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1章:異世界転生とゴブリンの群れ
7:異世界人
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「ほう、異世界人か」
「なんだ、案外驚かないんだな」
「いや驚いておるよ、異世界人が来るなんて、滅多にないからの」
俺の発言を聞いても、ほとんど反応を示さなかった。少しすると顎に手をあて考えるような姿勢をとる伯爵。
「滅多にないってことは、これまでに何回か事例があるのか?」
「あるぞ、つい最近耳にしたな、セイン王国が魔王を討伐するために勇者を召喚したと、貴様がその勇者か?」
そんなことを言いながらニヤニヤしている。
そんな話は知らない。セイン王国? 勇者召喚? 魔王? 俺はどれも聞いたことがない。
俺はヘンテコ神様に呼ばれてここにきて、世界を見て回ることが目的だ。勇者は俺じゃない。
伯爵は、俺をその勇者と勘違いしているのか?
「違うぞ」
「なんだ違うのか」
それでもなおニヤニヤし続ける伯爵。なんで誤解が解けたはずなのに笑ってるんだよ。いやな予感しかしない。
「それはそうと、小僧。なぜ、わしに嘘が通じないと分かった?」
「言い間違えるなよ? あんたにじゃなくて、そこの秘書に嘘が通じないんだろ?」
そういって俺の後ろに立っている秘書に対して親指を向ける。秘書が出てきたときに、エルがスキルの発動を感知してたし、あまりにもティナの言うことを信じるのが早かった。
「なかなかに頭のまわる小僧じゃ」
「小僧じゃない、月影悠だ」
「一応は身内を助けてくれてしかも、これからティナの主となるのに、確かに小僧扱いは、だめじゃの。ツキカゲ殿か、それともユウ殿か?」
流石に小僧呼ばわりは癇に障る。早々に訂正してくれて助かる。
「そうかこっちだと逆だったな。ユウ・ツキカゲ、ツキカゲが家名だ。あと殿はいらない。堅苦しいのは嫌いなんだ」
「わかった。ツキカゲよ、わしも堅苦しいのは嫌いじゃからな」
こうして伯爵と話している間ティナはというと、俺が異世界人だと分かってから、どこか納得した表情を浮かべたかと思うと、伯爵から勇者という単語を聞き、少し頬を赤く染めたかと思えば、それを否定されて、少し、しょんぼりした顔をする。
まったく表情豊かでいいことだ。すごく撫でたくなる。
俺がそっと手を伸ばそうとしたとき、伯爵がいいタイミングで話を始める。
「ツキカゲよ、ティナを連れて行くにあたって、お前の実力が見たい。盗賊を一人で倒したのを疑っているわけではないがな、わし自身の目で確かめたい。だが、ここまで来るのに疲れただろう。ゆっくり休め、二日後お前の実力はからせてもらう。それで問題なければティナを任せよう」
「伯爵、いったい何を言って……」
伯爵がいきなり、俺と戦うと言い出しそれに困惑するティナ、すぐに立ち上がり伯爵に問おうとするティナを、俺は手を引っ張り無理やり座らせる。
そんな俺に、むっとした表情をこちらに向けるが、気にしない。こうなることはあらかじめ予想はついていた。
それはそうだろう。いきなり現れた異世界人に身内を任せれるかと言ったら無理だろう。しかも、この世界は盗賊もいるわ、魔物は出るわ、さっきは流したけど魔王がいるとも聞いたな。そんな危険が絶えない世界で身内を任せるのだ。実力を試したくもなるだろう。俺が伯爵の立場でもそうする。
まぁ、ティナを連れていかなければいい話かもしれないが、ティナは俺についてくると言ったし、俺はそれを認めた。
俺は一度決めたことは曲げないようにしている。だから、俺は伯爵と戦い、堂々とティナを連れていく!
だが、俺はその前に頼まなければいけないことがあった。それは何か、もちろんお金だ。今の俺は無一文だからな。
「わかった、二日後だな。俺たちは今から宿を探す、そこで頼みがある。明日俺たちは必要なものをそろえに町を見て回る。そこでギルド登録をしに行くんだが、俺は異世界人こっちの金は持ち合わせがない。金をもらうためにティナを助けたわけではないが、少し恵んでほしい」
「それぐらい構わん、助けてもらったのだ対価を要求するのは当然。こうして護衛の遺品も持ち帰ってもらった。報酬はそうだな。お金とギルド、宿の紹介状を渡そう」
「すまない助かる」
俺はこの町の宿への紹介状と、お金の入った袋を受け取り。ティナと一緒に館を後にする。館を出たとき、日はもう落ちかけていた。
「なんだ、案外驚かないんだな」
「いや驚いておるよ、異世界人が来るなんて、滅多にないからの」
俺の発言を聞いても、ほとんど反応を示さなかった。少しすると顎に手をあて考えるような姿勢をとる伯爵。
「滅多にないってことは、これまでに何回か事例があるのか?」
「あるぞ、つい最近耳にしたな、セイン王国が魔王を討伐するために勇者を召喚したと、貴様がその勇者か?」
そんなことを言いながらニヤニヤしている。
そんな話は知らない。セイン王国? 勇者召喚? 魔王? 俺はどれも聞いたことがない。
俺はヘンテコ神様に呼ばれてここにきて、世界を見て回ることが目的だ。勇者は俺じゃない。
伯爵は、俺をその勇者と勘違いしているのか?
「違うぞ」
「なんだ違うのか」
それでもなおニヤニヤし続ける伯爵。なんで誤解が解けたはずなのに笑ってるんだよ。いやな予感しかしない。
「それはそうと、小僧。なぜ、わしに嘘が通じないと分かった?」
「言い間違えるなよ? あんたにじゃなくて、そこの秘書に嘘が通じないんだろ?」
そういって俺の後ろに立っている秘書に対して親指を向ける。秘書が出てきたときに、エルがスキルの発動を感知してたし、あまりにもティナの言うことを信じるのが早かった。
「なかなかに頭のまわる小僧じゃ」
「小僧じゃない、月影悠だ」
「一応は身内を助けてくれてしかも、これからティナの主となるのに、確かに小僧扱いは、だめじゃの。ツキカゲ殿か、それともユウ殿か?」
流石に小僧呼ばわりは癇に障る。早々に訂正してくれて助かる。
「そうかこっちだと逆だったな。ユウ・ツキカゲ、ツキカゲが家名だ。あと殿はいらない。堅苦しいのは嫌いなんだ」
「わかった。ツキカゲよ、わしも堅苦しいのは嫌いじゃからな」
こうして伯爵と話している間ティナはというと、俺が異世界人だと分かってから、どこか納得した表情を浮かべたかと思うと、伯爵から勇者という単語を聞き、少し頬を赤く染めたかと思えば、それを否定されて、少し、しょんぼりした顔をする。
まったく表情豊かでいいことだ。すごく撫でたくなる。
俺がそっと手を伸ばそうとしたとき、伯爵がいいタイミングで話を始める。
「ツキカゲよ、ティナを連れて行くにあたって、お前の実力が見たい。盗賊を一人で倒したのを疑っているわけではないがな、わし自身の目で確かめたい。だが、ここまで来るのに疲れただろう。ゆっくり休め、二日後お前の実力はからせてもらう。それで問題なければティナを任せよう」
「伯爵、いったい何を言って……」
伯爵がいきなり、俺と戦うと言い出しそれに困惑するティナ、すぐに立ち上がり伯爵に問おうとするティナを、俺は手を引っ張り無理やり座らせる。
そんな俺に、むっとした表情をこちらに向けるが、気にしない。こうなることはあらかじめ予想はついていた。
それはそうだろう。いきなり現れた異世界人に身内を任せれるかと言ったら無理だろう。しかも、この世界は盗賊もいるわ、魔物は出るわ、さっきは流したけど魔王がいるとも聞いたな。そんな危険が絶えない世界で身内を任せるのだ。実力を試したくもなるだろう。俺が伯爵の立場でもそうする。
まぁ、ティナを連れていかなければいい話かもしれないが、ティナは俺についてくると言ったし、俺はそれを認めた。
俺は一度決めたことは曲げないようにしている。だから、俺は伯爵と戦い、堂々とティナを連れていく!
だが、俺はその前に頼まなければいけないことがあった。それは何か、もちろんお金だ。今の俺は無一文だからな。
「わかった、二日後だな。俺たちは今から宿を探す、そこで頼みがある。明日俺たちは必要なものをそろえに町を見て回る。そこでギルド登録をしに行くんだが、俺は異世界人こっちの金は持ち合わせがない。金をもらうためにティナを助けたわけではないが、少し恵んでほしい」
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