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第一章 入学式
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「えっと、あなたが高橋に相談を持ち掛けた……」
「須見久瑠羽(すみくるは)です。高橋と同じ工学部一年生です」
「須見君、ええと、私は陽炎美彩(ようえんみさ)です。文学部一年です。高橋から相談があると聞きましたが、私でよければ相談してくれていいですよ」
美彩は男性と向き合い、彼の相談に応じることを伝えた。男性が自分の名前と所属を教えてくれたので、美彩も簡単な自己紹介をする。
「相談はいつにしましょう?私は明日も大学にきますが、須見君は……」
「僕も、明日は大学にきますので、ええと、そうだな、文学部棟の近くにある食堂にお昼、二時限目が終わったくらいの時間に集合ということでどうでしょうか?」
「それなら、私も助かります。でも、須見君は工学部でしょう?工学部のある場所からは遠い気が」
「いいえ、僕が相談をする側なので、そこは平気です」
『仕事のことになると、途端に饒舌になるな。先ほどまでとは大違いだ』
「そりゃあ、吹っ切れるでしょ。それに、今の私は仕事モードだから」
「おい、勝手に話しを進めるなよ!」
美彩と久瑠羽の会話に割り込もうとした高橋は無視して、美彩は久瑠羽に最後に別れの挨拶をした。
「じゃあ、また明日お会いしましょう」
美彩と須美はその場で連絡先を聞いて別れた。高橋は何か言いたそうにしていたが、シラコと一緒に文学部のガイダンスが行われる教室に戻り、彼の話を聞くことはなかった。
「ね、ねえ。さっきの須見君って子、かなりのイケメンだったよね。頑張って仕事モードで乗り切ったけど、明日、私正気でいられるかな」
『何を馬鹿なことを言っているのだ』
「だって、かっこよかったんだもん!」
須見久瑠羽という男性を見た瞬間、美彩はイケメン万歳と心の中で叫んでいた。髪を明るい茶髪に染めていたが、痛みのないサラサラヘア。目はアーモンド形の二重でキリッとした印象を受けたが、話してみると気さくで美彩の言葉を素直に聞いてくれた。鼻は高くすっと伸びていて、肌は白くてきれいだった。身長も高めで文句なしのカッコよさだった。今日は入学式ということもあり、スーツも着用していたため、美彩の目にはさらにイケメン度が上がって見えていた。
「高橋がどこで知り合ったのか知らないけど、須見君が困っているのなら、助けてあげたい」
『お前の出番が来そうな気配はしているがな』
「そうかな?」
『あの須見という男には、霊の気配が強く残っていた。ところで、美彩はイケメンとやらにそこまで興奮するとは知らなかったな』
「私だって、現実にイケメンが存在するとは思わなくて驚きだよ」
美彩は久瑠羽と別れてガイダンスが行われていた教室に戻る途中、シラコに須見久瑠羽のカッコよさを興奮気味に語っていた。
「すいません。途中でお腹の調子が悪くなって、お手洗いに」
「早く席に着きなさい」
「は、はい」
教室の扉を開けると、照明が消えることなく明るい室内が目に入る。教授が授業について説明しており、学生が真剣に話を聞いていた。つい数十分前まで照明が不自然に点滅し、いきなり消えるという超常現象が起こった現場とは思えない。学生も教授もパニックになっていたことが嘘のようだった。
途中で入室した美彩を不審そうに眺めた教授が席に着くよう促す。慌てて背を曲げて学生の邪魔にならないように空いていた席に座る。
「では、説明を続けます。授業はシラバスや授業を一度受けて決めてください。登録期間は明日から来週の一週間となります。登録を忘れると、単位が取れませんので、注意してください」
説明はあらかた終わっていたようで、シラバスの簡単な読み方と授業を登録するための方法を聞くだけとなった。
「突然照明が消えたときはどうしたのかと焦ったよ」
「早々、いったい何事かと思ったわ」
「でも、教授たちが新しい照明を取りに行っている間に照明がもとに戻って、いったいなんだったんだって話だよね」
ガイダンスが終わり、次々と教室から学生が出ていく。学生たちの間で話題になっていたのは、照明が突然消えたことだった。美彩は、彼らが話す内容を耳にしながらも、さっさと家に帰ることにした。
