転校生をバカにすることなかれ

折原さゆみ

文字の大きさ
52 / 58
続編~中学校編②~

19

しおりを挟む
「テストを開始してください。」

 別府えにしが「今回のテストで学年一位をとる」と宣言してから、一週間がたった。いよいよ今日からテストが始まる。

 オレも別府えにしに影響されて、いつもよりテスト勉強を頑張ったので、今回のテストは今までよりいい順位を狙えると思っていた。先生のテスト開始の合図とともに、最初のテストである数学のテストが始まった。オレたちはいっせいに問題用紙に目を落とし、解答用紙に鉛筆で答えを記入していく。

 カリカリと解答用紙に記入する鉛筆の音が教室に響き渡る。こっそりと別府えにしのことをうかがうと、真剣に問題に取り組む姿があった。



「テスト問題について、訂正や質問はありませんか。」

 途中で数学の先生が、テストの不備がないかどうか、教室を回ってきた。特に間違いは見つからず、オレたちは、誰も訂正などの指摘をしなかった。クラスの誰も手を挙げなかったので、先生は黙って教室を出ていく。


 今回のテストは、オレなりに勉強した方だと思っていたが、勉強がテストに反映されることはなかった。数学では、文章題の問題も多くあった。文章を読んでも、さっぱり計算式が思いつかない。文章問題が苦手なオレはそこで苦戦していた。

 何から手を付けていいのかわからないまま、時間だけが過ぎていく。オレはどうしようもなくなって、今度はくそ女の様子をこっそりうかがうことにした。くそ女も頭は悪い方ではないが、良い方でもないので、オレと同様にテストに苦戦しているようだった。

 そのことになぜかほっとしているうちに、テスト時間の残りが少ないことに気づく。慌てて、何とか頭の中から絞り出した計算式を当てはめて問題を解いていく。



「解答をやめてください。一番後ろの席の人は、前の人の解答用紙を集めて前に持ってきてください。」

 何とか、時間内に最後の問題まで数字を埋めることができたが、それが正解だという自信はない。

 一時間目のテストが終わり、二時間目、三時間目とテストは続いていく。テストの出来は、どの教科も似たり寄ったりだった。勉強したと思っていたが、自分の努力と点数は結び付かないらしい。




 テストは二日間に分けて行われた。今回は、期末テストとは違い、五教科のテストだった。一日目のテストが終わり、オレたちは、午前中で帰ることになっていた。

「やっと、一日目が終わった。勉強したと思ったのに、できなかったな。」

「そうですか。私はできましたよ。明日もテストは続きます。明日のテストに備えて、テスト勉強をしたいので、私はこれで。」

 オレの独り言を拾った別府えにしが言葉をくれた。しかし、オレに興味がないのか、明日のテスト勉強のために、さっさとオレを置いて帰ってしまった。


「本当にオレのことが好きなのだろうか。」

 いくらテスト勉強をしないといけないと言っても、彼氏のオレを置いて、さっさと帰るものだろうか

 とはいえ、オレも明日のテストに備えて勉強をするため、急いで帰る支度をする。ちらりとくそ女の様子を見るだけ見ると、くそ女もオレと同じように、あまりテストの出来が良くなかったようで、沈んだ表情をしていた。

「おい、ちか。」

 声をかける寸前で、オレは言葉を止めた。ここで声をかけて何になるというのか。昨日のくそ女との会話を思い出し、オレはそのまま言葉をかけることなく教室を出た。




 二日目のテストの出来もあまりよくなかった。オレの勉強の仕方が悪かったのだろうか。

「解答をやめてください。これで最後の教科ですね。二日間、テストお疲れ様でした。」

 最後の教科は国語だった。数学同様、文章を読むのが苦手なオレは、国語でも苦戦した。しかし、国語は解答を書けば、多少の部分点がもらえる可能性があるので、何とか解答欄を埋めて、提出した。



「ええと、連絡になりますが、自然学習でカメラマンさんに撮ってもらった写真が出来上がりました。廊下に張り出しましたので、欲しい人は、今から渡す用紙に番号を記入して、封筒に入れて、先生に提出してください。写真代金も忘れずに封筒に入れてくださいね。」

 帰りのHRの連絡で、自然学習の写真が出来上がったという話を担任がしていた。帰りに見ようかと思ったが、テストが終わった当日から、すぐに部活は再開される。久しぶりの部活なので、写真はまた明日の休み時間にでもゆっくり見ようと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

処理中です...