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春也の高校編
部に蔓延する甘々ムード! 春也は感化されないはずがバカップル爆誕!?
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夏の甲子園優勝を引き摺るように、どこか浮かれた面々を見つめるマネージャー。そのうちに小さく溜息をついてから、春也を見て満足げに頷く。
「一体どうしたんだよ、先輩と上手くいってないのか?」
「順調だけど、そっちはいいの。問題は部員の皆よ」
広げた腕の先、ノックを受けているのはいいものの、お手玉や悪送球、果てにはトンネルまでしでかす野手がいた。
「夏休み気分が抜けてないんだろ。練習一色になれば……って、もう結構前からそうなってるよな」
「春也君は自分の練習に集中してるから、なかなか気付けなくて当然よね」
目元に指を当て、顔を軽く左右に振るマネージャー。ジャージ姿でグラウンドに立つ姿もだいぶ馴染んでおり、一部の女子からは恰好いいと憧れられているらしかった。
「他に原因でもあるのか?」
「甲子園から帰ってきて、彼女が出来た部員がそれなりにいるのよ」
「目出度いことじゃねえか。拗らせると監督や3号先輩みたいになっちまうからな」
「後々、問題になるかもしれないけど、野球に集中してくれるという意味ではむしろ大歓迎ね」
そこまで言われれば、男女間の機微にあまり詳しくない春也でも気付く。
「要するに、恋人ができたせいで練習に身が入らなくなってるってことか」
「すぐにランニングに行きたがる生徒も続出でね。監督もあくまで自分の管理は自分でするようにって方針だから」
練習で手を抜いて、仮にレギュラーを奪われたとしても個人の責任。当たり前のことなので春也は反発を覚えないが、中には厳しいと文句を言う部員もいるらしい。そのたびに主将の晋悟は宥め役に回っている。
「女子は女子で人気急騰中の野球部員と付き合えたものだから、とことん甘やかしちゃうのよね。当然のように、人前でもベタベタしたりするし」
綺麗に整えられた眉を顰めて困り顔をするマネージャー。矢島と交際してから、部員の間では綺麗になったと密かに噂になっている。春也の目にはあまり変わったようには見えないのだが。
「おい、そろそろブルペンに入る時間だろう。やらないのであれば俺は一足先に終えて姉さんのもとへ行くぞ」
グラウンド横で立ち話中の春也とマネージャーに、準備万端の智希ができれば中止にしてほしそうなニュアンスで急かしてきた。
「俺が投球練習を止めると思うのか。マネージャーとは部内の恋愛事情について話してたんだよ」
「浮気は感心せんな。そんなに調子乗りの称号を維持したいのか」
「んなわけあるか!
っていうか、浮気とか言うならシスコンのくせに、ウチの姉ちゃんと付き合ってる智希の方がよっぽどだろ」
「阿呆か、貴様は。創造主に捧げる愛と、異性へ抱く愛が同列に存在するはずないだろうが」
「創造主ってんなら、のぞねーちゃんよりお前のママの方じゃねえのか?」
「阿呆の権化か、貴様は。どこからどう見ても俺は人間だろうが」
「普通はのぞねーちゃんを産んでくれたことに感謝して、大切に扱うもんじゃないのか?」
豪快に笑っている姿しか思い出せない友人の母親は、娘と息子からぞんざいな応対ばかりされている。傍目には仲良くじゃれあっているようにしか見えなかったりもするが。
「産んだ? 何をトチ狂ったことを言ってる。俺と姉さんは天から降ってきたんだ」
「トチ狂ってるのはお前だ。どこの神話だ、それは。
もういい、話を戻すぞ。問題は俺じゃなくて、彼女ができたらしい連中だ。見てわかる通り、練習にまったく身が入ってない」
熱血タイプの人間なら憤るだろうが、生憎と友人はそうした性格をしていなかった。
「さっさと敗退すれば姉さんに会いに行ける時間が増える。大歓迎ではないか」
練習でも試合でも決して手は抜かないし、春也や晋悟が一生懸命であればそれを補佐してもくれる。だが自らが先頭に立った場合、ほぼ間違いなく野球部のことよりも大好きな姉を優先する。
「よし、相談する相手を間違えた」
「そもそも考えるだけくだらんのだ。貴様もそうだが、恋人がいるからといって、全員がだらけてるわけでもあるまい。立ち直れないのであれば、最終的にレギュラーが変わるだけだ。もっとも俺と貴様と晋悟でセンターラインはある程度固められるから、問題なく他校とも勝負になるだろう」
「言われてみればそうだな」
納得してブルペンへ移ろうとする春也に、マネージャーが苦笑を向ける。
