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いつもの日常②
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能力者というものがこの世に存在すると知ったのは、つい最近のことである。普通の人にはない特殊能力を持った人間のことで、彼らには普通の人間にはない特徴がある。それがケモミミや尻尾、鬼の角といった容姿である。大抵、能力を発動するときにしか現れることがないので、普通の人間が能力者を判断することは難しい。
五感が異常に優れていることや、他人に化ける能力、水を操る能力、他人の能力を読み取る能力、相手を威嚇する能力など様々な能力があるようだ。
かくいう私も能力者のひとりである。言霊を操り相手を従わせる能力と、予知夢を見る能力である。私は能力を発動させてもケモミミや尻尾、角などが生えることはない。相手を従わせる際に瞳が金色に変わり、周囲も金色に光るぐらいである。
私に付きまとう佐藤という人物も実は能力者だ。彼女は威嚇の能力で相手をひるませることができる。そして彼女の血は猛毒であり、触れると危険なようだ。彼女は能力を発動させると瞳が爬虫類のように鋭くなり、身体にうろこのようなものが現れる。まるで蛇のようなので、九尾からは蛇女と呼ばれている。
さて、大学生活に欠かせないバイトだが、私は今、個人指導の塾講師のバイトをしている。訳あってこのバイト先は二つ目である。前のバイト先の塾「未来教育」は、そこの講師がロリコンの殺人犯だったため、やめることにした。
それが先ほどから出ている「瀧」という男だが、彼が殺人者だということはばれておらず、彼は現在、行方不明扱いされているので、塾自体は通常通り営業している。そんな塾で働き続けるのは嫌だったので塾を変えることにした。
そして、今働いている塾が「CSS(Child Support System)」だ。ここも「未来教育」と同じような個人指導を売りにしている塾で、働き方は同じだ。塾に来た生徒は塾で配布されるテキストを使って学習する。その際にわからないところを教えてあげるという仕事だ。そのほかにもノートの取り方や効率の良い学習方法などを教えている。学校の宿題を手伝うこともある。
週に3回、塾でのバイトが入っている。今回は塾の講師が問題を起こすということはないだろう。普通、バイト先に殺人者がいて、そのことを知らずに一緒にバイトをしていたという経験はないはずだ。私も二度とそんな経験はしたくない。
バイト先の上司にあたる講師は、車坂音子(くるまざかねこ)という名の若い男性だった。瀧とは違ってあまり自信がないようで、いつもおどおどしている印象がある。まだこの塾で働きだして日が浅いようだが、一応正社員のようで、バイトの講師のまとめ役を担っている。私の他にもバイトの講師はいるようだが、なかなかシフトが合わないのか、一緒に入ったことがない。
車坂は本当にいつもおどおどしているので、こっちが心配になってくるほどだった。面接のときは普通だと思っていたのだが、一緒に働いていると見えてくるものもあるということだ。
大学や、家、バイト先での愉快な面々と、無事平穏な大学生活を送れるかという無理な話である。しかし、できる限りのことをして平穏を守ろうと心に決めている。ただし、平穏はすぐに崩れ去る。
事件は私のすぐそばまで近づいてきているのだった。
五感が異常に優れていることや、他人に化ける能力、水を操る能力、他人の能力を読み取る能力、相手を威嚇する能力など様々な能力があるようだ。
かくいう私も能力者のひとりである。言霊を操り相手を従わせる能力と、予知夢を見る能力である。私は能力を発動させてもケモミミや尻尾、角などが生えることはない。相手を従わせる際に瞳が金色に変わり、周囲も金色に光るぐらいである。
私に付きまとう佐藤という人物も実は能力者だ。彼女は威嚇の能力で相手をひるませることができる。そして彼女の血は猛毒であり、触れると危険なようだ。彼女は能力を発動させると瞳が爬虫類のように鋭くなり、身体にうろこのようなものが現れる。まるで蛇のようなので、九尾からは蛇女と呼ばれている。
さて、大学生活に欠かせないバイトだが、私は今、個人指導の塾講師のバイトをしている。訳あってこのバイト先は二つ目である。前のバイト先の塾「未来教育」は、そこの講師がロリコンの殺人犯だったため、やめることにした。
それが先ほどから出ている「瀧」という男だが、彼が殺人者だということはばれておらず、彼は現在、行方不明扱いされているので、塾自体は通常通り営業している。そんな塾で働き続けるのは嫌だったので塾を変えることにした。
そして、今働いている塾が「CSS(Child Support System)」だ。ここも「未来教育」と同じような個人指導を売りにしている塾で、働き方は同じだ。塾に来た生徒は塾で配布されるテキストを使って学習する。その際にわからないところを教えてあげるという仕事だ。そのほかにもノートの取り方や効率の良い学習方法などを教えている。学校の宿題を手伝うこともある。
週に3回、塾でのバイトが入っている。今回は塾の講師が問題を起こすということはないだろう。普通、バイト先に殺人者がいて、そのことを知らずに一緒にバイトをしていたという経験はないはずだ。私も二度とそんな経験はしたくない。
バイト先の上司にあたる講師は、車坂音子(くるまざかねこ)という名の若い男性だった。瀧とは違ってあまり自信がないようで、いつもおどおどしている印象がある。まだこの塾で働きだして日が浅いようだが、一応正社員のようで、バイトの講師のまとめ役を担っている。私の他にもバイトの講師はいるようだが、なかなかシフトが合わないのか、一緒に入ったことがない。
車坂は本当にいつもおどおどしているので、こっちが心配になってくるほどだった。面接のときは普通だと思っていたのだが、一緒に働いていると見えてくるものもあるということだ。
大学や、家、バイト先での愉快な面々と、無事平穏な大学生活を送れるかという無理な話である。しかし、できる限りのことをして平穏を守ろうと心に決めている。ただし、平穏はすぐに崩れ去る。
事件は私のすぐそばまで近づいてきているのだった。
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