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レイティア

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細波家 壱

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「由輝?」
「…ぇ…」

学校からの帰り道、恋人と友人2人と歩いていたところ、聞き覚えのある声に振り返ると、そこには母がいた

母は俺と手を繋ぐ恋人、佐藤 竜郎の顔を見た後、困ったように

「…今、帰り?
こんにちは、由輝春の母です」

前半は俺に、後半は竜郎達に向けて言った

「あ、こんにちは
深田っていいます」
「こんにちは…猫山です」
「はじめまして、佐藤です」

佐藤達も軽く頭を下げて挨拶を返す

「由輝春と仲良くしてくれてありがとね
由輝春、お母さん先に帰ってるけど、気をつけて帰ってくるのよ
それじゃあ、皆んなも気をつけてね」

竜郎を気にしながら母さんは帰って行った
母さんが俺を由輝春と呼ぶのは、真剣な時か、怒っている時だ

「…」
「だ、大丈夫?ユキちゃん」

いつもはおちゃらけた感じの深田が、気遣わしげに言う
猫山も心配そうに見てくるし、竜郎は握った手に優しく力を入れる

「…大丈夫だ…うん、大丈夫…」
「ユキ君、ずっと一緒」
「俺もだ」
「僕も」
「…フッ…うん」

俺は皆んなの言葉に力を抜いて笑ってみせた
ちゃんと、話をしないとな




家を前に、俺は深呼吸をした

元々家は別に仲が悪いわけじゃない
むしろ、両親は子煩悩な方で、すごく大切にしてくれてる
ただ…俺が…男を好きだと自覚した時、2人にどう接していいのか分からなくなっただけ
自分はおかしいんだと思ってしまった
自分が恥ずかしくて、勝手に避けていた

でも、竜郎を好きになって、俺からの好意に気づいても気持ち悪がらずに、それどころか、竜郎は俺を好きだと告白してくれた
「好き」って言ってくれた竜郎の為にも、ちゃんと母さん達とも話そうと思った

認められないかもしれない、気持ち悪がられるかもしれない
けど、大好きな竜郎を、大事な両親に認めて欲しいって思ってしまったから

だから、ちゃんと向き合おう
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