「春也君は野球も大好きだもんね。でも、他の部員とは逆で、構わなさ過ぎて彼女さんに寂しい思いをさせたりしてない?」
「だから同じ部の自分に乗り換えろと言うのか。なるほど他人の男を奪い取るには効果的な策略かもしれんな。頭の片隅に留めておこう」
「人を悪女みたいに言わないでよ! 単純に私も――って、何を言わせようとしてんのよ」
勝手に自爆しかけたマネージャーが、真っ赤になった顔を両手で押さえて走り去る。
「寂しがらせてるか……智希はどうなんだ?」
「もちろん姉さんも一緒で、たまにデートをしている。最近は県中央で観劇したりもするな。寂しさを与えてるかどうかに関しては、弟の貴様が誰より容易に想像できるだろう」
「うん? なんか勘違いしてねえか? 姉ちゃんは1人でも踊って楽しそうにしてるイメージがあるけど、実際はかなりの寂しがり屋だぞ。だから常にのぞねーちゃんが一緒で嬉しいんだ。のぞねーちゃんもその辺を理解してるっぽいし。周りに気が置けない友達がいればいいけど、そうじゃなしに1人で放っておかれたら、最初はよくても徐々に塞ぎ込んでいくタイプだ」
「なるほど。鈍いようでいて、家族のことはきちんと見てるのだな」
「お前は俺を何だと思ってんだ。
まあ、いいや。後で晋悟にも話を聞いてみるか」
「その必要はない」
断言した智希を不思議に思い、黙って見ているとすぐに理由が告げられる。
「俺が穂月さんと出掛けると、偶然という名目で悠里さんが晋悟を連れて乱入してくるからな」
「結局、休日に皆で遊んでるみたいになってんじゃねえか」
「うむ、穂月さんは嬉しそうだから俺も受け入れてるが、晋悟は完全に尻に敷かれてるな」
「二人きりで会ってても甘い雰囲気になるどころか、どうやってお前らのデートに混ざるか作戦会議をしてそうだな」
*
親友の恋愛事情を聞いてもピンとこなかったので、うだうだするのが苦手な春也はその日の夜に電話で直接聞いてみた。
すると、くだらないことで悩むなと一笑に付されてしまった。
「もうすぐ秋の大会もあるってのに。その様じゃ去年みたいになっちまうぞ」
「わかってるけどさ、俺は野球と同じくらい、まーねえちゃんも大事なんだ」
「だから心配無用だって言ってんだろ」
小さく笑ってから、陽向は照れたように続ける。
「寂しくなったら俺から会いに行ってやる。甲子園とかでもそうだったろ」
「そっか……うん、安心した。まーねえちゃん、ありがとう」
「よせよ」
「で、秋季大会にも、もちろん皆勤賞で駆け付けてくれるんだよな」
「俺が応援しないせいで負けたなんて言われたくないしな」
どこか弾んだ声を聞いているだけで、春也には電話向こうではにかむ恋人の愛らしい顔が見えたような気がした。
*
最終的に甘々ムード漂う部の雰囲気は、何度目かもわからない意を決しながら、やはり上手くいかなかった監督が一喝して引き締めた。部員のプライベートには干渉しないだけにかなり珍しく、加えて血の涙を流しているのが幻視できたせいで、従わない者は1人もいなかった。
そして迎えた秋季県大会を難なく制覇し、夏の勢いそのままに東北大会でも優勝した。これにより南高校の春の選抜出場は当確となり、当然のように地元テレビ局の取材も殺到する。
インタビューに応じるのは主に監督だが、プロからもすでに注目されている春也にも数多くのマイクが向けられた。
実力と容姿の面でいえば智希も人気なのだが、以前に取材を受けた際、相手のマイクを奪い取って延々3時間も姉自慢を繰り広げたため、今では滅多にメディア関係の人間は近寄らない。もしかしたらプロのスカウトの調査メモにも、性格に難ありと書かれている可能性がある。
そんなわけで表彰式を終えた直後から、春也は主将の晋悟ともどもインタビューに答えているのだが段々と面倒臭くなってきた。智希ではないが、春也も早く恋人に祝福してもらいたいのだ。
「ますます女性人気が高まるかもしれませんね」
甲子園からの狂騒ぶりを知っている女性アナウンサーが、からかうように聞いてきた。だからこそ春也は満面の笑みで叫ぶ。
「誰に何を言われても、俺が愛しているのは陽向だけだ!」
「……はい?」
「以上です、ありがとうございました」
丁寧に頭を下げると、春也はアナウンサーともども茫然としている友人に後を任せて、そそくさとこの場を抜け出した。
*
皆の元に戻ると、真っ先に大慌てでマネージャーが駆け寄ってきた。
「あれって生放送だったんだよ!? 彼女さん、きっと困ってるよ」
それからすぐに陽向も祝福にやってきて、
「お前、いきなり何を叫んでるんだよ、皆に冷やかされたじゃねえか、仕方ねえな、もう」
と早口で言っては、いつになく体をくねくねさせる。
「どうやら喜んでるみたいだぞ?」
「……そうね。2人とも、とってもお似合いだわ」
