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1章:異世界転生とゴブリンの群れ
24:終結。
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「な、なんだこの膨大な魔力は」
「おそらく、竜種が確認されたあたりからだと思われます」
真っ先に反応したのは、伯爵だった。ある程度の魔力の大きさを図れる伯爵だが、ツキカゲの魔力は測れなかった。黒霧のコートの隠蔽効果だが、それでも分かった、この魔力がツキカゲのものだと。
「まったく、あやつはどこまで力を秘めているのやら」
◆◇◆
「なんかすごい、力が湧いて来るけど、これ何分持つんだ……」
“今のユウちゃんの実力じゃ、持って7.8分ってとこじゃない?”
黒い魔力を纏い、黒竜と向き合っている状況だが、俺はこの黒い魔力を制御できていない。
今はとりあえずエルに任せておいた解析の結果を聞いておこう。
「エル、解析結果は? 」
《はい、背中に小さい杭が刺さっています。それに呪いの類の魔法がかかっています。それが狂乱の原因かと》
「了解。ムラクモは大丈夫? 」
〝ん、よゆう〟
「ヨリヒメは、まぁ大丈夫そうだね」
“ボクは心配いらないよ”
「じゃあ、あのじゃじゃ馬を助けるか」
黒竜に向かって歩き出す。杭をどう取るか問題だが、少しは無力化しないといけない。いくら魔力や身体能力が上がったからと言って、油断は出来ない。
「ガアァァァァ」
黒竜の咆哮が鳴り響く、それと同時に黒竜の口には火がともっていた。咆哮が終わると同時に放たれたブレスは地面を伝うようにして迫ってくる。軽くジャンプしてそれを躱した。ただ、黒鬼の衣は身体能力を大幅にアップさせる。軽くジャンプしただけでも黒竜の頭の位置まで飛び上がる。
「力加減が難しいな」
だが、今回の目的は殺すことではない。背中の杭を抜き、狂乱状態から解き放つことだ。この作戦をすると決めてから、エルに頼んでいたことがある。まぁ、ただの気まぐれだけど。
(エル、あれ関係のスキルって手に入りそう? )
《はい、条件は満たせそうですので大丈夫かと》
爪、踏みつけ、噛み付き、尻尾その攻撃全てを回避していく。ただ時間もあまりない。
次の振り下ろされる爪に合わせて、行動に出ることにしよう。
『妖術:影炎』
幻影を残し、黒竜の背後へ。動きを止めるための魔法を使う。
『黒影縛鎖』
黒い鎖は黒竜へと巻き付きその動きを止める。このうちにもう一つの厄介ごとを片付ける。それはまだ周りにいるゴブリン共だ。ティナはヘイルの治療に専念しているだろうから、今のうちに排除してしまおう。
空間把握を使い、ゴブリンの位置を把握する。その位置に向かって魔法を放つ。勿論、エルが新しく取得したスキル・魔法についてもすでに把握済みだ。無詠唱っていうスキルに一番驚いた。消費魔力は詠唱の時よりも少し多くなるが、詠唱を必要とせず、即座に発動できるものだ。
『黒槍』
『火球』
『黒炎』
新しく使ったスキルに感動しつつ、魔法が着弾するのを確認してから、また空間把握を使い、ゴブリンの生存を確かめる。
「よし、排除完了」
黒竜は鎖から出れずにもがいていた。結構な魔力を注いで作った鎖だ。そう簡単に敗れては困る。俺はもがき暴れる、黒竜の背中に飛び乗り、意思疎通のスキルを発動させる。
(聞こえるか?)
誰に向かって話しているのか? それは勿論、黒竜に向かってだ。狂乱状態でも意思疎通はできるだろう。そう思って声をかけたのだ。エルから意思があることは聞いている。
(だ、だれ?)
その声は、ムラクモやヨリヒメよりさらに幼い声だった。
(俺はユウ、おまえは?)
(名前はないの。)
(そうか、じゃあ。お前はここを襲う気があるか?)
(な、ないの!けど勝手に体が動いちゃうの)
だらうな、狂乱状態だし。まぁ、襲う気がないのなら、助けてやれる。確認は大事だ。だから念のため確かめる。
(助かりたいか?)
(うん!)
