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Episode8 Whereabouts of the handgun(拳銃の行方)
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しおりを挟む――そして、江里子の自宅を訪ねてから数日後のこと。
江里子が、貧困児童や介護の支援をしている法人団体に遺産の大半を寄付したことを、事務所に送られてきた手紙で知った。ほんの一部のお金は、介護福祉士の資格を取得するための学費に充てさせてもらったらしい。
祖父の面倒を見ているうちに、介護士として働きたいという新たな夢もできたようだ。
「鈴木さん、よかったね。事件も無事に解決したわけだし」
千晴は朗らかに笑いながら、淹れたての珈琲を一口啜った。
対する玲衣夜の表情は、何だか腑に落ちていないような、気難し気な表情をしている。
「玲衣さん、何か気になることでもあるの?」
「うーん……あの男を送り届けた交番から連絡がきたのだけど、あの男、拳銃を所持していたらしくてね」
「……え!? 発砲音って、嘘の話じゃなかったの?」
「私も気になるから、色々話を聞きたいと思ったのだけれど……あとはこちらで対処すると言われてしまってね」
玲衣夜の顔には“納得いかない”とデカデカ書かれている。不完全燃焼といった様子でダランと腕を脱力させて、ソファに凭れた。
「でもまぁ、大事になる前に警察に引き渡すことができたんだし、よかったんじゃない?」
「まぁ、それはそうなんだけどね……」
玲衣夜はクリーム色の天井をぼうっと見つめながら、考える。
(しかし、拳銃なんてそう簡単に入手できないはずだけれど……あの男はいったい何処で手に入れたのだろう)
訝しく思いながらも、介入できないことに対して、玲衣夜は歯がゆさを覚える。
こうして、少しの謎を残しながらも、今回の事件は無事に解決という形で落ち着いたのだった。
***
警視庁内にて。会議室に向かうべく、男二人は肩を並べて歩いていた。
「玲衣夜が、拳銃を所持していた男を捕まえてたらしいぞ」
「……あいつが?」
「あぁ。つくづく巻き込まれ体質の奴だよなぁ」
藤堂はクツクツ笑いながらも、その瞳の奥は、獲物を狙う鷹のような鋭さを秘めている。
「だがこれで、その男から話を聞き出すことができれば……拳銃の流出ルートが分かんだろ」
「……そうですね」
藤堂も理もそれ以上言葉を交わすことなく、黙って歩き続ける。そして同時に、似たようなことを考えていた。
――もしかしたら、警察内部に裏切り者がいるかもしれない。
そんな懸念を抱きながらも、仲間内に悪行を働くような不逞な奴がいるなど、信じたくはなくて。現時点ではまだ低い可能性を、あえて口にすることはしなかったのだ。
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