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52私は幸せですよ
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『お邪魔します』
二人を自宅に招くことにしたが、ちょうど、九尾たちは家を留守にしていたようだ。家には誰もいなかった。彼らと鉢合わせにならなくて良かった。ジャスミンはともかく、綾崎さんと彼らを合わすのはあまりよろしくなかった。
彼女たちは恐る恐る玄関から上がっていく。何を緊張しているのかわからないが、妙におどおどしている二人をリビングに案内する。
「それで、ジャスミンは、どうして電話を勝手に切ったのですか?」
彼女たちは客人になるため、ソファに座らせる。とりあえず、先にジャスミンに電話の件について尋ねることにした。ジャスミンは目を泳がせて、何を言おうか迷っているようだ。
「ええと、その、今回の件って、結局、む、向井さんが発端だった、訳じゃない?だから、これ以上、蒼紗と関わらせるのは、ま、まずいかなと」
ジャスミンは、私が向井さんと通話していることに気付いていた。ということは、最初から通話を聞いていたのだろうか。気配がまったくなかったが、彼女なら難なく盗み聞きはできそうだ。
それにしても、いまだにジャスミンも綾崎さんも挙動不審で落ち着きがない。まだ、私からは怒りのオーラみたいなものが出ているのだろうか。
「はあ」
ともかく、親友として、彼女は私を心配してくれているのはわかった。しかし、その行動が悪い方向に進んでいるのは良くない。勝手に他人の電話を切ってしまうのはダメだろう。きつく言っておかなければならない。ため息をついたのがいけなかったのか、二人がびくっと肩を震わせる。
「あ、あの、でも、佐藤さんの言うことも、まちがって、はいません」
別に私はジャスミンたちを脅しているわけでも、殺そうとしているわけでもない。それなのに、綾崎さんが泣きそうになりながらも、ジャスミンのことをかばいだした。
「電話の件はひとまず置いておきましょう。話は長くなりそうですから、ひとまずお茶を入れますね」
このまま彼女たちに怯えられたままでは話ができない。いったん、互いに落ち着く時間を作ろうと席を立つ。キッチンに向かう私に二人は声をかけることはなかった。
「お待たせしました」
冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注いでいく。人数分用意して、お盆に載せてジャスミンたちのもとに向かう。お茶だけでは寂しいと思ったので、一口サイズの包装がされたチョコレートも一緒に載せる。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
少し落ち着いたのか、二人はお礼を言って麦茶に口をつける。私も彼女たちの対面のソファに座り、同じように麦茶を飲む。
「話は変わりますけど、ジャスミンたちに送られてきた謎の手紙のことなんですけど、聞いてもいいですか?」
「さ。佐藤さん。蒼紗さんに話しちゃったんですか?あれほど秘密にしようと言っていたのに」
「仕方ないでしょ。どうせ、蒼紗に隠し事なんてできやしないんだし」
「それもそうですけど……」
「謎の手紙についてはジャスミンが話してくれました。その件ですが、犯人が何者かわかりました。彼女はもう、あなたたちに、今回のようないたずらを仕掛けることはないので安心してください」
こそこそと二人が話しているが。気にせず話を続ける。私は彼女たちに嫌がらせをしているのが彼らだと思っていたが、それは間違いだった。とりあえず、今後はこのようないたずらがなくなることを伝えておきたかった。
「ご丁寧に教えてくれてありがたいけど、いったい何者が私たちにあんな変な手紙を送ってきたの?私が犯人のもとに乗り込んで、お灸をすえたかったんだけど……」
「それには及びません。もう、彼女にいたずらはできませんから」
ジャスミンは自分で犯人を見つけて懲らしめたかったようだが、それは無理な話だ。犯人である「荒川結女」はもう、この世にいないのだから。
「蒼紗さんは、その犯人と知り合い、だったんですか?泣いていますよ」
「はあ。話さなくてもいいこと口にするからそうなるのよ」
綾崎さんの声に慌てて自分の目元を触ってみると、濡れているのがわかった。荒川結女のことを少し思い出しただけなのに、この状態とは。自分の心と身体の感情の不一致に呆れてしまう。
「この話はこの辺にしましょう。蒼紗がそう言うんだったら、私たちにいたずらはされないってことでしょ。だったら、もっと楽しい話題をしましょう。ほら、今日から夏休みなんだから、一緒に遊ぶ計画でも立てるとか」
「それはいいですね。一緒に海とかお祭りとかに行きたいですね。蒼紗さんの水着姿も浴衣姿も見てみたいです!」
「綾崎さん、たまにはいいこと言うわね。そうそう、夏休みなんだから、イベント盛りだくさんでしょ。何からやっていくか話し合うわよ!」
まったく、この二人は私の気も知らないで勝手なことを言い始める。しかし、そのおかげか、すぐに目元が渇き、新たに濡れることはなかった。
さようなら。私の幼馴染。私は彼女たちと一緒に居られて幸せですよ。
目をつむり、軽い黙とうをささげる。
