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第一章 森の中の転生姫は王子と密会する
11. 姫を救いに行く王子とロン
しおりを挟むある晴天の朝、緑の精霊達がザワザワと騒がしくしていた。
「王子~!王子大変だよう!エミリが!」
小さい植物の精霊が叫ぶ。
「エミリに何かあったのかい?!」
急に嫌な汗が滲んでくる。
「変な男に連れ去られたんだよぅ!」
「?!嘘だろ?!エミリ…。」
頭が真っ白になる。
しかし、森に入れる人間はどうやっても王族しか思い浮かばない。
ふと、元王族で追放した王弟の息子を思い出した。
「くそっ!何で忘れていたんだ…。こんな事なら城に連れていくべきだった。」
今は後悔している暇はない。とにかく精霊達の力を借りて一刻も早く助けに行かねば。
そう思った時、
「王子!ボクもいくよ!場所も大体わかる。ボクに乗って!」
と全身真っ白な男が現れた。
「君は?」
「ボクはロン!君たちの言葉で糸の渡りびとと呼ばれているよ」
王子は驚き、そして頷いた。
「これは!糸の渡りびと様。お会いできて嬉しいです。一緒にエミリを助けに行ってくれるという事であっていますか?」
「ああ。もちろん!急ぐよ!」
ロンは王子を背中に乗せると真っ白な羽を出し宙に羽ばたいた。
°・°・°・°・°・その頃えみりは…
「…ねぇ、オーちゃん。あの男も戻ってくる気配ないし暇ね。抜け出す方法はないの?」
私はただ助けを待つだけのこの状況に不満を持ち始めた。
「無いわね。」
バッサリと切り捨てられムキになった私は部屋の隅々まで探し回った。
(あれ、なんだろう?これ。)
そこには不思議な形の小さい瓶があった。
そっと触ってみるとピカッと光を放ち緑の精霊が出てきたのだ。
「やっと外に出れた!!お姉さんありがと!」
「貴方は緑の精霊さんね。どうして瓶の中にいたの?」
「僕のご主人が闇の精霊に支配されてしまってね。その時に僕は封印されてしまったんだ。」
きっとあの男のことだ。
「ご主人は優しい人だったけど闇の精霊に支配されてからは人が変わったように悪事を働き王族から追放されてしまった。」
「…なる程。闇の精霊を追い出す方法はあるの?」
(闇の精霊を男の中から追い出せばここから出られるかもしれない。)
「残念ながら僕が知っているのは光の精霊が封印できるってことだけなんだ…」
緑の精霊がそう言うとオーちゃんはハッとして答えた。
「待って。封印出来るってことは解除もできる。貴方は緑の精霊の解除が出来たのだから光の精霊の加護を持っているんじゃ無いかしら?!」
(まさか…。水の精霊持ちだけじゃなく光の精霊の加護も?!だとしたら闇の精霊を封印できるかも…)
だが、あの男は全てを聴いていた。
ガチャ
「ハハハッ。まさか、嬢ちゃんは光の精霊の加護も持っていたのか。しかも封印の方法は分からないとみた!」
男はこちらに詰め寄ってくる。
「俺に触れれば闇の精霊の封印が解けるということだな。ハハハッ!こんなに簡単に解除出来るなんて捕まえた甲斐があった!」
男は高笑いをしこちらに詰め寄る。
(やばい。このままじゃ世界は闇に支配されてしまう。どうすれば…)
_____________________________________________
えみりのピンチ。王子たちは待ち合うか?!
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