長く短い1週間

レイティア

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あの人〜生心

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僕は産れつき心臓が悪かった

小さい頃、まだ6歳だったかな?

お母さん達が、僕は長く生られないと話しているのを聞いてしまった

それから僕は部屋に閉じこもったり、家の近くの堤防下の公園で元気に走ったりしている子供を見ていた

どうして僕は走れないの?

どうして僕だけ早く死んじゃうの?

どうして…どうして…

何より辛かったのは、お母さん達が泣いてた事

僕のせいで…

そう、ずっとそんな事を考えていた

あの日も、家にいたくなくて堤防下の公園で桜を見上げていた

桜は、夏になると散ってしまう

それがなんだか僕みたいだと思ったんだ

僕は桜の下で

こんなふうに簡単に僕も死んじゃうのかな?

なんて考えて泣いていた

「どうした?」

突然の声にびっくりして振り返ると、学生服を着た男の人が立っていた

「泣いてるのか?」
「グスッ」

男の人は僕の目元をハンカチで優しく拭いてくれた

隣に腰を下ろしたその人は、優しく笑いかけ、最初と同じ事を聞いた

「どうした?」

今なら知らない人に簡単に話しちゃいけないと思う

でも、小さかった僕は、家族ではない誰かに聞いて欲しかった

「僕ね…ヒック…お胸が悪いんだって…グス…だから…長く生られないって…フェ…死んじゃうんだって…ママ達、グス、がね…言ってたの…グスッ…ヒック…」

僕は涙が溢れて来た

「そうか…」

その人は僕を優しく抱きしめてくれた

「うぅん、俺は健康に産れたからお前の気持ちを理解はしてやれないけどさ、人生は楽しんだもん勝ちだと思うぜ?
長く生ても、楽しくなかったら意味がない
お前も楽しくないの嫌だろ?」
「ぅん…ぃゃ…」
「なら、周りがびっくりするくらい、人生楽しんでやれよ
それが、お前の生まれてきた意味じゃね?」

あの人は多分、思った事を言っただけ

でも…僕には生きる意味ができた瞬間だった

あの後、あの人はすぐに行ってしまったけど、あの人の穏やかな笑顔と、優しい言葉に、ちょろいと思うけど、好きになった

その日からその公園によく行った

もう泣くためじゃない

あの人に会いたいから

でも、それ以降あの人が公園に来ることはなかった


あれから10年

入院した病院の近く、堤防下の桜で、あの人と再会した
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