黎明の天泣

第参拾七話

「氷柱さん!!氷柱さん何処っすか!?」

　あ、今雀さんの声が聞こえた様な。気のせいかな。だって雀さんさっきお仕事に行ってしまったから、そんなすぐには帰って来ないよね。
　私は今御屋敷の中を歩き回っている。理由としては一体何が起きているのかを確認したかったんだけど、歩いて見える物は誰か知らない人が沢山倒れてる景色だけだった。

「えっと、本当に一体何が……………」

　これは本当に適当には歩かない方が良いんじゃないのかな。
　取り合えず私はさっきまでいた部屋に戻ろうと思ったけど、特に目印を見付ける事無く歩いていたせいで見事に迷子になってしまった。

「えっと、此処何処だろう。」

　迷子迷子、と呟きながら私は廊下を歩いていた。せめて何か分かりやすい物があればそれなりに迷う事無く移動が出来るのに、分かりやすい物が無いせいで如何したら良いのか分からない。

「えっと、鶴さーん。」
「氷柱の声が聞こえる!!!!」
「え、暁光さん?」

　もしも本当に暁光さんなら、さっきから起きている事の原因は暁光さんと言う事なのかな。
　凄まじい足音が聞こえると、相手が暁光さんと分かっていても流石に怖くて私はその辺に隠れた。いや、隠れる必要なんて無いのに、暁光さんが怖くて仕方が無い。
　暁光さんが目の前を走って行くと、私はひょこりと顔を出して暁光さんが向かった方へ歩いて行った。

（何時も通りの感じなら、普通に暁光さんに会えるのに。）

　今の暁光さん怖い。

　暫く歩いていると、やっと最初にいた部屋に辿り着いた。だけど部屋の中には鶴さんの姿は見えなかった。多分鶴さんはあまりにも私か戻って来ない事に痺れを切らして何処かへ行ってしまったんだと思う。
　それにしても元々私は部屋の中で大人しくしていようと思っていたのに、ちょっとした好奇心で出掛けてしまったので、見事に余計な事をしてしまった感じが。
　取り合えず今は暁光さんを探そう。

　それにしてもこのお屋敷とても広い。多分、恐らく、きっと、可能性としてはとても高い確率で再び迷子です。如何しよう、やっぱりあの時普通に暁光さんと合流しておけば良かった。
　取り合えずそうだ、叫び声の聞こえる方へ行こう。