森の中の転生姫は王子に溺愛され世界を救う

もも苺

文字の大きさ
5 / 13
第一章 森の中の転生姫は王子と密会する

5.美しい青年との出会い*えみり視点

しおりを挟む


_____________________________________________



えみりが転生して数ヶ月が経った。


精霊達のお陰で生活に必要なものは整い、家庭菜園を作って料理を楽しんでいた。


「オーちゃん!ここのトマトの苗に水をかけて頂戴」

そう言うと、水色の羽を優雅に羽ばたかせて苗にキラキラと水を注いだ。
オーちゃんは

「「これでどう?」」

と、得意げに言った。

「ありがとう、オーちゃん!これで今日の畑仕事は終わり!次は植物の精霊さん、新しいドレスを作るのを手伝って貰えないかしら?」

植物の精霊さんは待ってましたと言わんばかりに麻やシルクなどの材料を広げた。

「「えみりちゃん、どんなドレスがいい?」」

私がどんなイメージかを伝えると、素材達がすごい速さで宙を舞い編み込まれてゆく。

その間にみんなの分の料理を作って、畑仕事で汚れた身体を泉で清めた。

「「できたよー!えみり!」」

そう言って植物の精霊が作ってくれたドレスは、ふわっとしたプリンセスラインの薄ピンク色で、可愛いリボンが施されており、精霊が作ったからかキラキラと光の粉が周りを覆っている。

「わぁ!素敵!!ありがとう植物の精霊さん」

「「喜んでもらえてよかったよ!早く着てみて!」」

私は前世なら絶対に着れないこのいかにもお姫様!という可愛らしいドレスを着てみた。

(こんな人形みたいに可愛いく転生したんだからせっかくなら可愛いドレスを着なきゃね!)

ドレスを着て泉の水面に映る自分を見ると、前世で幼い頃に読んだ物語のお姫様みたい…と見惚れてしまった。

(お姫様といえば王子様。この世界に来て数ヶ月。まだ人間に会っていないけどさすがに人と話したい。)

「…王子様っているのかな?」

ボソッと呟いていると、後ろから


「まるで女神のようだ…」


という声が聴こえてきた。



声の方向に目を向けると、そこには見たこともないくらい美しい青年が立っていた。

少し緑がかっているブロンドの髪にエメラルドのような瞳、端正な顔立ちには気品と優しさが溢れ出ている。

私はその美しさに見惚れて顔が熱い。

なにも返せないでいると、彼は近づいてきて跪き、

「はじめまして。私はヴェルトゥール王国の王子、テオドールと申します。美しい貴方にキスを。」

そう言い、私の手の甲に彼の柔らかい唇がキスをした。


前世で恋人がいたこともなく、男性と親しくしたことがなかった私にとって、急にこれはハードルが高すぎる。私の恥ずかしさと心拍数は限界突破して、気づいたら


「きゃーーーーー!へんたいーー!!」


と叫び、彼の美しい頬にビンタを食らわせてしまったのだ…。



王子は後悔した。
急に見知らぬ男性が現れて肌に触れるなど、怯えて当然だ。
自分を制しきれなかった自分に腹が立つ。


しかしえみりもまた後悔した。

(やばい、王子に手を出すって不敬罪で捕まる?!)

「あ、あの。ごめんなさい。王子様。急で驚いてしまって、なんとお詫びしたらいいか…。」


王子はホッとした様子で、

「いや、いいんだ。僕が君の美しさに当てられて抑えきれず急にキスをしてしまったから。君の名前を教えてもらってもいいかな?」

(は?え?なにこの王子、ゲロ甘すぎない?)

どタイプイケメンの恥ずかしいくらいのゲロ甘発言に私の顔はもう茹で上がっていた。

「…えみり。えみりと申します。」

王子はふっと柔らかい笑みを浮かべ、

「エミリか。いい名前だね。」

と言った。

王子はなぜここへ?疑問が沢山あったが、とりあえず昼時なので食事をしたい。

「あの王子様、一緒にお昼ご飯を食べませんか?」

王子はぱぁーっと嬉しそうな顔になった。

「もしお邪魔でなければ。そして僕のことはテオって呼んでくれないか?」

いやいや、王子にあだ名で呼ぶなんて。

「それは…お会いしたばかりなのでテオドール様でもいいでしょうか?」

ちょっと不満げな顔で王子は頷いた。



_____________________________________________

読んでくださりありがとうございました!

王子は溺愛しています。

次回、みんなでカレーライス!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

処理中です...