「須見久瑠羽(すみくるは)です。高橋と同じ工学部一年生です」
「須見君、ええと、私は陽炎美彩(ようえんみさ)です。文学部一年です。高橋から相談があると聞きましたが、私でよければ相談してくれていいですよ」
美彩は男性と向き合い、彼の相談に応じることを伝えた。男性が自分の名前と所属を教えてくれたので、美彩も簡単な自己紹介をする。
「相談はいつにしましょう?私は明日も大学にきますが、須見君は……」
「僕も、明日は大学にきますので、ええと、そうだな、文学部棟の近くにある食堂にお昼、二時限目が終わったくらいの時間に集合ということでどうでしょうか?」
「それなら、私も助かります。でも、須見君は工学部でしょう?工学部のある場所からは遠い気が」
「いいえ、僕が相談をする側なので、そこは平気です」
『仕事のことになると、途端に饒舌になるな。先ほどまでとは大違いだ』
「そりゃあ、吹っ切れるでしょ。それに、今の私は仕事モードだから」
「おい、勝手に話しを進めるなよ!」
美彩と久瑠羽の会話に割り込もうとした高橋は無視して、美彩は久瑠羽に最後に別れの挨拶をした。
「じゃあ、また明日お会いしましょう」
美彩と須美はその場で連絡先を聞いて別れた。高橋は何か言いたそうにしていたが、シラコと一緒に文学部のガイダンスが行われる教室に戻り、彼の話を聞くことはなかった。
「ね、ねえ。さっきの須見君って子、かなりのイケメンだったよね。頑張って仕事モードで乗り切ったけど、明日、私正気でいられるかな」
『何を馬鹿なことを言っているのだ』
「だって、かっこよかったんだもん!」
須見久瑠羽という男性を見た瞬間、美彩はイケメン万歳と心の中で叫んでいた。髪を明るい茶髪に染めていたが、痛みのないサラサラヘア。目はアーモンド形の二重でキリッとした印象を受けたが、話してみると気さくで美彩の言葉を素直に聞いてくれた。鼻は高くすっと伸びていて、肌は白くてきれいだった。身長も高めで文句なしのカッコよさだった。今日は入学式ということもあり、スーツも着用していたため、美彩の目にはさらにイケメン度が上がって見えていた。
「高橋がどこで知り合ったのか知らないけど、須見君が困っているのなら、助けてあげたい」
『お前の出番が来そうな気配はしているがな』
「そうかな?」
『あの須見という男には、霊の気配が強く残っていた。ところで、美彩はイケメンとやらにそこまで興奮するとは知らなかったな』
「私だって、現実にイケメンが存在するとは思わなくて驚きだよ」
美彩は久瑠羽と別れてガイダンスが行われていた教室に戻る途中、シラコに須見久瑠羽のカッコよさを興奮気味に語っていた。
「すいません。途中でお腹の調子が悪くなって、お手洗いに」
「早く席に着きなさい」
「は、はい」
教室の扉を開けると、照明が消えることなく明るい室内が目に入る。教授が授業について説明しており、学生が真剣に話を聞いていた。つい数十分前まで照明が不自然に点滅し、いきなり消えるという超常現象が起こった現場とは思えない。学生も教授もパニックになっていたことが嘘のようだった。
途中で入室した美彩を不審そうに眺めた教授が席に着くよう促す。慌てて背を曲げて学生の邪魔にならないように空いていた席に座る。
「では、説明を続けます。授業はシラバスや授業を一度受けて決めてください。登録期間は明日から来週の一週間となります。登録を忘れると、単位が取れませんので、注意してください」
説明はあらかた終わっていたようで、シラバスの簡単な読み方と授業を登録するための方法を聞くだけとなった。
「突然照明が消えたときはどうしたのかと焦ったよ」
「早々、いったい何事かと思ったわ」
「でも、教授たちが新しい照明を取りに行っている間に照明がもとに戻って、いったいなんだったんだって話だよね」
ガイダンスが終わり、次々と教室から学生が出ていく。学生たちの間で話題になっていたのは、照明が突然消えたことだった。美彩は、彼らが話す内容を耳にしながらも、さっさと家に帰ることにした。
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