53 / 67
53自宅に戻る
しおりを挟む
「本当かどうか疑っているのですね。和音様の言うことは本当です。ですから、和音様を不老不死から解放することは、私にはできません。もし、和音様の心に本当に寄り添っていたのならば、男だった時の自分が役に立ったのかもしれません。今となってはもう、遅い、ですけど。それにしても、実乃梨様は私たちの関係によく気付きましたね。私は現在、和音様の身の回りのお世話をしております、渡会(わたらい)と申します」
「さ、栄枝実乃梨(さかえみのり)と言います。あなたにもいろいろ、事情があるんですね」
実乃梨の驚きを受けて、運転手をしていた女性は、自分と和音の関係を簡単に説明する。名前を教えてくれたので、実乃梨も自分の名前を相手に伝える。それを不機嫌そうに見つめていた和音が、不機嫌そうに会話に割り込んでくる。
「不老不死だけが、生きていくことに悩んでいるわけじゃないのは、わかったかしら?それで、私を家に泊めてくれるんでしょ。早く、実乃梨さんの家に案内しなさい。このまま雨に濡れるつもり?」
「ほ、本当ですね。渡会さん、今日は和音さんを私の家に泊めますので」
「和音様からも聞いております。では、私はこれで失礼します。二人きり、水入らずな状況で、しっかりと今後のことを見据えながら、お話しください」
渡会とはアパートの駐車場で別れ、実乃梨は和音を連れて帰宅した。アパートの軒下に入る頃には、雨は本降りになっていた。
「永遠に聞いていたけど、庶民らしい生活をしているのね。ずっとこんな貧乏くさい生活をしているの?」
「貧乏で悪かったですね。そもそも、不老不死というのは不便で、ある程度たったら、人目を気にして引っ越しをするので、給料があまりよくないんですよ。ここにはまだ五年くらいしか住んでいません」
カギを使って玄関のドアを開けて、和音を家の中に招き入れる。リビングまで案内すると、部屋を見渡して、和音がぼそりとつぶやく。庶民と言われてしまうが、一般市民の一人暮らしなど、実乃梨と同じくらいの生活をしていると思う。
「不老不死ねえ。ずっと同じ場所に住めないというのは、確かに不便なものかもしれないわね。ということは、もし、実乃梨さんと同棲することになったら、私も同じように引っ越しは必然、ということかしら?」
「まあ、それはそうなりますね。そもそも、和音は今までどうやって生活してきたんですか?不老不死の女性の殺害を企てるくらいってことは、結構、年齢が」
「女性に年齢の質問するのは、非常識だって教わらなかったの?それは不老不死の女性にも当てはまるわよ。どうやって、生活していたか、ねえ。話すと長くなるけど」
和音は実乃梨に実年齢を教えることはなかった。しかし、自分の過去は話してくれそうだった。
「では、お茶の用意をしてきます。お茶を飲みながらゆっくりと聞きましょう。そこで座って待っていて下さい」
和音をリビングにあるイスに座らせ、実乃梨はお茶を用意するため、キッチンに向かう。
「ブーブー」
キッチンでお茶の用意をしていると、ポケットに入れていたスマホが振動する。振動が長く続くので、電話だろう。相手がだれか確認するが、相手がわかると強制的に通話を切ってしまう。
「お待たせしました」
「キッチンで何かあったの?顔が青ざめているけど」
「よ、よくわかりましたね。実は」
「ブーブー」
お茶をテーブルに置くと、再度、実乃梨のスマホが振動を始める。二人しかいない静かな空間に、スマホの振動音は思いのほか響く。外の雨は通り雨だったのか、今は止んで部屋には光が入ってきている。
「スマホが振動しているけど、電話がかかってきているわね。私のことは気にしなくていいから、出たらどう?」
和音の指摘に、実乃梨はしぶしぶ電話に出ることにした。電話の相手は、先ほど実乃梨が切ってしまった、彼女の護衛、もといストーカーからだった。
「さ、栄枝実乃梨(さかえみのり)と言います。あなたにもいろいろ、事情があるんですね」
実乃梨の驚きを受けて、運転手をしていた女性は、自分と和音の関係を簡単に説明する。名前を教えてくれたので、実乃梨も自分の名前を相手に伝える。それを不機嫌そうに見つめていた和音が、不機嫌そうに会話に割り込んでくる。
「不老不死だけが、生きていくことに悩んでいるわけじゃないのは、わかったかしら?それで、私を家に泊めてくれるんでしょ。早く、実乃梨さんの家に案内しなさい。このまま雨に濡れるつもり?」
「ほ、本当ですね。渡会さん、今日は和音さんを私の家に泊めますので」
「和音様からも聞いております。では、私はこれで失礼します。二人きり、水入らずな状況で、しっかりと今後のことを見据えながら、お話しください」
渡会とはアパートの駐車場で別れ、実乃梨は和音を連れて帰宅した。アパートの軒下に入る頃には、雨は本降りになっていた。
「永遠に聞いていたけど、庶民らしい生活をしているのね。ずっとこんな貧乏くさい生活をしているの?」
「貧乏で悪かったですね。そもそも、不老不死というのは不便で、ある程度たったら、人目を気にして引っ越しをするので、給料があまりよくないんですよ。ここにはまだ五年くらいしか住んでいません」
カギを使って玄関のドアを開けて、和音を家の中に招き入れる。リビングまで案内すると、部屋を見渡して、和音がぼそりとつぶやく。庶民と言われてしまうが、一般市民の一人暮らしなど、実乃梨と同じくらいの生活をしていると思う。
「不老不死ねえ。ずっと同じ場所に住めないというのは、確かに不便なものかもしれないわね。ということは、もし、実乃梨さんと同棲することになったら、私も同じように引っ越しは必然、ということかしら?」
「まあ、それはそうなりますね。そもそも、和音は今までどうやって生活してきたんですか?不老不死の女性の殺害を企てるくらいってことは、結構、年齢が」
「女性に年齢の質問するのは、非常識だって教わらなかったの?それは不老不死の女性にも当てはまるわよ。どうやって、生活していたか、ねえ。話すと長くなるけど」
和音は実乃梨に実年齢を教えることはなかった。しかし、自分の過去は話してくれそうだった。
「では、お茶の用意をしてきます。お茶を飲みながらゆっくりと聞きましょう。そこで座って待っていて下さい」
和音をリビングにあるイスに座らせ、実乃梨はお茶を用意するため、キッチンに向かう。
「ブーブー」
キッチンでお茶の用意をしていると、ポケットに入れていたスマホが振動する。振動が長く続くので、電話だろう。相手がだれか確認するが、相手がわかると強制的に通話を切ってしまう。
「お待たせしました」
「キッチンで何かあったの?顔が青ざめているけど」
「よ、よくわかりましたね。実は」
「ブーブー」
お茶をテーブルに置くと、再度、実乃梨のスマホが振動を始める。二人しかいない静かな空間に、スマホの振動音は思いのほか響く。外の雨は通り雨だったのか、今は止んで部屋には光が入ってきている。
「スマホが振動しているけど、電話がかかってきているわね。私のことは気にしなくていいから、出たらどう?」
和音の指摘に、実乃梨はしぶしぶ電話に出ることにした。電話の相手は、先ほど実乃梨が切ってしまった、彼女の護衛、もといストーカーからだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる