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第16話 大事なのは目の前にある、甘いにおいのするとろとろなのです!
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「俺に何か用ですか?」
「もちろんですよ、カイルさん」
教えてもいない名前を言われたことにより、カイルの中で警戒感が高まる。それでなくとも、すでに良い印象は受けていない。まだ特別に何かされたわけではないが、生理的に受け付けないのだ。
どうしてなのか自分なりに理由を考えてみると、すぐに原因に思い当たる。似ているのだ、雰囲気が。故郷の村を度々訪れては、村の子供たちを連れて行った商人の連中に。
「どうして俺の名前を知ってるんですかね、商人さんは」
商人と言われた男は、軽く目を細めた。油断ならない奴とカイルを警戒している感じではない。その程度はわかるかという見下した態度だ。
「情報が大切なのは冒険者も商人も同じです。一夜にして有名人になった素晴らしいお方を、商人たる私が知らないはずがありません」
褒められているのか、バカにされているのか。わざとらしく仰々しいポーズで挨拶をしてくる商人が、カイルの目には胡散臭く見えて仕方ない。
不快だからとぞんざいに追い返して、あとで報復されるような事態になるのは避けたい。魔法を使えるメンバーがいないカイルたちにとって、店で売ってもらえる回復ポーションなどのアイテムは重要だ。
店にそうしたアイテムを卸すのが商人なのである。たくさんの店と取引をするようになってくると、商人組合に属しながら商会と名乗るグループへ発展する。ここ、ネリュージュにも有名な商会が幾つかあったはずだ。
「自己紹介が遅れました。私はエルロー・リシリッチと申します。小さな商会をやらせてもらっている、しがない商人です」
エルロー・リシリッチと名乗った男の自己紹介には、一部嘘があった。商会の会長というのは確かだろうが、しがない商人とはいえない。
リシリッチ商会という名前は、経済情報に疎いカイルでも聞き覚えがある。交流が盛んなネリュージュにおいても有名な商会だ。
各道具屋には、必ずといっていいくらいにリシリッチ商会の商品が置いてある。もっとも、カイルはあまりリシリッチ商会の商品は好きじゃないので、回復ポーションにしても他の商会のを利用していた。
「名前は知ってます。残念ながら、商品を利用したことはありませんが」
挑発気味な発言になっても、エルローは感情を露わにしたりしない。だからこそ、相手が何を考えているのかわからない。商人にとっては必要不可欠な能力かもしれないが、会話相手からすれば不気味だった。
「では是非、今度ご使用なさってみてください。我が商会の商品は、自信を持ってお勧めできるものばかりですので」
確かに愛用者も数多くいるみたいだが、カイルにそのつもりはない。リシリッチ商会のアイテムは、いちいち高そうなのだ。回復用ポーションの小瓶ひとつとってみても、デザインに凝っているというか、成金趣味みたいなものが多い。
それが好みな者ならいいが、そうでなければ他を選ぶだろう。とはいえ、他の商会の似たような商品と比べて別に高価なわけではなかった。
「商品のセールスをするために、俺に声をかけたんですか? だったら無駄ですよ。自慢じゃないですが、弱小冒険者ですからね」
「またまた。そんなに御謙遜なさらないで結構ですよ。昨夜の賞金がかけられていた盗賊の捕縛劇は見事だったと聞いています。特に、着ぐるみ姿の少女は凄かったようですね」
情報は大切だと言い、カイルの名前も知っている。加えて有名な商会のトップであれば、昨夜の出来事の詳細を知っていても不思議はない。
問題は、どうしてカイルに近づいてきたかだ。実力を評価して、なんて理由でないのは確かだった。注意深く動向を窺おうとしても、洞察力にさほど優れているわけでもないカイルには難しい。となれば、会話から相手が何を狙っているのかを探るしかなかった。
