こんな僕でも

りんご。

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「翔太、お前も来るか?」

 僕が机とにらめっこしていたときにそう聞こえた。
 
その声は僕の唯一の親友、森島照だ。
照とか生まれた時から一緒だ。親同士が幼馴染で妊娠した時期がたまたま同じだったらしく、生まれた病院まで同じだった。
 
 そんな照は僕とは真反対の性格だ。
照は誰とでも楽しそうに話すことができる。その上顔もよくて優しくて、細かいことにも気を使ってくれる少女漫画に出てきそうなやつだ。当然女子からもモテている。
 
僕は彼のことを尊敬している。
照に比べ僕はコミュ障で基本いつも一人でいる。しかも佐々木翔太という名前。普通すぎる。照という名前に何度も羨ましくなった。

 そして高校生になり、一応友達はできたがいつも一緒にいる訳ではない。

 そんな僕でも皆は遊びに誘ってくれる。
 
 今日は皆でボーリングに行くらしい。
そんなに上手いわけではないが好きではある。

 照とは他に西山瀬七、齋藤優馬も行くらしい。

 こいつらは高校でできた友達だ。入学してすぐこの3人は仲良くなっていた。

 僕は照に捨てられたと思い、ぼっち生活が始まると思った。しかしやっぱり照は優しかった。

 その3人組に僕のことを入れてくれた。2人は絶対に嫌な顔をすると思ったがそんな事はなく、笑顔で迎えてくれた。

 そんな優しい奴がいるお陰でなんとか高校生活楽しく過ごせてはいる。

 もうこの2人も親友と呼んでいいのかもしれない。

  そして放課後4人でボーリング場へ向かった。

 その時にあることを知らされた。

 「今日何人か女子誘ったのに唯と莉奈と琴乃しか来れないって~」

 ん?女子?僕は混乱した。

 「え、え、あ…え、女子も誘ったの?」

 「あれ?言ってなかったっけ?」

 「今日は合コンだぜ!」

 終わった。高校に入ってから女子となんて手で数えれるくらいしか話したことがない。

 そもそもなんだよ。なんで四対三なんだよ。僕を省くためか?

 少し嫌な気分になったがボーリングでストレス発散しようと思った。

 ボーリングに着くと女子三人が待っていた。

 なんだかコソコソ笑いながら話している。

 だから来たくなかったのだ。

 「遅いよー」

 「わりーわりー」

 伊関唯、豊田莉奈、この2人は少し苦手だ。

 なにかされた訳じゃないが苦手だ。


 福寿琴乃。僕は彼女が視界に入ると目で追ってしまう。童貞陰キャのコミュ障には恋なんて分からない。

 だが多分僕は恋をしている。

 「じゃ、行こっか」

 琴乃さんの優しい声に僕は降格が上がりそうになった。

「なあ唯、チーム戦にしね?」

 「あーいいね!」

 「あたし唯とがいいー」

 「じゃあ俺と瀬七と唯チーム対翔太と優馬と莉奈と琴乃チーム!」

 「えーなんで照が勝手に決めんだよ」

 「いいだろ?早くやるぞ!」

 嬉しい反面とても嫌な感じがする。

 だが僕は琴乃さんと同じチームになれたことでとても嬉しかった。

 もしかしたら話しかけられるかもしれない。連絡先交換出来るかもしれない。今日一緒に帰れるかもしれない。

 「翔太?大丈夫か?お前の番だぞ」

 そんなことを想像していたらいつの間にか僕の番になった。

 「あ、大丈夫。ちょっと考え事してて」

危ない危ない。こんなことしてたら変なやつだと思われる。

 とりあえず今は琴乃さんにいいとこを見せなくちゃ。

 「おー、意外と翔太ってちゃんとできるんだね」

 「いつも大人しいからボーリングすら出来ないと思ってたわ」

 「だろ?こう見えて翔太ボーリングの大会とか出たことあんだぜ」

 「え、まじ!?」

 「ま、まぁ、五位だったけど…」

 「えーなんか意外だわ」

 褒められてるのかバカにされてるのかはさておき、お前らじゃない。

 俺は琴乃さんに褒められたい。

 琴乃さんをチラ見すると少し驚いた顔をして小さく拍手をしていた。

 あ、可愛い。

 もしかしたら話せるチャンスかもしれないと近ずいてみる。

 しかし僕からは話しかけられない。

 なぜならコミュ障だからだ。

 琴乃もコミュ障なのかモゾモゾしている。

 目の前では皆が楽しそうにしているのにとても気まずい空気が流れている。

 「んー、疲れたね」

 「ガチでやりすぎたわ」

そんなこともあり無事?ボーリング対決が終わった。

 結果を言うと僕たちのチームは負けた。

 僕は勝敗なんかどうでもいい。

 琴乃さんと近くにいれたことが嬉しかった
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