30歳処女、不老不死になりました

折原さゆみ

文字の大きさ
59 / 67

59朗報か悲報か

しおりを挟む
「お疲れ様です。栄枝さんがスマホで誰かと連絡を取り合っているのは珍しいですね」

「嫌味ですか?私のコミュ障のなさを馬鹿にしているんですか?私にだって、連絡を取り合う人間の一人や二人いますよ」

「誰ですか?」

「えっ?」

「誰ですか、と聞いているんです。それは男ですか。どこの馬とやらに誘惑されたのですか。もしかして、もうすでにその男と」

 突然、永徳が実乃梨を質問攻めにする。実乃梨のスマホの連絡相手が気になるようで、そわそわと落ち着きなく、車の横で足踏みをしている。

「いったい、何を誤解しているのか知りませんが、永徳さんには関係のないことですよね。たとえ私の護衛だとしても、プライベートにまで干渉しないでください」


「ぼ、僕は別に」

「さっさと車を出してください」

 永徳の言い訳を途中で遮り、車に乗り込む。実乃梨が乗り込んだことで、永徳もしぶしぶ車に乗り込んで、車を発進させる。車が車道に入ったところで、実乃梨は永徳に話しかける。

「今日は早めに仕事を切り上げて、相沢さんに会った方がいいですよ。重要な報告があるようですから。先ほどの連絡はあなたの婚約者からでした。内容はお見せできませんけど、彼女と連絡を取っていたのは事実です。今ここで、彼女に直接電話してみてはいかがですか?」

「栄枝さんの言葉を信じますよ」

 永徳は信号が赤になったところで、カーナビから相沢に電話をかける。すぐに彼女の声が狭い車内に響き渡る。


「もしもし、慎吾さんですか。先輩の送迎は終わりましたか?」

「いえ、送迎の途中です。栄枝さんがスマホで連絡を取っていたので、誰かと尋ねたら、永遠さんだと聞いて、確認のため電話しました」

実乃梨は、二人の会話に割り込むことはせず、黙って二人の会話を聞くことにした。



「相変わらず、先輩ラブですね。ですが、ほどほどにした方がいいですよ。あまり行き過ぎた行動をとっていると、先輩が離れていくと思います。それならそれで、私としては安心ですけど」

「それは困ります。栄枝さんを護衛するのは『私の使命』です」

「はあ、困った旦那さんだこと。そんな旦那さんに、朗報がありますけど、ここで話してもいいですか?」

「いえ、あなたが朗報というのは、大抵、私にとって悲報ですから、後でじっくりと聞きましょう。では、栄枝さんと二人きりの時間をこれ以上取られるのは不快なので、電話を切らせていただきます」

「はいはい、先輩、車に乗っていますよね?」

 会話の雲行きが怪しくなってきた。実乃梨が口を挟もうか悩んでいたところで、相沢に話を振られる。ここで無言を通したら、永徳と会話を再開させるだろうかと考えたが、バカ正直に返事をしてしまう。

「はい、乗っていますけど。私は何も言っていませんよ。ただ、定時後に相沢さんからのメッセージを見て、返信しただけです」

「そんなことは知っています。これからも、慎吾を嫌わないであげてくださいね。私はもう、慎吾の興味を引くことはできないし、先輩を守ることもできないから」


「ブーブー」

 突然、電話が終わりを告げた。強制的に永徳が相沢との電話を終了させていた。


「電話を切ってよかったんですか?相沢が大事な話をしようとしていたのに」

「僕には、あなたと二人きりで過ごす時間の方が大事です」

「そう」

 実乃梨は、永徳の性癖を思い出す。永徳は真面目で責任感の強い男だと思っていたが、そうではなかった。理解できないが、不老不死フェチという性癖らしい。そんな危ない奴と二人きりという状況だが、今すぐに自分がどうこうされるとは思わず、永徳の相沢に対するそっけない態度にただ頷くだけだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...