故郷の村で人身売買が行われていたからかもしれないが、基本的にカイルは商人という人間が好きではなかった。信用できないと言っていい。何の狙いもなく近づいてきたとは思えない。
相手を探るような会話戦を仕掛けたところで、勝ち目がないのはわかりきっている。だからこそ単刀直入に、前に立つ男へカイルは質問をぶつける。
「何が狙いですか?」
長々と会話をするつもりはない。サレッタとナナは後ろを振り返らずに、二人で屋台を楽しんでいる最中だ。カイルもすぐに合流したかった。商人とくだらない話をしているよりは、ずっと有意義な時間が過ごせる。
「カイルさんは、ずいぶんとせっかちな方なのですな。冒険者をなさっているだけに、もっと慎重な人物かと思っていました」
「ご期待に添えずに申し訳ない。何分、田舎の出身なものでね。用がないなら、俺は行かせてもらいますよ」
「よろしいでしょう。では、こちらも簡潔に用件を述べさせていただきます。カイルさんと昨夜、一緒に盗賊を捕らえたという少女を紹介してもらいたいのですよ」
「お断りします」
即答だった。金儲けしか頭にないような男に、ナナを紹介したらどんな目にあわせられるか想像に難くない。言葉巧みに騙して、火を吐く姿を見世物にしてもおかしくないのだ。
本当にドラゴンの里出身かどうかは別にして、ナナにこの世界での一般常識が不足しているのは確かだ。共に行動することになったからには、危険から守ってやりたいとカイルが思うのは当然だった。
それに、ナナが悲しむ結果になれば、サレッタも悲しむ。笑顔の似合う幼馴染に、そんな顔をさせるのも嫌だった。
「カイルさんは、何か誤解をなさっているようですね。私はただ、その少女と知り合いになりたいのです。冒険者として、人脈を増やしておいても損はありますまい。それにカイルさんやお連れの女性には、しっかりとした謝礼もお支払いさせていただきます。関係者全員が幸せになれる提案だと思うのですが」
「返事はもうしたはずです。急ぐので失礼しますよ」
面倒くさそうに背を向けるカイルに、エルローはゾッとするような声で呟くように言った。
「やれやれ。せっかちすぎると身を滅ぼしますよ? 少しは人の話を聞くべきです」
顔だけを相手に向けて、吐き捨てるように言う。
「それは、話を聞かないと俺を殺すと脅してんのか? だったら怖いから、冒険者ギルドに依頼を出しておかなきゃな」
冒険者組合は冒険者をまとめる性質上、不正や癒着を極端に嫌う。賄賂を受け取った人物がいたら即解雇だ。それどころか、見せしめに処分されかねないほど厳しい。
そのため、ギルド職員となるには、品行方正で実績を残した元冒険者がなるケースが大半なのである。カイル程度の実力と実績で引退しても、声をかけるそぶりすら見せられないだろうが。
「脅すなんてとんでもない。私は親切心から、忠告をさせてもらっただけです」
「そいつはどうも」
すでにカイルは、相手に対して丁寧な口調を使うのをやめていた。知り合ったばかりだが、エルローという男がどういう人間か、わかりかけてきたからだ。
ひと言で例えるなら、金の亡者だ。金のにおいに敏感で、儲かると知れば自分の家族でも商品にする。そんな雰囲気が全身から放たれている。関わるのは危険だと、本能も警告してくる。
これ以上は会話もしたくないので、背中を向けてエルローの前から歩き去る。後ろから刺されないように警戒をしながら。
エルローは追ってこなかった。何かを仕掛けてくる様子もない。人目があるので控えたのだろうか。そのうちに人混みにまぎれたカイルは、エルローの姿を確認できなくなった。
衛兵も多く見回っている町で、名の知れた商会のトップが堂々と悪事を働くのは難しい。賄賂でも渡して、衛兵と仲良くなっていれば話は別だが。
冒険者ギルドは厳しい規定があるものの、王国についてはどうかわからない。貴族が政治に関与したりもしているだけに、水面下の駆け引きなどはかなり過酷そうだとカイルは勝手に想像していた。
カイルには縁のない世界の話なのでたいして気にしてこなかったが、腐敗しきっていて商人と癒着しまくっているのならかなり問題だ。町中でエルローが何かを仕掛けてきたとしても、衛兵の助けを期待できないことになる。
気にしすぎで終わってくれるのを祈り、カイルは水あめの屋台で立ち止まっているサレッタとナナに近づいた。
「あ、やっときた。どこに行ってたの。お金持ってるのはカイルなんだから、はぐれたら駄目よ」
冒険者ギルドで受け取った金銭入りの布袋は、カイルが持ったままだった。結構な大金なのでサレッタと分担して持つつもりでいたが、道端でやる行為ではない。夜になればどこぞの宿屋に泊まると思うので、そこで分けるつもりだった。
「悪かったな。わけのわからない商人に絡まれてたんだ」
「わけのわからない商人?」
サレッタが首を傾げる。
簡単に説明しようとしたが、その前にナナが声を上げた。
「その話は後回しなのです。大事なのは目の前にある、甘いにおいのするとろとろなのです!」
どうやらナナは、水あめというのを見たことがないみたいだった。
カイルが「食べてみるか?」と尋ねたら、即座にナナは首を縦に振った。何度も繰り返し、もの凄い勢いで。
きっとすぐにでも食べたいと思っていたのに、カイルがいなかったせいでサレッタに買ってもらえなかったのだろう。少しだけ申し訳なく思い、店主に水あめをひとつ注文する。
代金を支払い、受け取った水あめをナナに渡す。
肉球のついた両手で、透明な水あめの入った小瓶をナナが大事そうに抱える。
「うわあ……いいにおいなのです。えへへ。ありがとうなのです」
素直にお礼を言われると、買ってあげてよかったと嬉しくなる。ナナのおかげで得られた賞金も同然なので、多少の贅沢には喜んで応じてあげたかった。
サレッタもカイルと同じ気持ちだったようで、はしゃぐナナを見て楽しそうにしている。
蓋のない小瓶の中には、細長いスプーンがひとつ入っている。それを使って、中身の水あめを食べるというか舐めるのだ。食べた経験のあるサレッタに教えられたナナは早速、瞳をキラキラさせて実践する。
「もちろんですよ、カイルさん」
教えてもいない名前を言われたことにより、カイルの中で警戒感が高まる。それでなくとも、すでに良い印象は受けていない。まだ特別に何かされたわけではないが、生理的に受け付けないのだ。
どうしてなのか自分なりに理由を考えてみると、すぐに原因に思い当たる。似ているのだ、雰囲気が。故郷の村を度々訪れては、村の子供たちを連れて行った商人の連中に。
「どうして俺の名前を知ってるんですかね、商人さんは」
商人と言われた男は、軽く目を細めた。油断ならない奴とカイルを警戒している感じではない。その程度はわかるかという見下した態度だ。
「情報が大切なのは冒険者も商人も同じです。一夜にして有名人になった素晴らしいお方を、商人たる私が知らないはずがありません」
褒められているのか、バカにされているのか。わざとらしく仰々しいポーズで挨拶をしてくる商人が、カイルの目には胡散臭く見えて仕方ない。
不快だからとぞんざいに追い返して、あとで報復されるような事態になるのは避けたい。魔法を使えるメンバーがいないカイルたちにとって、店で売ってもらえる回復ポーションなどのアイテムは重要だ。
店にそうしたアイテムを卸すのが商人なのである。たくさんの店と取引をするようになってくると、商人組合に属しながら商会と名乗るグループへ発展する。ここ、ネリュージュにも有名な商会が幾つかあったはずだ。
「自己紹介が遅れました。私はエルロー・リシリッチと申します。小さな商会をやらせてもらっている、しがない商人です」
エルロー・リシリッチと名乗った男の自己紹介には、一部嘘があった。商会の会長というのは確かだろうが、しがない商人とはいえない。
リシリッチ商会という名前は、経済情報に疎いカイルでも聞き覚えがある。交流が盛んなネリュージュにおいても有名な商会だ。
各道具屋には、必ずといっていいくらいにリシリッチ商会の商品が置いてある。もっとも、カイルはあまりリシリッチ商会の商品は好きじゃないので、回復ポーションにしても他の商会のを利用していた。
「名前は知ってます。残念ながら、商品を利用したことはありませんが」
挑発気味な発言になっても、エルローは感情を露わにしたりしない。だからこそ、相手が何を考えているのかわからない。商人にとっては必要不可欠な能力かもしれないが、会話相手からすれば不気味だった。
「では是非、今度ご使用なさってみてください。我が商会の商品は、自信を持ってお勧めできるものばかりですので」
確かに愛用者も数多くいるみたいだが、カイルにそのつもりはない。リシリッチ商会のアイテムは、いちいち高そうなのだ。回復用ポーションの小瓶ひとつとってみても、デザインに凝っているというか、成金趣味みたいなものが多い。
それが好みな者ならいいが、そうでなければ他を選ぶだろう。とはいえ、他の商会の似たような商品と比べて別に高価なわけではなかった。
「商品のセールスをするために、俺に声をかけたんですか? だったら無駄ですよ。自慢じゃないですが、弱小冒険者ですからね」
「またまた。そんなに御謙遜なさらないで結構ですよ。昨夜の賞金がかけられていた盗賊の捕縛劇は見事だったと聞いています。特に、着ぐるみ姿の少女は凄かったようですね」
情報は大切だと言い、カイルの名前も知っている。加えて有名な商会のトップであれば、昨夜の出来事の詳細を知っていても不思議はない。
問題は、どうしてカイルに近づいてきたかだ。実力を評価して、なんて理由でないのは確かだった。注意深く動向を窺おうとしても、洞察力にさほど優れているわけでもないカイルには難しい。となれば、会話から相手が何を狙っているのかを探るしかなかった。
故郷の村で人身売買が行われていたからかもしれないが、基本的にカイルは商人という人間が好きではなかった。信用できないと言っていい。何の狙いもなく近づいてきたとは思えない。
相手を探るような会話戦を仕掛けたところで、勝ち目がないのはわかりきっている。だからこそ単刀直入に、前に立つ男へカイルは質問をぶつける。
「何が狙いですか?」
長々と会話をするつもりはない。サレッタとナナは後ろを振り返らずに、二人で屋台を楽しんでいる最中だ。カイルもすぐに合流したかった。商人とくだらない話をしているよりは、ずっと有意義な時間が過ごせる。
「カイルさんは、ずいぶんとせっかちな方なのですな。冒険者をなさっているだけに、もっと慎重な人物かと思っていました」
「ご期待に添えずに申し訳ない。何分、田舎の出身なものでね。用がないなら、俺は行かせてもらいますよ」
「よろしいでしょう。では、こちらも簡潔に用件を述べさせていただきます。カイルさんと昨夜、一緒に盗賊を捕らえたという少女を紹介してもらいたいのですよ」
「お断りします」
即答だった。金儲けしか頭にないような男に、ナナを紹介したらどんな目にあわせられるか想像に難くない。言葉巧みに騙して、火を吐く姿を見世物にしてもおかしくないのだ。
本当にドラゴンの里出身かどうかは別にして、ナナにこの世界での一般常識が不足しているのは確かだ。共に行動することになったからには、危険から守ってやりたいとカイルが思うのは当然だった。
それに、ナナが悲しむ結果になれば、サレッタも悲しむ。笑顔の似合う幼馴染に、そんな顔をさせるのも嫌だった。
「カイルさんは、何か誤解をなさっているようですね。私はただ、その少女と知り合いになりたいのです。冒険者として、人脈を増やしておいても損はありますまい。それにカイルさんやお連れの女性には、しっかりとした謝礼もお支払いさせていただきます。関係者全員が幸せになれる提案だと思うのですが」
「返事はもうしたはずです。急ぐので失礼しますよ」
面倒くさそうに背を向けるカイルに、エルローはゾッとするような声で呟くように言った。
「やれやれ。せっかちすぎると身を滅ぼしますよ? 少しは人の話を聞くべきです」
