38 / 58
続編~中学校編②~
5
しおりを挟む
中学生といえば、定期考査が行われる。小学校にはなかったテストのことだ。小学校の時にあいまいだった学力の差、いわゆる頭の差が顕著に出てくる。その点数によっては、クラス内でのいじめの対象になることも充分あり得る。
別府えにしも例外ではなかった。テストが返却され、くそ女に点数をばらされても、別府えにしは、特に変わった様子なく学校に来ていた。彼女に変わった様子はなくても、くそ女の様子は違っていた。
くそ女が本格的に別府さんをいじめ始めた。まずはいじめの定番である、無視を始めた。彼女がくそ女に話しかけても、無視されていた。クラスの女子にも、別府えにしに話しかけられたら無視するようにと命令していたらしい。その結果、クラスで別府えにしは浮いてしまっていた。
女子同士の問題は、女子同士で解決するのがいいと思うが、別府えにしには親しい、自分を助けてくれるような友達はいないようだ。誰にも頼ることなく、クラスの女子から無視される日々が続いていた。
「あの、このプリントだけど、先生が福島さんだけ出していないから、出すようにって言われたんだけど。」
「……」
「先生、怒っていたよ。忘れたなら、きちんと説明した方がいいと思う……。」
「……。ああ、そういえば、今日の放課後、私、用事があったわ。」
話しかけられても無視で、挙句の果てには、大した用事もないのに、席を立って帰る支度を始めたくそ女。
そんなやり取りが何度か続いて、とうとう見ていられなくなったオレは、くそ女がいないときに、別府えにしに声をかけることにした。
「別府さん、クラスの女子から無視されているようだけど、つらいよね。いや、つらいに決まってる。オレからくそお、ちかげにいってやろうか。」
「ありがとうございます。本当に優しいんですね、中里さんは。そんな幼馴染をもって福島さんは幸せですね。うらやましい。でも、中里さんが福島さんに何か言う必要はありません。」
オレの手助けは必要ないと別府さんは断った。なんてけなげな女子だろうか。とはいえ、一人で悩みを抱え込んでいてはダメだと思うので、何かあったらオレに頼るように言っておく。
「それなら、なんか困ったことがあったら、すぐにオレに言ってくれよ。なんでも言ってくれて構わない。オレならくそ女の変な行動をどうにかできるから。」
「じゃあ……。」
その後に続いた彼女の言葉に、オレは一瞬、言葉を失った。だって出会ってまだ一カ月もたっていないのだ。いくらなんでもそれは早すぎる。
「ふふふ、おかしな顔。」
言葉を失っているオレの顔がおかしかったのか、別府えにしは口を押えて身体を震わせている。笑い方もかわいいな。場違いなことを考えるオレを許してほしい。
「すぐに返事をくれだなんて言いません。これは二人の気持ちが大切ですし。私は本気ですよ。何なら、条件をつけましょう。」
笑いを引っ込め、別府えにしは、自分の言葉にさらに条件を付けた。別府えにしの言葉は、かなり本気のものだった。
「今週末の赤点補修のテストで、すべて満点をとったら、返事をもらうということにしましょう。満点でなかったら、返事もいりませんし、この話もなかったことにします。」
言い終えた別府えにしは、先ほどのしおらしさを欠片も感じさせない足取りで教室を出ていった。
「なんでも言ってくれという言葉、信じますよ。私と付き合ってください。もちろん、福島さんとは縁を切って、私だけを好きになってください。」
とんでもない転校生が来てしまった。オレの返答は一つしかないが、別府えにしの行動の不可解さがどうにも迷わせていた。
別府えにしはオレと付き合いたいとは言ったが、オレのことを好きとは言っていなかったという事実に気付くことはなかった。
別府えにしも例外ではなかった。テストが返却され、くそ女に点数をばらされても、別府えにしは、特に変わった様子なく学校に来ていた。彼女に変わった様子はなくても、くそ女の様子は違っていた。
くそ女が本格的に別府さんをいじめ始めた。まずはいじめの定番である、無視を始めた。彼女がくそ女に話しかけても、無視されていた。クラスの女子にも、別府えにしに話しかけられたら無視するようにと命令していたらしい。その結果、クラスで別府えにしは浮いてしまっていた。
女子同士の問題は、女子同士で解決するのがいいと思うが、別府えにしには親しい、自分を助けてくれるような友達はいないようだ。誰にも頼ることなく、クラスの女子から無視される日々が続いていた。
「あの、このプリントだけど、先生が福島さんだけ出していないから、出すようにって言われたんだけど。」
「……」
「先生、怒っていたよ。忘れたなら、きちんと説明した方がいいと思う……。」
「……。ああ、そういえば、今日の放課後、私、用事があったわ。」
話しかけられても無視で、挙句の果てには、大した用事もないのに、席を立って帰る支度を始めたくそ女。
そんなやり取りが何度か続いて、とうとう見ていられなくなったオレは、くそ女がいないときに、別府えにしに声をかけることにした。
「別府さん、クラスの女子から無視されているようだけど、つらいよね。いや、つらいに決まってる。オレからくそお、ちかげにいってやろうか。」
「ありがとうございます。本当に優しいんですね、中里さんは。そんな幼馴染をもって福島さんは幸せですね。うらやましい。でも、中里さんが福島さんに何か言う必要はありません。」
オレの手助けは必要ないと別府さんは断った。なんてけなげな女子だろうか。とはいえ、一人で悩みを抱え込んでいてはダメだと思うので、何かあったらオレに頼るように言っておく。
「それなら、なんか困ったことがあったら、すぐにオレに言ってくれよ。なんでも言ってくれて構わない。オレならくそ女の変な行動をどうにかできるから。」
「じゃあ……。」
その後に続いた彼女の言葉に、オレは一瞬、言葉を失った。だって出会ってまだ一カ月もたっていないのだ。いくらなんでもそれは早すぎる。
「ふふふ、おかしな顔。」
言葉を失っているオレの顔がおかしかったのか、別府えにしは口を押えて身体を震わせている。笑い方もかわいいな。場違いなことを考えるオレを許してほしい。
「すぐに返事をくれだなんて言いません。これは二人の気持ちが大切ですし。私は本気ですよ。何なら、条件をつけましょう。」
笑いを引っ込め、別府えにしは、自分の言葉にさらに条件を付けた。別府えにしの言葉は、かなり本気のものだった。
「今週末の赤点補修のテストで、すべて満点をとったら、返事をもらうということにしましょう。満点でなかったら、返事もいりませんし、この話もなかったことにします。」
言い終えた別府えにしは、先ほどのしおらしさを欠片も感じさせない足取りで教室を出ていった。
「なんでも言ってくれという言葉、信じますよ。私と付き合ってください。もちろん、福島さんとは縁を切って、私だけを好きになってください。」
とんでもない転校生が来てしまった。オレの返答は一つしかないが、別府えにしの行動の不可解さがどうにも迷わせていた。
別府えにしはオレと付き合いたいとは言ったが、オレのことを好きとは言っていなかったという事実に気付くことはなかった。
0
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」
「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」
「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる