双子~それでも二人は共に生きていく~

折原さゆみ

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26受験日前日

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 進路先を決定した双子に担任たちは安心した。兄のヒナタはK学園、弟のミツキはA高校と、双子の希望する高校が違うのが気になったが、それでも、受験先が決まったことにひとまず安どしていた。


 ヒナタの担任は、双子が高校を機会に独り立ちをしようとしているのだと、前向きに考えることにした。いくら双子といえども、いつかは一人で生活していかなくてはならない時が来る。その一歩を踏み出したということだ。
 普段の学校生活を見ていると、休み時間のたびに双子は一緒になって、あまりにもべったりと寄り添っていた。その姿を見ていたので、双子が別々の高校を受験すると聞いた時、突然の心変わりに初めは驚いた。

それでも、最終的に双子とその母親が選んだ道なので、応援することに決めた担任だった。



 ミツキの担任は、双子の進路が決まって安心すると同時に、不安も感じていた。ヒナタの担任同様、双子が一人一人独立していくのはほほえましいことだと思った。しかし、どうにも様子がおかしい。今の今までべったりと四六時中、一緒に過ごしていた双子が、高校で別れることに決めたのだ。それなのに、いつも通りの学校生活を送っているのだ。まるで、高校でも同じように過ごしそうな様子である。

 それがミツキの担任には不気味に見えて仕方がなかった。

 ミツキの担任が気になったのは、それだけではなかった。ここ最近、クラス内でのミツキの行動が、兄のヒナタに似ているような気がしていた。クラス内のミツキは、おとなしく、あまり目立たないようにしているような印象だった。それが、最近では、兄のまねをしているのか、積極的に他人にかかわっているような気がする。


 これは何か裏がありそうだとミツキの担任は思ったが、それを本人に直接確認することはできていない。どうして今さら、ヒナタのまねをしているのか。尋ねようにも、ミツキの周りにはいつも生徒の人だかりができていて、なかなか二人きりになる機会が訪れなかった。

 そうして、そのまま質問できずに時間だけが過ぎていく。その謎の行動は、受験が終わって卒業するまで続くのだった。

 ミツキだけでなく、ヒナタも反対にミツキのまねをしていたのだが、それは、ヒナタの担任に気付かれることはなかった。





 各担任からの許可も得て、無事受験校に願書を提出した双子は、ミツキの担任が思っていた通りのことを行っていた。

 母親は、ヒナタがK学園に行くことは認めていたが、ミツキが高校に行くことを許してはいなかった。双子はすでにそのことに対して、いら立ちを感じていなかった。

ミツキが高校に行かせてもらえないのなら、自分たちの容姿や能力を生かし、同じ高校に交代で通えばいいだけだと割り切ることにした。


 そのために、互いの性格をまねて学校生活を送っていたのだった。ミツキはすでに担任がどうしてそんな真似をしているのか、疑問視しているのを感じ取っていたので、あえて、自分の周りに人を呼び寄せて、担任と二人きりにならないようにしていた。

 ヒナタも同様にミツキのまねをしていた。ミツキが普段しているように、周りの人間にそっけない態度をとることにした。クラスメイトは、最初は何事かと怪しんでいたが、数日もすると、すっかり周りは双子の行動に慣れて、互いが互いのまねをしているのだと納得してくれた。



 双子は中学校生活が終わるまで、互いの性格をまねて行動していたのだった。




「さて、いよいよ明日が受験日だけど、本当に合格しても大丈夫か。どうせ行かないなら、解答用紙を白紙で出してもいい気がするけどな。」

「それはダメだ。もし落ちていたら、私立も受けろとか、定時制を受けろとか、うるさく担任が迫ってくるのが目に見えている。もちろん、そんなことはできるはずがない。ただでさえ、受験の費用は俺たちのお小遣いから出しているんだ。さらに費用を増やさないようにするための手段だ。」


 A高校の試験を明日に控えた前日、いつものようにヒナタとミツキはヒナタの部屋で話し合っていた。すでに、私立K学園の試験は終了していて、ヒナタは合格を決めている。後はミツキが受験をするだけとなっていた。


「そうなんだよな。高校を受験するだけでもお金がかかるなんて、しかもそれを自分の小遣いから出すとは思わなかった。」


 母親はヒナタのK学園入学の費用は喜んで出していた。私立ということもあって、費用は入学金やその他の費用も合わせて、結構な額だった気がするが、気にする様子はなかった。出してくれるのはありがたい。しかし、それは祖父の遺産から出ている。どうにも複雑な気分だった。

 それに対して、ミツキの方は、母親は受験することすら知らない。担任を安心させるためだけに受験するので、当然、自分たちで何とか受験費用を出すしかなかった。もともと、お小遣いは、月にいくらからもらっていて、それを大事に貯金していたので、そこから払うことにした。

 ちなみに保護者が書かなくてはならない箇所は、彰人に代筆してもらった。意外にも、彰人は他人の筆跡をまねるのがうまく、母親の字とそっくりに書いてくれた。


「でもさあ、受験に合格しても、その後の入学金を払わなければ、入学できないだろう。そこでもお金がいるとだいぶ厳しいぞ。まあ、いざとなればじいさんの遺産を使えばいいだけだが。」

「怪しまれないためにも、学校に入学したという証が欲しい。そうしないと、担任は教師としての義務を果たすために俺たちに付きまとってくる。それが一番厄介だな。」

「そのために、お金を出すのかよ。そんなん、勝手に言わせておけばいいだろう。」


 受験を控えた前日にも関わらず、すでに双子の頭の中は受験後のことでいっぱいだった。夜遅くまで話し合いは続けられたが、お金がかからなくて、なおかつ誰にも怪しまれない方法を見つけることはできなかった。

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