(分かった、じゃあ、少し待ってろ)
背中にあるといっていた杭は、尻尾の付け根より上に刺さっていた。しかも何気にでかい。
《あれにかかっている魔法は呪術を使用したものだと確認。》
誰が根源だ。まったく面倒なことをしてくれる。
「ヨリヒメ。黒鬼ノ衣はあと何分持つ? 」
“んーあと1分かな”
「じゃあ持たせなくていいから、あれを引き抜くために力使ってくれる?」
“りょーかい”
今回は斬るのではだめだ。引き抜かなければならない。
「じゃあ行くぞ!」
杭を両腕で抱えるように持ち、それに合わせて黒い魔力も無理やり腕に集める。
“ほい、ブースト”
ヨリヒメの声と共に力を込める。すると、杭は意外にあっさりと抜けてしまった。これをこのまま残しておくわけにはいかないので、とりあえず破壊する。
俺は杭を空中へと放り投げ、魔法を発動させる。もう俺の周りに、黒い魔力はない。
『黒炎』
杭は跡形もなく破壊された。黒竜の動きも止まり、黒影縛鎖も解く。勿論、鎖を解いても黒竜は動く気配はない。
“ごめん、ボク疲れたから少し休むね”
「あぁ、お疲れ様。ヨリヒメ、ありがとうな」
俺は黒竜の背中から飛び降り、黒竜と向き合う。そして、また意思疎通のスキルを使う。
(で、お前これからどうするんだ? )
(え? 助かった、なの?)
(あぁ、もうお前は自由だぞ)
(でも、行くとこないの)
(じゃあ、俺と一緒に来るか? )
元々どこも行く当てがないのならそういうつもりだった。そのためにエルにお願いしていたのだ。
(え? いいの? )
(俺はいいぞ? お前がよければだけどな)
(分かった付いていくの。だから……名前を付けてなの)
「わかった、エル。頼む」
《条件を満たしました。スキルを獲得します。スキル:テイムを獲得しました》
名前か、あんまりそういうセンスはないんだが。ふと頭に浮かんだものを使うか、
「じゃあ、一緒に来い。"ノワール"」
「うん! ご主人様」
こうして、大規模なゴブリン襲撃と黒竜襲来が終わったのだった。
「おそらく、竜種が確認されたあたりからだと思われます」
真っ先に反応したのは、伯爵だった。ある程度の魔力の大きさを図れる伯爵だが、ツキカゲの魔力は測れなかった。黒霧のコートの隠蔽効果だが、それでも分かった、この魔力がツキカゲのものだと。
「まったく、あやつはどこまで力を秘めているのやら」
◆◇◆
「なんかすごい、力が湧いて来るけど、これ何分持つんだ……」
“今のユウちゃんの実力じゃ、持って7.8分ってとこじゃない?”
黒い魔力を纏い、黒竜と向き合っている状況だが、俺はこの黒い魔力を制御できていない。
今はとりあえずエルに任せておいた解析の結果を聞いておこう。
「エル、解析結果は? 」
《はい、背中に小さい杭が刺さっています。それに呪いの類の魔法がかかっています。それが狂乱の原因かと》
「了解。ムラクモは大丈夫? 」
〝ん、よゆう〟
「ヨリヒメは、まぁ大丈夫そうだね」
“ボクは心配いらないよ”
「じゃあ、あのじゃじゃ馬を助けるか」
黒竜に向かって歩き出す。杭をどう取るか問題だが、少しは無力化しないといけない。いくら魔力や身体能力が上がったからと言って、油断は出来ない。
「ガアァァァァ」
黒竜の咆哮が鳴り響く、それと同時に黒竜の口には火がともっていた。咆哮が終わると同時に放たれたブレスは地面を伝うようにして迫ってくる。軽くジャンプしてそれを躱した。ただ、黒鬼の衣は身体能力を大幅にアップさせる。軽くジャンプしただけでも黒竜の頭の位置まで飛び上がる。
「力加減が難しいな」
だが、今回の目的は殺すことではない。背中の杭を抜き、狂乱状態から解き放つことだ。この作戦をすると決めてから、エルに頼んでいたことがある。まぁ、ただの気まぐれだけど。
(エル、あれ関係のスキルって手に入りそう? )
《はい、条件は満たせそうですので大丈夫かと》
爪、踏みつけ、噛み付き、尻尾その攻撃全てを回避していく。ただ時間もあまりない。
