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第参拾弐話
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「と、まぁそんな事があったんっす。とは言っても契約書があるんで結局今の状況っすけどね。」
話し終えてあっしは少し疲れて大きく息を吐いた。氷柱さんは特に何も言わず、唯あっしの事を見続けていた。
「暁光さんがそんな事を。」
「そうっすよ、案外皆の恩人なんっす。」
正直鳩や姉さんとはどう出会って何があったかは知らないっすけど、けど恩を感じてるから傍に居るんっす。それに、今のあっしにとっての居場所は、やっぱり暁光の所っすから。其処に居たいと思ったから。
「それにしても結構話したっすね。」
小さな窓からは外が見えて、外は見事に夜になっていたっす。とは言っても元々時間は昼過ぎだったんで、このくらいっすかね。まず今冬っすから。
「雀さんは、暁光さんに出会えて良かったと思っていますか?」
「そりゃ勿論っすよ。まぁよく焼き鳥にするって言われるっすけど。」
其れが本心じゃ無い事、唯あっしで遊んでるって事も、勿論ちゃんと分かってるっすからね。
それにしても氷柱さんはこのまま此処に居続けて良いんっすかね。主に暁光が理由っすけど。
「あの氷柱さん、やっぱり此処から出たいっすよね。」
「えっと、それはその、勿論そうなんですけど、雀さんと鶴さんも一緒じゃないと、私は此処から出たくないです。」
そう言われてあっしは驚き過ぎて何も言えなかった。普通の子供ならこんな状況すぐにでも逃げた出したいと思う筈なのに、氷柱さんからはそんな思いは一切感じられなかったっす。それどころか、今の言葉が本心だと言わんばかりにあっしの目を真剣に見つめていたっす。
足音が下の方で聞こえるとあっしは慌てて下に降りた。其処にはやっぱり御主人が立っていたっす。
「御主人、何の御用っすか?」
「仕事以外に何があるのよ。」
まぁそうなんっすけどね。
御主人は辺りを見回すと首を傾げた。
「あの飼い犬は?」
「か、飼い犬って何っすか?」
「あの白い髪に青い目の奴。」
「氷柱さんは別に暁光の飼い犬じゃないっすよ!!」
そう言うと御主人はギロリとあっしを睨んだ。そりゃまぁ睨むっすよね、あっしが慣れ慣れしく暁光の名前を呼べば、そりゃ御主人は機嫌を悪くするっすよね。それに睨まれて良かったかもしれないっす。だって今危うく氷柱さんは暁光の想い人だって言いそうになったっすから。
御主人はあっしに紙の束を渡すと、舌打ちをして部屋を出て行った。特に暴力を振るわれず、あっしは安心して大きく息を吐きながらその場にへたり込んだ。
一応確認の為に上へ昇ると、氷柱さんは小刻みに震えていた。
「氷柱さん?どうかしたっすか?」
「あ、雀さん。あの、ちょっとだけ寒くて。」
「あ!!配慮してなかったっす!!!」
押入れの布団を勝手に引っ張って氷柱さんに差し出した。
「これに包まっててくださいっす。」
「勝手に使って良いんですか?」
「勿論っすよ。」
氷柱さんに風なんて引いてほしくないっすからね。
「じゃああっしは仕事に行くんで、ちょっと出掛けるっす。」
「あ、はい。雀さん、お気を付けて。」
心配そうな顔をする氷柱さんを安心させる為に、あっしは笑って館を出発した。
話し終えてあっしは少し疲れて大きく息を吐いた。氷柱さんは特に何も言わず、唯あっしの事を見続けていた。
「暁光さんがそんな事を。」
「そうっすよ、案外皆の恩人なんっす。」
正直鳩や姉さんとはどう出会って何があったかは知らないっすけど、けど恩を感じてるから傍に居るんっす。それに、今のあっしにとっての居場所は、やっぱり暁光の所っすから。其処に居たいと思ったから。
「それにしても結構話したっすね。」
小さな窓からは外が見えて、外は見事に夜になっていたっす。とは言っても元々時間は昼過ぎだったんで、このくらいっすかね。まず今冬っすから。
「雀さんは、暁光さんに出会えて良かったと思っていますか?」
「そりゃ勿論っすよ。まぁよく焼き鳥にするって言われるっすけど。」
其れが本心じゃ無い事、唯あっしで遊んでるって事も、勿論ちゃんと分かってるっすからね。
それにしても氷柱さんはこのまま此処に居続けて良いんっすかね。主に暁光が理由っすけど。
「あの氷柱さん、やっぱり此処から出たいっすよね。」
「えっと、それはその、勿論そうなんですけど、雀さんと鶴さんも一緒じゃないと、私は此処から出たくないです。」
そう言われてあっしは驚き過ぎて何も言えなかった。普通の子供ならこんな状況すぐにでも逃げた出したいと思う筈なのに、氷柱さんからはそんな思いは一切感じられなかったっす。それどころか、今の言葉が本心だと言わんばかりにあっしの目を真剣に見つめていたっす。
足音が下の方で聞こえるとあっしは慌てて下に降りた。其処にはやっぱり御主人が立っていたっす。
「御主人、何の御用っすか?」
「仕事以外に何があるのよ。」
まぁそうなんっすけどね。
御主人は辺りを見回すと首を傾げた。
「あの飼い犬は?」
「か、飼い犬って何っすか?」
「あの白い髪に青い目の奴。」
「氷柱さんは別に暁光の飼い犬じゃないっすよ!!」
そう言うと御主人はギロリとあっしを睨んだ。そりゃまぁ睨むっすよね、あっしが慣れ慣れしく暁光の名前を呼べば、そりゃ御主人は機嫌を悪くするっすよね。それに睨まれて良かったかもしれないっす。だって今危うく氷柱さんは暁光の想い人だって言いそうになったっすから。
御主人はあっしに紙の束を渡すと、舌打ちをして部屋を出て行った。特に暴力を振るわれず、あっしは安心して大きく息を吐きながらその場にへたり込んだ。
一応確認の為に上へ昇ると、氷柱さんは小刻みに震えていた。
「氷柱さん?どうかしたっすか?」
「あ、雀さん。あの、ちょっとだけ寒くて。」
「あ!!配慮してなかったっす!!!」
押入れの布団を勝手に引っ張って氷柱さんに差し出した。
「これに包まっててくださいっす。」
「勝手に使って良いんですか?」
「勿論っすよ。」
氷柱さんに風なんて引いてほしくないっすからね。
「じゃああっしは仕事に行くんで、ちょっと出掛けるっす。」
「あ、はい。雀さん、お気を付けて。」
心配そうな顔をする氷柱さんを安心させる為に、あっしは笑って館を出発した。
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