがね。
お湯が湧くと私はすぐにお茶を入れて鶴さんに出した。
「構わんで良いと言ったのに。」
「あ、いえ。」
雀さんにも特訓を兼ねて出したかったのに、暁光さんがすぐに連れて行ったり、それですぐに帰っちゃったりで出せなかったし、そもそも最近は雀さんが来ていない。
鶴さんはお茶を飲むと、そっと湯呑を置いた。
「結構なお手前で。」
「あ、いえそんな。」
「ふふふ、そんなに恥ずかしそうにするでない、からかいたくなるではないか。」
「からかわないでくださいよ。」
私がそう言うと鶴さんは笑った。
そう言えば鶴さんは今日はどんな用件で来たんだろう。
「そうじゃった、そう言えば今暁光はおるかのう。」
「暁光さんは少しお出掛けしてます。」
「そうか。ならまた時間を改めて来るとするかのう。」
「あ、いえ暁光さんが帰って来るまで居ても大丈夫です。」
「ならばその言葉に甘えるとするかのう。」
流石にせっかく来てくれたのに追い返すなんて事はしたくない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる