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番外編
オマケSS
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***
ソファに横たわる黒木さんの上に、跨るように座らされている。黒木さんの手が、ローテーブルの上に伸びると袋から金平糖を一粒取った。社長からさっきもらったものだ。
それを、私の唇の合わせに指で押し付け、私はあっさりと開いて口の中に入れてしまう。舌先にころりと甘くて固いものが触れて、それを追うように塞がれた唇。彼の舌も一緒に受け入れて、口の中で金平糖を転がした。
砂糖が唾液に交じって、途端に甘いキスになる。金平糖が溶けてなくなるまでキスは続いて、ようやく唇が離れた時には、身体は力なく黒木さんの上に伏せていた。
すぐ間近に、黒木さんの瞳がある。唇に彼の指が触れた感触。零れそうになっていた唾液を拭われて、その感触でぽわんとしていた意識がふと、覚醒する。
「……黒木さん、秘書、雇うんですか?」
尋ねると、彼の目が少しだけ見開かれた。どうしてそんなことを聞くのかと不思議に思ったのだろうと、言葉を続ける。
「社長が、そのうち必要だろうしねーって……」
数日前だったか、あの時の社長の口振りでは、多分なんかにやにやそわそわしてたし。私に「秘書やりたい!」って言わせたいのかしらとちらっと思ったけど、私に秘書なんて勤まるわけない。
ちょっと、憧れないこともないけれど……黒木さんについてくだけでいっぱいいっぱいになりそうで、それはそれで嫌だ。私にできることは別のことじゃないかと思う。
「……まだそのつもりはない。今のところは不要だしな」
少し、間が空いてから黒木さんがそう言った。少しだけ、ほっとする。けれど、いずれは必要になるだろう。だから……ほんのちょっとだけ、我儘を言っていいだろうか。
いいよね。
私が我儘を言っても、本当に必要なことなら黒木さんは自分の方針は変えないだろうし。
「……できたら、なんですが」
「ん?」
「……男性の秘書にしてください」
早口で少し拗ねた口調になってしまった。だって、想像したらなんだか嫌で。
言ってしまってから、独占欲丸出しのセリフに恥ずかしくなって目を逸らす。黒木さんの目が、瞬きもせずに固まっているな、と気が付いたのは数秒後か。
「んんっ?」
顔を両手でがっしりと掴まれ引き寄せられる。まだ甘さの残る口内を舌が這いまわって、息苦しさに目を閉じた。手でぱたぱたと黒木さんの胸を叩いたけれど、スルーされる。
「ん、ふ、んんん」
私の唾液を全部舐め取ってしまうくらいに、荒っぽく舐られた後。
離れた唇を、細い銀糸が繋いだ。
「もう、急に、何するんですかっ」
「襲って欲しかったんじゃないのか?」
「誰がそんな話してましたか⁉ って、あっ、ちょっ……」
「今すぐ食って欲しいとしか思えない発言だったが」
キスで乱れた息を整えつつ話している間にも、手がするすると私の服の中に入り込んでくる。唇は顎を辿り、首筋の肌を啄み始めて、私は彼の身体の上でふるりと身を震わせた。
「ほんとに、いちいち迂闊なひとことが出るところとか」
「あ、やぁっ……」
指先が擽るような動きで背筋を辿る。
はあ、と熱い吐息が零れたところで、彼が尋ねた。
「嫌か?」
指先もキスも、ぴたりと止まる。本当に嫌かどうかなんてわかっているくせに、意地が悪い。こんな風に中途半端で止められたら余計に身体が疼いてくる。それだって、わかっているはずなのに……!
