妖刀使いがチートスキルをもって異世界放浪 ~生まれ持ったチートは最強!!~

創伽夢勾

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5章:エルフの国と軍師の策略

107:体調不良と不穏な空気

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「はぁ、はぁ、も、もうお兄様の戦闘は終わってしまったのですか?」
「ちょっ、姫様。待ってくださいよ」

 そんな声が会場に聞こえ、俺がそれが聞こえた観客席の方を見ると、ばっちりクシャーナと目が合った。その後ろにはティナもいた。

「おにいっ、んーー!」

 俺を大声で、お兄様と呼ぼうとしたクシャーナの口をティナが後ろから手を回し、すべてを言い切る前に塞いだ。
 すると、もがいてるクシャーナに少し耳打ちし、大人しくなると俺とも目が合った。
 俺はとりあえず、勝ったことを示すために右手を挙げた。
 すると、ティナの笑顔が見て取れた。

「し、勝者ユウ・ツキカゲ!」

 遅れてネルが勝利者宣言をする。そのれを聞き、さらに歓声が上がった。

「ネル。こいつの処理任せていいか?」
「あ、あぁ構わないが……」
「なら任せた」

 俺は早々に訓練会場を後を後にした。



「あっ、お兄様!」

 俺が、城を歩いて出口を目指していると、目の前にクシャーナがいた。
 クシャーナは俺の元へと走ってくる。その後ろにはきちんとティナが付いていた。

「勝負は見れませんでしたが勝ったんですよね?」
「まぁな」

 俺の答えを聞いて、クシャーナは俺の手を取りぴょんぴょんと跳ねている。
 なぜここまで嬉しいのかはわからないが。

「ユウ様お疲れ様です」
「まぁ、そこまで疲れてはいないけどな」
〝おねぇーさん的には拍子抜けだったなー〟

 威勢を張ってた割に弱かったからな、ステータスを見たときにはがっかりしたな。
 まぁ、これでフィリアがいなくなることは無くなったのか。

「ユウ様? 顔が……」
「なんだ?」
「い、いえ、何かうれしいことでもあったのかなと」
「いや、そんなことは無いが」

 どうやら、自然と頬が緩んでいたらしい。
 俺はフィリアがいなくならないことに安心したのか?

「まぁ、それより治療の方は終わったのか?」
「はい、今日の分は終わりましたよ」
「クーシャこの後の予定は?」
「この後は、貴族と対話が……」

 しょぼんとするクシャーナの頭に手を置き、頑張れよと声をかけておいた。
 クシャーナはそれに、はいと元気に答えて侍女たちの元へと走っていった。
 なんだか、本当に妹が出来たみたいだ。そんなことを考えていると、頭の中に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

(ユウさん。聞こえますか?)

 その声はアイリスの物だった。

(あぁ、聞こえてるぞ。どうした?)
(あのですね。ユウさんたちが旅立ってからですね。勇者の女の子、確か雛乃ちゃんが行方をくらましたのです)
(は? 雛乃が?)
(その様子ではそっちについて行ってるわけではなさそうですね。まぁ、それだけです。何かわかれば連絡ください。それとまたこっちにも顔を出してくださいね?)
(あぁ、わかった)

 プツンと意思疎通が切れる。結構遠いが意思疎通はつながるみたいだな。
 それより、雛乃が行方不明か、俺には関係ないと言ってしまえば、簡単なんだけどな

「どうしたんですか?」

 俺の表情が曇っていたのか、それを見たティナが話しかけてくる。

「勇者っていたろ? あの中の女の子が一人、行方をくらませたみたいだ。今アイリスから連絡があった」
「あー、居ましたね。それでどうするんですか?」
「いや、どうもしない。何かわかったら伝えるだけだ」
「了解です」

 俺たちはそのまま、城の外に出た。特にすることもない。
 ただ、ぶらぶらとエルフの町を見て回る。いつの間にか俺の隣には、ムラクモがいて買い食いやら、他愛のない話をして時間を潰していた。

「ムラクモ、なんか調子悪そうだけど、大丈夫か?」

 いつも、スイーツやら甘いものに目がないムラクモが全然食べていないのだ。

「ん、特に少し食欲がないぐらい?」

 甘いものが食べたいという割に、食べなくなったのは俺の種族が変わって、以降だ。

「あまり無理はしないでくれよ」
「ん。もちろんいざという時に役に立てないのは一番悲しいから」
「そうだな」

 まぁ、食欲がないとか言ってるが、なんだかんだ最終的には全部食べるんだろうけどな?
 すこしして、やはり全部食べ切ったムラクモ。
 むらくもお腹が膨れている。そんな、ムラクモを見てティナが驚いた表情をしていたり、なかなか普通の過ごし方もいいなと思えてしまう。

「あっ、ご主人様!」

 そんな俺たちを発見して、両手に荷物を抱えたフロンが歩いて来る。
 俺は席を立ち、店員にお金を渡して、フロンから荷物を奪い取るようにしてすべて持つ。

「それぐらい持てますのに」
「女の子に荷物持たせて、歩かせてたら俺がだめな男みたいだろーが」

 いっそ、棺に仕舞おうとも思ったが、周りには結構人がいる。というか、ムラクモ、ティナ、フロンの三人が人の目を引いている。
 そんな中、棺のスキルを使うわけにはいかない。だからしょうがなく俺が持つことになったのだ。

「とりあえず。いい時間だし、帰るか」

 俺たちはそのままフェールン亭へと戻った。

 宿に戻ると、すでにご飯が出来ており、フェリアも帰っていた。
 俺は、手早くご飯を食べると、すぐに部屋に戻った。
 少し今後の予定を考えた後俺はいつの間にか眠りについていた。

 そんな俺に不吉な連絡が届いたのは次の日の朝だった。






「ふふふっ、これはユウ君どう対処するかな? 楽しみだなぁ。 私はいつだって君のことを見てるんだよ? いいよ。イヴァナやっちゃって」
「かしこまりました」

 イヴァナと呼ばれた男は、杭を打たれた。魔物たちを一斉に解き放った。
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