何故か白い目をするマネージャーだけではなく、陽向を追ってきた朱華には「人様に迷惑だけはかけないでね」と叱責交じりに諭され、他の面々からは揃ってバカップル扱いされた。
「一体どうしたんだよ、先輩と上手くいってないのか?」
「順調だけど、そっちはいいの。問題は部員の皆よ」
広げた腕の先、ノックを受けているのはいいものの、お手玉や悪送球、果てにはトンネルまでしでかす野手がいた。
「夏休み気分が抜けてないんだろ。練習一色になれば……って、もう結構前からそうなってるよな」
「春也君は自分の練習に集中してるから、なかなか気付けなくて当然よね」
目元に指を当て、顔を軽く左右に振るマネージャー。ジャージ姿でグラウンドに立つ姿もだいぶ馴染んでおり、一部の女子からは恰好いいと憧れられているらしかった。
「他に原因でもあるのか?」
「甲子園から帰ってきて、彼女が出来た部員がそれなりにいるのよ」
「目出度いことじゃねえか。拗らせると監督や3号先輩みたいになっちまうからな」
「後々、問題になるかもしれないけど、野球に集中してくれるという意味ではむしろ大歓迎ね」
そこまで言われれば、男女間の機微にあまり詳しくない春也でも気付く。
「要するに、恋人ができたせいで練習に身が入らなくなってるってことか」
「すぐにランニングに行きたがる生徒も続出でね。監督もあくまで自分の管理は自分でするようにって方針だから」
練習で手を抜いて、仮にレギュラーを奪われたとしても個人の責任。当たり前のことなので春也は反発を覚えないが、中には厳しいと文句を言う部員もいるらしい。そのたびに主将の晋悟は宥め役に回っている。
「女子は女子で人気急騰中の野球部員と付き合えたものだから、とことん甘やかしちゃうのよね。当然のように、人前でもベタベタしたりするし」
綺麗に整えられた眉を顰めて困り顔をするマネージャー。矢島と交際してから、部員の間では綺麗になったと密かに噂になっている。春也の目にはあまり変わったようには見えないのだが。
「おい、そろそろブルペンに入る時間だろう。やらないのであれば俺は一足先に終えて姉さんのもとへ行くぞ」
グラウンド横で立ち話中の春也とマネージャーに、準備万端の智希ができれば中止にしてほしそうなニュアンスで急かしてきた。
「俺が投球練習を止めると思うのか。マネージャーとは部内の恋愛事情について話してたんだよ」
「浮気は感心せんな。そんなに調子乗りの称号を維持したいのか」
「んなわけあるか!
っていうか、浮気とか言うならシスコンのくせに、ウチの姉ちゃんと付き合ってる智希の方がよっぽどだろ」
「阿呆か、貴様は。創造主に捧げる愛と、異性へ抱く愛が同列に存在するはずないだろうが」
「創造主ってんなら、のぞねーちゃんよりお前のママの方じゃねえのか?」
「阿呆の権化か、貴様は。どこからどう見ても俺は人間だろうが」
「普通はのぞねーちゃんを産んでくれたことに感謝して、大切に扱うもんじゃないのか?」
豪快に笑っている姿しか思い出せない友人の母親は、娘と息子からぞんざいな応対ばかりされている。傍目には仲良くじゃれあっているようにしか見えなかったりもするが。
「産んだ? 何をトチ狂ったことを言ってる。俺と姉さんは天から降ってきたんだ」
「トチ狂ってるのはお前だ。どこの神話だ、それは。
もういい、話を戻すぞ。問題は俺じゃなくて、彼女ができたらしい連中だ。見てわかる通り、練習にまったく身が入ってない」
熱血タイプの人間なら憤るだろうが、生憎と友人はそうした性格をしていなかった。
「さっさと敗退すれば姉さんに会いに行ける時間が増える。大歓迎ではないか」
練習でも試合でも決して手は抜かないし、春也や晋悟が一生懸命であればそれを補佐してもくれる。だが自らが先頭に立った場合、ほぼ間違いなく野球部のことよりも大好きな姉を優先する。
「よし、相談する相手を間違えた」
「そもそも考えるだけくだらんのだ。貴様もそうだが、恋人がいるからといって、全員がだらけてるわけでもあるまい。立ち直れないのであれば、最終的にレギュラーが変わるだけだ。もっとも俺と貴様と晋悟でセンターラインはある程度固められるから、問題なく他校とも勝負になるだろう」
「言われてみればそうだな」
納得してブルペンへ移ろうとする春也に、マネージャーが苦笑を向ける。
「春也君は野球も大好きだもんね。でも、他の部員とは逆で、構わなさ過ぎて彼女さんに寂しい思いをさせたりしてない?」
「だから同じ部の自分に乗り換えろと言うのか。なるほど他人の男を奪い取るには効果的な策略かもしれんな。頭の片隅に留めておこう」
「人を悪女みたいに言わないでよ! 単純に私も――って、何を言わせようとしてんのよ」
