結婚したくない腐女子が結婚しました

折原さゆみ

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番外編【年齢について考える】4新年キャンペーン

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「倉敷さん、倉敷さん」

「ふああ」

 いつの間にか電気が終わったようだ。時間にして10分くらいだろう。先生に声をかけられてはっと目を開ける。そして、寝起き特有の間抜けな返事をしてしまう。口からたらっとよだれが垂れてしまい、慌ててポケットに入れていたハンカチで拭う。

「気持ちよかったみたいですね。全身の筋肉ががちがちでしたので、今日は肩を中心に首や背中、腰や足など全身の筋肉をほぐしていきますね」

「オネガイシマス」

 整体に来ると毎回恥ずかしい思いをするのは私だけだろうか。先生が私の身体を触り、マッサージを施していく。初めての来院ではないためか、ぐいぐいと痛い場所を押してくる。まったくもって容赦ない手つきである。

「イタタタタタ」

「あまりにも痛い場合は伝えてください。イタ気持ち良い、と思えるくらいならそのまま続けます」

 私の悲鳴にも慣れた様子で対応される。とはいえ、我慢できないほどでもないし、イタ気持ち良いくらいの指圧だったので、そのままの圧で続けてもらうことにした。


「では、本日の施術はここまでです。肩の傷みは自然治癒に任せていくしかないですが、他の箇所はどうですか?」

 無事に施術が終わり、私は診察台から起き上がる。両腕を上に上げて伸びをしたり、ぐるぐる回してみたりする。

「腕が楽に動かせるようになりました。あと、身体が軽くなった気がします」

整体に来て良かったと思う瞬間だ。今までどれだけ身体を酷使していたのか怖いのでそこは見ないふりをする。

「それはよかったです。今日一回では全身の凝りはほぐしきれなかったので、2~3日後にまた来てください。あとは……。やはり筋力不足が大きな原因だとは思うので、運動をした方がいいでしょう。猫背もありますので、次回来た時にでも姿勢矯正もやっていただいた方がいいですよ」

「ワカリマシタ」


 施術を終えて待合室の椅子に座り、会計に呼ばれるのを待ちながら考える。私が施術をしてもらっている間にきらりさんは帰ったようで辺りを見渡しても見つからなかった。今日の事はきっと大鷹さんにすぐに伝わるだろう。帰った時の大鷹さんの反応がちょっとだけ恐ろしい。

「それにしても、最近、運動サボっていたからなあ。やっぱり、運動を再開しないとダメ、ってことか」

 過去に家で専用アプリの動画を見ながら運動をしていた時期があった。しかし、それは一年くらいで辞めてしまい、ここ最近は専用アプリすら開いていない。あまりにもやらないため、毎月の費用も掛かっていたので辞めてしまった。

 自宅で自分の意思だけで運動を続けるというのはなかなか難しい。家での運動はどうしても自分に甘くなってしまうので、定期的に運動するならジムに通う方がいいかもしれない。

「あの時のアプリをやっていたジムに通おうかなあ」

 母親に勧められて始めた専用アプリだったが、そこの会社は実際に店舗でもジムを経営していた。女性専用で高齢の女性が多く通うイメージだが、それならあまりきつくなく、長く続けられる気がした。スマホでジムについて調べてみることにした。

退勤後に整体に来たので、私が終わるころにはきらりさん含め、すっかりと人が減っていた。待合室にも人がいなかったため、私のつぶやいた独り言は思ったより部屋に響いた。

「今回のお会計は2,000円です」

 久々に整体に来ては見たが、健康な身体を保つのは大事なことだ。寝違えただけで1回2,000円の出費は痛い。しかも、今回だけでは取りきれなかった筋肉の凝りを取るためにあと数回通わなくてはいけないと思うと気が滅入る。

 しぶしぶ2,000円を支払うと、受付の女性は札を数えて領収書を渡してくれた。

「1月中はクジ引きをやっていますので、一回引いてください」

 どうやら、新年のキャンペーン中らしい。クジ引きの箱に手を入れて、手に触った紙を箱から取り出す。紙を開いてみると、【施術一回無料券】の文字が書かれていた。

「おめでとうございます。次回に使える無料券となります。姿勢矯正のメニューも使えますよ。次回の予定はどうされますか?」

「じゃあ、来週の月曜日の18時でお願いします」

「わかりました。お待ちしています」

 姿勢矯正のメニューが無料になるなら、受けてみるのもアリだ。

「新年っていろいろなところでキャンペーンやっているんだ。整体もそうだし、ジムもちょうどキャンペーン中。体験だけでも行ってみるか」

 先ほど会計待ちの際にスマホでジムについて調べていたら、母親も通っている女性専用のジムがキャンペーン中で今なら入会金が90%オフになっていた。まずは行動あるのみ。家に着いたらさっそく体験申し込みをしよう。

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