次の振り下ろされる爪に合わせて、行動に出ることにしよう。
『妖術:影炎』
幻影を残し、黒竜の背後へ。動きを止めるための魔法を使う。
『黒影縛鎖』
黒い鎖は黒竜へと巻き付きその動きを止める。このうちにもう一つの厄介ごとを片付ける。それはまだ周りにいるゴブリン共だ。ティナはヘイルの治療に専念しているだろうから、今のうちに排除してしまおう。
空間把握を使い、ゴブリンの位置を把握する。その位置に向かって魔法を放つ。勿論、エルが新しく取得したスキル・魔法についてもすでに把握済みだ。無詠唱っていうスキルに一番驚いた。消費魔力は詠唱の時よりも少し多くなるが、詠唱を必要とせず、即座に発動できるものだ。
『黒槍』
『火球』
『黒炎』
新しく使ったスキルに感動しつつ、魔法が着弾するのを確認してから、また空間把握を使い、ゴブリンの生存を確かめる。
「よし、排除完了」
黒竜は鎖から出れずにもがいていた。結構な魔力を注いで作った鎖だ。そう簡単に敗れては困る。俺はもがき暴れる、黒竜の背中に飛び乗り、意思疎通のスキルを発動させる。
(聞こえるか?)
誰に向かって話しているのか? それは勿論、黒竜に向かってだ。狂乱状態でも意思疎通はできるだろう。そう思って声をかけたのだ。エルから意思があることは聞いている。
(だ、だれ?)
その声は、ムラクモやヨリヒメよりさらに幼い声だった。
(俺はユウ、おまえは?)
(名前はないの。)
(そうか、じゃあ。お前はここを襲う気があるか?)
(な、ないの!けど勝手に体が動いちゃうの)
だらうな、狂乱状態だし。まぁ、襲う気がないのなら、助けてやれる。確認は大事だ。だから念のため確かめる。
(助かりたいか?)
(うん!)
(分かった、じゃあ、少し待ってろ)
背中にあるといっていた杭は、尻尾の付け根より上に刺さっていた。しかも何気にでかい。
《あれにかかっている魔法は呪術を使用したものだと確認。》
誰が根源だ。まったく面倒なことをしてくれる。
「ヨリヒメ。黒鬼ノ衣はあと何分持つ? 」
“んーあと1分かな”
「じゃあ持たせなくていいから、あれを引き抜くために力使ってくれる?」
“りょーかい”
今回は斬るのではだめだ。引き抜かなければならない。
「じゃあ行くぞ!」
杭を両腕で抱えるように持ち、それに合わせて黒い魔力も無理やり腕に集める。
“ほい、ブースト”
ヨリヒメの声と共に力を込める。すると、杭は意外にあっさりと抜けてしまった。これをこのまま残しておくわけにはいかないので、とりあえず破壊する。
俺は杭を空中へと放り投げ、魔法を発動させる。もう俺の周りに、黒い魔力はない。
『黒炎』
杭は跡形もなく破壊された。黒竜の動きも止まり、黒影縛鎖も解く。勿論、鎖を解いても黒竜は動く気配はない。
“ごめん、ボク疲れたから少し休むね”
「あぁ、お疲れ様。ヨリヒメ、ありがとうな」
俺は黒竜の背中から飛び降り、黒竜と向き合う。そして、また意思疎通のスキルを使う。
(で、お前これからどうするんだ? )
(え? 助かった、なの?)
(あぁ、もうお前は自由だぞ)
(でも、行くとこないの)
(じゃあ、俺と一緒に来るか? )
元々どこも行く当てがないのならそういうつもりだった。そのためにエルにお願いしていたのだ。
(え? いいの? )
(俺はいいぞ? お前がよければだけどな)
(分かった付いていくの。だから……名前を付けてなの)
「わかった、エル。頼む」
《条件を満たしました。スキルを獲得します。スキル:テイムを獲得しました》
名前か、あんまりそういうセンスはないんだが。ふと頭に浮かんだものを使うか、
「じゃあ、一緒に来い。"ノワール"」
「うん! ご主人様」
こうして、大規模なゴブリン襲撃と黒竜襲来が終わったのだった。
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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