勝手に自爆しかけたマネージャーが、真っ赤になった顔を両手で押さえて走り去る。
「寂しがらせてるか……智希はどうなんだ?」
「もちろん姉さんも一緒で、たまにデートをしている。最近は県中央で観劇したりもするな。寂しさを与えてるかどうかに関しては、弟の貴様が誰より容易に想像できるだろう」
「うん? なんか勘違いしてねえか? 姉ちゃんは1人でも踊って楽しそうにしてるイメージがあるけど、実際はかなりの寂しがり屋だぞ。だから常にのぞねーちゃんが一緒で嬉しいんだ。のぞねーちゃんもその辺を理解してるっぽいし。周りに気が置けない友達がいればいいけど、そうじゃなしに1人で放っておかれたら、最初はよくても徐々に塞ぎ込んでいくタイプだ」
「なるほど。鈍いようでいて、家族のことはきちんと見てるのだな」
「お前は俺を何だと思ってんだ。
まあ、いいや。後で晋悟にも話を聞いてみるか」
「その必要はない」
断言した智希を不思議に思い、黙って見ているとすぐに理由が告げられる。
「俺が穂月さんと出掛けると、偶然という名目で悠里さんが晋悟を連れて乱入してくるからな」
「結局、休日に皆で遊んでるみたいになってんじゃねえか」
「うむ、穂月さんは嬉しそうだから俺も受け入れてるが、晋悟は完全に尻に敷かれてるな」
「二人きりで会ってても甘い雰囲気になるどころか、どうやってお前らのデートに混ざるか作戦会議をしてそうだな」
*
親友の恋愛事情を聞いてもピンとこなかったので、うだうだするのが苦手な春也はその日の夜に電話で直接聞いてみた。
すると、くだらないことで悩むなと一笑に付されてしまった。
「もうすぐ秋の大会もあるってのに。その様じゃ去年みたいになっちまうぞ」
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「だから心配無用だって言ってんだろ」
小さく笑ってから、陽向は照れたように続ける。
「寂しくなったら俺から会いに行ってやる。甲子園とかでもそうだったろ」
「そっか……うん、安心した。まーねえちゃん、ありがとう」
「よせよ」
「で、秋季大会にも、もちろん皆勤賞で駆け付けてくれるんだよな」
「俺が応援しないせいで負けたなんて言われたくないしな」
どこか弾んだ声を聞いているだけで、春也には電話向こうではにかむ恋人の愛らしい顔が見えたような気がした。
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最終的に甘々ムード漂う部の雰囲気は、何度目かもわからない意を決しながら、やはり上手くいかなかった監督が一喝して引き締めた。部員のプライベートには干渉しないだけにかなり珍しく、加えて血の涙を流しているのが幻視できたせいで、従わない者は1人もいなかった。
そして迎えた秋季県大会を難なく制覇し、夏の勢いそのままに東北大会でも優勝した。これにより南高校の春の選抜出場は当確となり、当然のように地元テレビ局の取材も殺到する。
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実力と容姿の面でいえば智希も人気なのだが、以前に取材を受けた際、相手のマイクを奪い取って延々3時間も姉自慢を繰り広げたため、今では滅多にメディア関係の人間は近寄らない。もしかしたらプロのスカウトの調査メモにも、性格に難ありと書かれている可能性がある。
そんなわけで表彰式を終えた直後から、春也は主将の晋悟ともどもインタビューに答えているのだが段々と面倒臭くなってきた。智希ではないが、春也も早く恋人に祝福してもらいたいのだ。
「ますます女性人気が高まるかもしれませんね」
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「誰に何を言われても、俺が愛しているのは陽向だけだ!」
「……はい?」
「以上です、ありがとうございました」
丁寧に頭を下げると、春也はアナウンサーともども茫然としている友人に後を任せて、そそくさとこの場を抜け出した。
*
皆の元に戻ると、真っ先に大慌てでマネージャーが駆け寄ってきた。
「あれって生放送だったんだよ!? 彼女さん、きっと困ってるよ」
それからすぐに陽向も祝福にやってきて、
「お前、いきなり何を叫んでるんだよ、皆に冷やかされたじゃねえか、仕方ねえな、もう」
と早口で言っては、いつになく体をくねくねさせる。
「どうやら喜んでるみたいだぞ?」
「……そうね。2人とも、とってもお似合いだわ」
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