顔だけを相手に向けて、吐き捨てるように言う。
「それは、話を聞かないと俺を殺すと脅してんのか? だったら怖いから、冒険者ギルドに依頼を出しておかなきゃな」
冒険者組合は冒険者をまとめる性質上、不正や癒着を極端に嫌う。賄賂を受け取った人物がいたら即解雇だ。それどころか、見せしめに処分されかねないほど厳しい。
そのため、ギルド職員となるには、品行方正で実績を残した元冒険者がなるケースが大半なのである。カイル程度の実力と実績で引退しても、声をかけるそぶりすら見せられないだろうが。
「脅すなんてとんでもない。私は親切心から、忠告をさせてもらっただけです」
「そいつはどうも」
すでにカイルは、相手に対して丁寧な口調を使うのをやめていた。知り合ったばかりだが、エルローという男がどういう人間か、わかりかけてきたからだ。
ひと言で例えるなら、金の亡者だ。金のにおいに敏感で、儲かると知れば自分の家族でも商品にする。そんな雰囲気が全身から放たれている。関わるのは危険だと、本能も警告してくる。
これ以上は会話もしたくないので、背中を向けてエルローの前から歩き去る。後ろから刺されないように警戒をしながら。
エルローは追ってこなかった。何かを仕掛けてくる様子もない。人目があるので控えたのだろうか。そのうちに人混みにまぎれたカイルは、エルローの姿を確認できなくなった。
衛兵も多く見回っている町で、名の知れた商会のトップが堂々と悪事を働くのは難しい。賄賂でも渡して、衛兵と仲良くなっていれば話は別だが。
冒険者ギルドは厳しい規定があるものの、王国についてはどうかわからない。貴族が政治に関与したりもしているだけに、水面下の駆け引きなどはかなり過酷そうだとカイルは勝手に想像していた。
カイルには縁のない世界の話なのでたいして気にしてこなかったが、腐敗しきっていて商人と癒着しまくっているのならかなり問題だ。町中でエルローが何かを仕掛けてきたとしても、衛兵の助けを期待できないことになる。
気にしすぎで終わってくれるのを祈り、カイルは水あめの屋台で立ち止まっているサレッタとナナに近づいた。
「あ、やっときた。どこに行ってたの。お金持ってるのはカイルなんだから、はぐれたら駄目よ」
冒険者ギルドで受け取った金銭入りの布袋は、カイルが持ったままだった。結構な大金なのでサレッタと分担して持つつもりでいたが、道端でやる行為ではない。夜になればどこぞの宿屋に泊まると思うので、そこで分けるつもりだった。
「悪かったな。わけのわからない商人に絡まれてたんだ」
「わけのわからない商人?」
サレッタが首を傾げる。
簡単に説明しようとしたが、その前にナナが声を上げた。
「その話は後回しなのです。大事なのは目の前にある、甘いにおいのするとろとろなのです!」
どうやらナナは、水あめというのを見たことがないみたいだった。
カイルが「食べてみるか?」と尋ねたら、即座にナナは首を縦に振った。何度も繰り返し、もの凄い勢いで。
きっとすぐにでも食べたいと思っていたのに、カイルがいなかったせいでサレッタに買ってもらえなかったのだろう。少しだけ申し訳なく思い、店主に水あめをひとつ注文する。
代金を支払い、受け取った水あめをナナに渡す。
肉球のついた両手で、透明な水あめの入った小瓶をナナが大事そうに抱える。
「うわあ……いいにおいなのです。えへへ。ありがとうなのです」
素直にお礼を言われると、買ってあげてよかったと嬉しくなる。ナナのおかげで得られた賞金も同然なので、多少の贅沢には喜んで応じてあげたかった。
サレッタもカイルと同じ気持ちだったようで、はしゃぐナナを見て楽しそうにしている。
蓋のない小瓶の中には、細長いスプーンがひとつ入っている。それを使って、中身の水あめを食べるというか舐めるのだ。食べた経験のあるサレッタに教えられたナナは早速、瞳をキラキラさせて実践する。
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