【R18】だれがフィクションだと言った 〜圧倒的モブ田中A子のセフレ生活〜

サバ無欲

文字の大きさ
17 / 68
2.経理部、田中A子

その2、田中A子は右往左往②

しおりを挟む



食後のカフェラテを二人で飲む頃には、彼女からの質問も尽きる。


「でも、後悔ないんですか? そんな相性いいひとと」
「いやー、もうお腹いっぱいというか、胃もたれするというか。それに相性いいって言うよりか、遊び慣れてるって感じだったよ、あれは。とても私の手には負えないわ」
「まぁA子先輩がいいなら何も言いませんけど。……でもよかった」
「え?」
「先輩が元気になって」


くそぅ、この! やられた!
可愛い可愛いかわいい!

こんなに可愛くて、キラキラしてて、おまけにモブにまで世話を焼いてくれる後輩に嘘をつく罪悪感が半端ない。いつか言えたらいいけど……定年退職後? 何十年かかるやら。いやそれより早織ちゃんが寿退社する方が早いか。

ギリギリまでカフェで話していたから、やや早足で会社へ戻る。多少遅くなっても残業すればいいんだけれど、なんとなく早く帰りたい、と感じた。部屋がきれいになったからって現金だなぁ……


「にしても、聞きしに勝るイケメンでしたね、新しい専務」


うう、きたな、その話。
自然に自然に、あくまで興味ない風に。実際、興味なんかこれっぽっちもないんだから。


「……うん、そうだねー」
「昨日から他の部署でも話題になってて。特に営業部とか秘書課の女子が張り切ってるみたいです。化粧室が占領されてました」
「あれ? 昨日から?」
「ああ、久遠専務、ほとんどの部署は昨日挨拶したみたいですよ。ウチは休みの社員がいたから、今日に回したとかで」
「あぁー……」
「マメですよねえ。さすが、あの歳で専務に抜擢されるだけはあるっていうか」


偶然……であれ。
挨拶が今日だったことも、あのとき視線が合ったことも、婚活パーティーで話しかけられたことも何もかも偶然であれ。

そして即座に誰かとくっついてくれ。営業部でも秘書課でも誰でもいいからくっついて、こんなモブとの一夜はなかったことにしてくれ。私はまだ辞めたくない。Uくんとの結婚がなくなった今、できれば定年までしがみつきたい。揉めごとはごめんだ。


「まぁ、親のコネもあるんでしょうけど」
「え……そうなの?」
「ですよー。久遠専務のお父さん、文科省の重鎮だってもっぱらのウワサですし」
「……ふーん」

「おつかれさまでーす。ただいま戻りましたー」


ああ、嫌だな。
何もかも知りたくなかった。
すべてあの時だけで完結したかった。


「田中さーん」
「はい」
「悪いんだけどさ、これ」


ああ神様、確かに私は善人じゃないけど。


「明日までにやっといてくんない?」


こんなの、あんまりじゃありません?

しおりを挟む
感想 172

あなたにおすすめの小説

隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛

冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!

完全無欠のエリート上司の最愛妻になりました

加地アヤメ
恋愛
大手住宅メーカーの営業をしている二十七歳のみゆり。背が高くスレンダーな彼女だが、実はかなりの大食漢。ありのままの自分を否定された過去から、極力人と関わらず食事も一人で楽しんでいた。ところがある日、そんな日常を一変させる男性が現れる。「俺の前ではいくら食べてもいい。だから結婚しよう」本社から異動してきたエリート上司・柾谷一慶からの猛アプローチに最初は警戒していたみゆりだけれど、大食いに引くどころか笑顔で溺愛してくる彼と、まさかの極甘新婚生活が始まって!? スパダリイケメンの無限の愛に心も体もお腹も満たされる、夢のような最強マリッジ・ラブ!

不埒な社長と熱い一夜を過ごしたら、溺愛沼に堕とされました

加地アヤメ
恋愛
カフェの新規開発を担当する三十歳の真白。仕事は充実しているし、今更恋愛をするのもいろいろと面倒くさい。気付けばすっかり、おひとり様生活を満喫していた。そんなある日、仕事相手のイケメン社長・八子と脳が溶けるような濃密な一夜を経験してしまう。色恋に長けていそうな極上のモテ男とのあり得ない事態に、きっとワンナイトの遊びだろうとサクッと脳内消去するはずが……真摯な告白と容赦ないアプローチで大人の恋に強制参加!? 「俺が本気だってこと、まだ分からない?」不埒で一途なイケメン社長と、恋愛脳退化中の残念OLの蕩けるまじラブ!

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

それは、ホントに不可抗力で。

樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。 「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」 その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。 恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。 まさにいま、開始のゴングが鳴った。 まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。

義父の連れ子から逃れたい。猛勉強して志望校変更したら、家庭内ストーカーになった義弟

東山 庭子
恋愛
親の再婚で姉弟となった南と蓮。女癖の悪い蓮と離れたくてこっそり志望校を変えた南は、その後蓮の歪んだ溺愛に悩まされていく。 続編「義母の連れ子と結婚したい♡ 追いかけて追いかけて、やっと捕まえた義姉と俺のイチャラブ日記♡」 →https://www.alphapolis.co.jp/novel/440565753/636968278 佐久間 蓮(さくま れん) 佐久間 南(さくま みなみ) 椿→南の友達 亜耶→椿のハトコ

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
【全16話+後日談5話:日月水金20:00更新】 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

鬼隊長は元お隣女子には敵わない~猪はひよこを愛でる~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「ひなちゃん。 俺と結婚、しよ?」 兄の結婚式で昔、お隣に住んでいた憧れのお兄ちゃん・猪狩に再会した雛乃。 昔話をしているうちに結婚を迫られ、冗談だと思ったものの。 それから猪狩の猛追撃が!? 相変わらず格好いい猪狩に次第に惹かれていく雛乃。 でも、彼のとある事情で結婚には踏み切れない。 そんな折り、雛乃の勤めている銀行で事件が……。 愛川雛乃 あいかわひなの 26 ごく普通の地方銀行員 某着せ替え人形のような見た目で可愛い おかげで女性からは恨みを買いがちなのが悩み 真面目で努力家なのに、 なぜかよくない噂を立てられる苦労人 × 岡藤猪狩 おかふじいかり 36 警察官でSIT所属のエリート 泣く子も黙る突入部隊の鬼隊長 でも、雛乃には……?

処理中です...