『蒼紗(さん)』
「寝ていませんよ。それで、私は夏休みに何をさせられるんですか?」
二人の私を呼ぶ声が聞こえて目を開ける。そこには笑顔の二人の親友の姿があった。
二人を自宅に招くことにしたが、ちょうど、九尾たちは家を留守にしていたようだ。家には誰もいなかった。彼らと鉢合わせにならなくて良かった。ジャスミンはともかく、綾崎さんと彼らを合わすのはあまりよろしくなかった。
彼女たちは恐る恐る玄関から上がっていく。何を緊張しているのかわからないが、妙におどおどしている二人をリビングに案内する。
「それで、ジャスミンは、どうして電話を勝手に切ったのですか?」
彼女たちは客人になるため、ソファに座らせる。とりあえず、先にジャスミンに電話の件について尋ねることにした。ジャスミンは目を泳がせて、何を言おうか迷っているようだ。
「ええと、その、今回の件って、結局、む、向井さんが発端だった、訳じゃない?だから、これ以上、蒼紗と関わらせるのは、ま、まずいかなと」
ジャスミンは、私が向井さんと通話していることに気付いていた。ということは、最初から通話を聞いていたのだろうか。気配がまったくなかったが、彼女なら難なく盗み聞きはできそうだ。
それにしても、いまだにジャスミンも綾崎さんも挙動不審で落ち着きがない。まだ、私からは怒りのオーラみたいなものが出ているのだろうか。
「はあ」
ともかく、親友として、彼女は私を心配してくれているのはわかった。しかし、その行動が悪い方向に進んでいるのは良くない。勝手に他人の電話を切ってしまうのはダメだろう。きつく言っておかなければならない。ため息をついたのがいけなかったのか、二人がびくっと肩を震わせる。
「あ、あの、でも、佐藤さんの言うことも、まちがって、はいません」
別に私はジャスミンたちを脅しているわけでも、殺そうとしているわけでもない。それなのに、綾崎さんが泣きそうになりながらも、ジャスミンのことをかばいだした。
「電話の件はひとまず置いておきましょう。話は長くなりそうですから、ひとまずお茶を入れますね」
このまま彼女たちに怯えられたままでは話ができない。いったん、互いに落ち着く時間を作ろうと席を立つ。キッチンに向かう私に二人は声をかけることはなかった。
「お待たせしました」
冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注いでいく。人数分用意して、お盆に載せてジャスミンたちのもとに向かう。お茶だけでは寂しいと思ったので、一口サイズの包装がされたチョコレートも一緒に載せる。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
少し落ち着いたのか、二人はお礼を言って麦茶に口をつける。私も彼女たちの対面のソファに座り、同じように麦茶を飲む。
「話は変わりますけど、ジャスミンたちに送られてきた謎の手紙のことなんですけど、聞いてもいいですか?」
「さ。佐藤さん。蒼紗さんに話しちゃったんですか?あれほど秘密にしようと言っていたのに」
「仕方ないでしょ。どうせ、蒼紗に隠し事なんてできやしないんだし」
「それもそうですけど……」
「謎の手紙についてはジャスミンが話してくれました。その件ですが、犯人が何者かわかりました。彼女はもう、あなたたちに、今回のようないたずらを仕掛けることはないので安心してください」
こそこそと二人が話しているが。気にせず話を続ける。私は彼女たちに嫌がらせをしているのが彼らだと思っていたが、それは間違いだった。とりあえず、今後はこのようないたずらがなくなることを伝えておきたかった。
「ご丁寧に教えてくれてありがたいけど、いったい何者が私たちにあんな変な手紙を送ってきたの?私が犯人のもとに乗り込んで、お灸をすえたかったんだけど……」
「それには及びません。もう、彼女にいたずらはできませんから」
ジャスミンは自分で犯人を見つけて懲らしめたかったようだが、それは無理な話だ。犯人である「荒川結女」はもう、この世にいないのだから。
「蒼紗さんは、その犯人と知り合い、だったんですか?泣いていますよ」
「はあ。話さなくてもいいこと口にするからそうなるのよ」
綾崎さんの声に慌てて自分の目元を触ってみると、濡れているのがわかった。荒川結女のことを少し思い出しただけなのに、この状態とは。自分の心と身体の感情の不一致に呆れてしまう。
「この話はこの辺にしましょう。蒼紗がそう言うんだったら、私たちにいたずらはされないってことでしょ。だったら、もっと楽しい話題をしましょう。ほら、今日から夏休みなんだから、一緒に遊ぶ計画でも立てるとか」
「それはいいですね。一緒に海とかお祭りとかに行きたいですね。蒼紗さんの水着姿も浴衣姿も見てみたいです!」
「綾崎さん、たまにはいいこと言うわね。そうそう、夏休みなんだから、イベント盛りだくさんでしょ。何からやっていくか話し合うわよ!」
まったく、この二人は私の気も知らないで勝手なことを言い始める。しかし、そのおかげか、すぐに目元が渇き、新たに濡れることはなかった。
さようなら。私の幼馴染。私は彼女たちと一緒に居られて幸せですよ。
目をつむり、軽い黙とうをささげる。
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