彼が私の首筋から顔を上げ、至近距離で目が合うと彼の唇が僅かに笑みを象っているのがわかった。
相変わらず憎たらしく不遜なその微笑に……腹立ちよりもぞくりと下腹部を熱く疼かせてしまう私はもう、すっかり中毒みたいなものだ。悔し紛れに睨んではみたものの、私の口から出た言葉はとてもとても素直なものだった。
「……い、やじゃない」
「そうか」
彼の目元が僅かに下がり、少しだけ優しい印象になる。
たくさんの意地悪の中で、時々こういう顔を見せられるから私はますます彼に溺れてしまうのだ。
再び唇が重なり、手は先ほどよりも大胆に肌の上で官能を誘う。こうして彼の手練手管に堕とされて、今夜も美味しく食された。
オマケ:END
+++++++
お知らせ
+++++++
「冷徹秘書は生贄の恋人を溺愛する」とタイトルを変えまして、12月上旬にエタニティブックスより発売されます。
よければぜひに。どうぞよろしくお願いいたします。
+++++++
お知らせ2
+++++++
「正しい契約結婚の進め方」
というタイトルでスピンオフを近々公開します。できるだけ、さくさくと更新していきたい(予定は未定)
こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
砂原雑音
ソファに横たわる黒木さんの上に、跨るように座らされている。黒木さんの手が、ローテーブルの上に伸びると袋から金平糖を一粒取った。社長からさっきもらったものだ。
それを、私の唇の合わせに指で押し付け、私はあっさりと開いて口の中に入れてしまう。舌先にころりと甘くて固いものが触れて、それを追うように塞がれた唇。彼の舌も一緒に受け入れて、口の中で金平糖を転がした。
砂糖が唾液に交じって、途端に甘いキスになる。金平糖が溶けてなくなるまでキスは続いて、ようやく唇が離れた時には、身体は力なく黒木さんの上に伏せていた。
すぐ間近に、黒木さんの瞳がある。唇に彼の指が触れた感触。零れそうになっていた唾液を拭われて、その感触でぽわんとしていた意識がふと、覚醒する。
「……黒木さん、秘書、雇うんですか?」
尋ねると、彼の目が少しだけ見開かれた。どうしてそんなことを聞くのかと不思議に思ったのだろうと、言葉を続ける。
「社長が、そのうち必要だろうしねーって……」
数日前だったか、あの時の社長の口振りでは、多分なんかにやにやそわそわしてたし。私に「秘書やりたい!」って言わせたいのかしらとちらっと思ったけど、私に秘書なんて勤まるわけない。
ちょっと、憧れないこともないけれど……黒木さんについてくだけでいっぱいいっぱいになりそうで、それはそれで嫌だ。私にできることは別のことじゃないかと思う。
「……まだそのつもりはない。今のところは不要だしな」
少し、間が空いてから黒木さんがそう言った。少しだけ、ほっとする。けれど、いずれは必要になるだろう。だから……ほんのちょっとだけ、我儘を言っていいだろうか。
いいよね。
私が我儘を言っても、本当に必要なことなら黒木さんは自分の方針は変えないだろうし。
「……できたら、なんですが」
「ん?」
「……男性の秘書にしてください」
早口で少し拗ねた口調になってしまった。だって、想像したらなんだか嫌で。
言ってしまってから、独占欲丸出しのセリフに恥ずかしくなって目を逸らす。黒木さんの目が、瞬きもせずに固まっているな、と気が付いたのは数秒後か。
「んんっ?」
顔を両手でがっしりと掴まれ引き寄せられる。まだ甘さの残る口内を舌が這いまわって、息苦しさに目を閉じた。手でぱたぱたと黒木さんの胸を叩いたけれど、スルーされる。
「ん、ふ、んんん」
私の唾液を全部舐め取ってしまうくらいに、荒っぽく舐られた後。
離れた唇を、細い銀糸が繋いだ。
「もう、急に、何するんですかっ」
「襲って欲しかったんじゃないのか?」
「誰がそんな話してましたか⁉ って、あっ、ちょっ……」
「今すぐ食って欲しいとしか思えない発言だったが」
キスで乱れた息を整えつつ話している間にも、手がするすると私の服の中に入り込んでくる。唇は顎を辿り、首筋の肌を啄み始めて、私は彼の身体の上でふるりと身を震わせた。
「ほんとに、いちいち迂闊なひとことが出るところとか」
「あ、やぁっ……」
指先が擽るような動きで背筋を辿る。
はあ、と熱い吐息が零れたところで、彼が尋ねた。
「嫌か?」
指先もキスも、ぴたりと止まる。本当に嫌かどうかなんてわかっているくせに、意地が悪い。こんな風に中途半端で止められたら余計に身体が疼いてくる。それだって、わかっているはずなのに……!
彼が私の首筋から顔を上げ、至近距離で目が合うと彼の唇が僅かに笑みを象っているのがわかった。
相変わらず憎たらしく不遜なその微笑に……腹立ちよりもぞくりと下腹部を熱く疼かせてしまう私はもう、すっかり中毒みたいなものだ。悔し紛れに睨んではみたものの、私の口から出た言葉はとてもとても素直なものだった。
「……い、やじゃない」
「そうか」
彼の目元が僅かに下がり、少しだけ優しい印象になる。
たくさんの意地悪の中で、時々こういう顔を見せられるから私はますます彼に溺れてしまうのだ。
再び唇が重なり、手は先ほどよりも大胆に肌の上で官能を誘う。こうして彼の手練手管に堕とされて、今夜も美味しく食された。
オマケ:END
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よければぜひに。どうぞよろしくお願いいたします。
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砂原雑音
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…見送りの時に、抱きしめた状態で言われたら黒木さんどーするよ?とかwww
あとご飯前なせいか、シチュー食べたくなりました(*ノω・*)テヘ