黎明の天泣

第参拾壱話

　暁光の家に案内されると、何故か凝視された。

「な、何っすか。」
「いや、大分ボロボロな服着てんなって思って。」
「大きなお世話っす。」
「……………ちょっと待ってな。」

　そう言って暁光は家の奥へ行くと、暫くして真新しい服を持って戻って来た。

「ほれ、これやるから着ろ。」

　そう言ってあっしに押しつけると、暁光は後ろを向いた。あ、これわざわざ見ない様にしてくれてるっす。
　取り合えず心遣いに感謝しながら、あっしは服を着替えた。若干大きい気がするっすが、その辺はまぁ気にしないっす。元々体が小さいんで仕方が無いっす。

「着替えたか?」
「あ、はいっす。」

　暁光は振り返ると、服、主に袖を見た。

「ちょっと大きかったな。」
「大丈夫っす。」

　とは言いつつも、少し長い事には変わりなかったんで、暁光は袖を折ってくれた。この人何だかんだ面倒見良いっすね。
　御主人の所から引っ張り出してくれて、本当に感謝してるっす。だから何か恩返しがしたいと思って、暁光にその思いを伝える事にしたっす。

「暁光。」
「あ?何だ?」
「あっし、暁光にお礼がしたいっす。何をしたら良いっすか?」
「別にんな事しなくて良いんだけどな。」

　そうは言われても、何もしないのは流石にちょっと。
　暁光は腕を組んで考え事をすると、何か思い付いたのか大きく頷いた。

「じゃあお前あれだ、情報屋やれ。」
「情報屋っすか?」
「あぁ、頼まれたり行きたいと思った場所に行って情報を集めて取引する仕事だ。自由な仕事だ。」

　自由と言う言葉にあっしは反応した。

　それからあっしは暁光の言う通りに情報屋の仕事を始めた。