白銀の死神姫

Alice

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一章 目覚めた死神姫

episode19 英雄VS死神姫

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   すっと白雪が手に取った剣を構える。その時、身体強化をONにするのも忘れない。

「レオンと戦うのは久々ですね」

「そうだね。全部僕が勝っちゃうから、面白くなくなった白雪ちゃんが挑んでこなくなったもんね」

「ふふっ、これからは私の時代ですよ!」

   挑発するレオンの言い方にイラッときた白雪が、ダンっと床をけって、レオンに迫る。スピードを出すため、思い切り蹴った床にクレーターができる。

   白雪は持ち前のスピードで相手を翻弄し、相手がスピードに慣れてしまう前に終わらせる。それが白雪の1:1での戦い方だった。
   しかし、レオンは初戦こそ白雪に何回かは負けたが、数回で白雪の速さに慣れ、それ以来唯一勝るスピードが通じなくなってしまったことで、全く勝てなくなってしまった。

   レオンの力なら、一発当たれば終わり。それが白雪のハンデになって、スピードに慣れたレオンに攻めることが出来ず、毎回負けてしまう。

「白雪ちゃんの速さは知ってるからね、そんな攻撃、当たら──」

   レオンは、白雪のようなスピードは出せなくても、目は白雪を追える。なのて、必要最低限の動きに留めて、白雪の剣を素早くうち返そうとした。

   しかし───いつもならこの程度の軽い力でも勝るレオンが、剣を弾かれ、後方に吹き飛ばされる。

「なっ?!」

   驚いて目を見開いたレオン。足が鍛錬場の床をする。だが、咄嗟に剣を固く握ったことにより、手元からは落とさなかった。

「…今まで、吸血鬼の力を使って、昔の自分に戻るのが怖かったんです。でも、オルガがいないからって、このままじゃいけないと思って、少しだけ力を使うことにしたんです」

   トンと床に足をつけて、ゆっくりとレオンの元へ歩きながら話し出す白雪。その赤い目には決意の光が宿っていた。

   レオンは、白雪の言う〝昔の自分〟や、〝吸血鬼の力〟という知らない言葉を問いただしたかったが、それをぐっと堪え、白雪に目を向ける。

「さぁ、立ってください、レオン。今回はいつものようにはいきませんよ?」

   にこりと笑った白雪に、つぅとレオンの額を汗が一筋流れる。いつもは感じることのなかった威圧感が今の白雪からは感じられた。

「なら、僕も手加減はしないよ」

   木剣を握り直して、立ち上がり、構えると、不敵に笑う。

   瞬間、床が爆ぜ、めくれ上がると同時に、ガンッと木でできた剣とは思えないほどの衝撃音が鳴り響く。

   騎士達は目で追えない次元の戦いで、見えているのはエルドだけだ。

「互角に戦うのは新鮮ですねぇ!!」

「そうだね!久しぶりだ!」

   剣を何度も打ち合わせながら心底楽しそうに話す2人に、エルドが苦笑する。

   トンッと同時に地面を蹴った2人が間合いをとる。
   2人が揃ってニヤリと笑ったかと思うと、亜空間からそれぞれのメインウェポンを取り出し、構えだした。

「おいっ!ここでそれはまずいって!!」

   エルドが慌てて止めようと大声で呼びかけるが、戦闘で高揚した2人には届いていない。

   双方、足にぐっと力を入れ、地面が凹み、飛び出す。
その瞬間────

「はいはい、ストップ!ここで本気で戦ったら死人がでるよ」

「「?!」」

   今にも飛び出しそうだった2人の身体が、ガクンと揺れて、レオンが膝をつく。ノヴァの麻痺魔法だが、魔法耐性が高い白雪は、膝をつくまでとはいかずに、その場で頭を抑えてふらつく。

「ノヴァ…?」

「麻痺魔法か」

「白雪ちゃんは病み上がりだし、いくら回復力が高いからって寝てないとだめ」

   コツンコツンと杖を鳴らし、綺麗な緑髪を風に靡かせる姿は、女性にしか見えない。
   声も低すぎず高すぎない、中性的なものである為、余計に女性さを引き立てる。

「ノヴァ様だ……」

「う、美しい!」

「まるで女神ヴィーナスのようだ…」

(女神ヴィーナスはどうかと思いますけど…)

   不服に思いながらも、大人しく純血の死神鎌ヴィルジニテ・ラ・モルテを手放すと、地面に落ちることなく、空気に溶けるようにして消えた。亜空間は、本人の意思で、持ち物などをしまうことができる。レオンも同じくして武器をしまう。

「せっかく今回は勝てると思いましたのに~」

「聞き捨てならないなぁ。今回も、僕が勝ってたよ?」

「何言ってるんですか?今回は、絶対私の勝ちでしたよ!その証拠に、レオンは私の速さについてこれてなかったじゃないですか」

   今回も、と強調されて、ムキになった白雪は、指でレオンを指しながら憤慨する。

「だいたい、私はいつも本気では──」

「はいはい、ストップストップ!喧嘩はお家でしようか。とにかく、白雪ちゃんは今日一日は、絶対安静」

   放っておいたらずっと言い合ってそうな2人の間に入り、仲裁すると、エルドに目配せして白雪を抱っこで運ばせていった。

「むぅ…。年上は敬うべきです」

   エルドの腕の中で頬を膨らます白雪は、とてもレオンやエルドより多くの時をいきている吸血鬼とは思えなかった。

(見えねぇよ…)

   その様子に苦笑するエルド。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

まさかのお気に入り数100到達です!٩(ˊᗜˋ*)و
軽い気持ちで投稿してたんですけど、すごく嬉しいです!
まだまだ拙いですが、読みやすくなるよう試行錯誤して頑張っているので、よろしくお願いします!<(_ _*)>
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