転校生をバカにすることなかれ

折原さゆみ

文字の大きさ
11 / 58
きっかけ~小学校編~

11

しおりを挟む
 さて、このままこの顔で教室に戻るとクラスメイトにいろいろ言われそうだ。まずは保健室によって手当てしてもらおう。それから今日はこのまま早退しよう。そう考えて私も図書室を後にする。
 
 図書室の外では男がなぜか窓によりかかっていた。私以外に図書室にはいないが、まさか私を待っているはずはない。そのまま通り過ぎようとすると、声をかけられた。

「その顔、りんにやられたのか。」

「どう思いますか。最愛の彼女「りんちゃん」が私に泥棒猫と叫んだ挙句、殴ってきたのですよ。そんな女が好きなのぞむ君はくそ最低男かもしれませんね。女を見る眼がない。まあ、類は友を呼ぶと言いますしね。仕方ありません。思えば、うちのクラス全員、彼女と類友だと思いますよ。なんとも嘆かわしい限りですね。そう思うと、今回の転校は運が良いのかもしれません。また来年もそんなメンバーと同じクラスになるかと思うと、ぞっとします。」

 またもや、私の口から暴言が飛び始める。別に女に泥棒猫と言われてはいないが、つい嘘をついてしまった。ここまで言う必要は今回もなかったのだが、つい言ってしまった。

「………。」

 私の暴言に驚き、呆然としている男を通り抜けて、私は足早に保健室へ向かった。そういえば、いつもは見ないのだが、たまたま朝、テレビをつけたらちょうど占いをやっていた。


「今日の山羊座のあなたの運勢は最下位。我を忘れて感情のままに行動してはNG。今後の生活に支障が出てしまうぞ。冷静に落ち着いた行動を心がけた方が吉。ラッキーカラーは赤。ラッキーアイテムはばんそうこうだよ。」

 占いなんて信じたことはないが、まるでこの占いは私のことを言っているみたいだ。占いの忠告を守らずに行動してしまった。別に後悔はしていないし、今後の生活に支障が出ることもない。逆に今後の私の計画がスムーズに進められるというメリットまで生まれた。


「キーンコーンカーンコーン。」
「占いなんてあてにならないということだな。」

 保健室に向かいながらつぶやく私の声は、昼休み終了のチャイムに重なり、誰にも聞こえることはなかった。



「すごい腫れていますね。いったいなんでこんなことになったのですか。」

 保健室に行くと、ちょうど保健の先生がいたので手当てしてもらった。腫れている場所につけられた消毒液がしみて痛い。保健の先生は若い女の先生だった。優しそうな人当たりがいい、児童に人気の高い先生だった。

「ただの子供の喧嘩ですよ。ただし、これから大人を巻き込んだ大喧嘩になることは必至でしょうけど。」

 私が答えると、先生は微妙な顔をする。いったい何を言い出すのだろう、このガキはと思っているのかもしれない。とはいえ、小学生の言うたわ言とでも思ったのだろう。特に何も言われなかった。

「手当てしてくださってありがとうございます。今日はもう早退してもいいですか。この顔をクラスメイトに見せたくないので………。」

「確かにこの顔は見せられないわね。でも、誰にどういう状況でやられたのかを私と担任の先生に説明はしてもらいますからね。」

 その後に私が保健室に来ていることはクラスのみんなや先生は知っているのかと聞かれた。私は一言、いいえとしか答えなかった。

 それを聞き、しばらく考え込んだような顔をしていた保健の先生は、仕方ないといった感じでイスから立ち上がり、私に5時限目終わるまでここに居るように伝え、教室から出ていった。

 
 私はそれを了承した。ベットを使ってもいいと言われたので、言葉に甘えることにしてベットに横になった。興奮して疲れていたようだ。すぐに私は眠ってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

処理中です...