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動かぬ証拠①
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「この手帳は、あなたが働いている塾『未来塾』で働いていた男性のもの。その手帳に、あなたが犯してきた罪が事細かに書いてある。」
西園寺さんはその手帳を開き、中身を読み上げ始める。
○月△日。今日は塾でのアルバイトがあった。アルバイトを始めて一か月ぐらいになるが、だいぶ塾の雰囲気にも慣れてきた。塾の生徒の名前もだいぶ頭に入ってきた。
今日は瀧さんがいない日であり、自分1人で塾の生徒の対応をした。最近、瀧さんは塾に入らないことが多い。瀧さんは他の教室も見ているから、そちらに行っているのだと思えば、別に問題はない。それに自分がこの教室を任されていると考えれば、頑張る自信につながる。
しかし、瀧さんが休んでいるのには違う理由があり、何か危険なことをするために休んでいる。なぜかはわからないけれど、確信を持って言える。僕の本能は塾を今すぐやめろと警告している。
「この手帳の持ち主は能力者だった。名前は宇佐美翼、25歳。教師を目指していた男性で、危険察知能力が非常に高い。ウサギの耳と尻尾を持っていて、聴力にも優れている。彼はあなたのことが危険だと本能で感じた。そして、あなたが危険人物だと知ってしまった。彼はどうしようか悩んでいた。解決策が出ないまま、彼はあなたに殺された。」
「確かに、彼はウサギのような特殊能力を持っていました。危険察知能力にも優れていた。しかし、それがどうしたら私が犯人だとつながるのですか。」
○月×日。今日、自分は衝撃的な現場に出くわしてしまった。たまたま塾の近くにあるお寺の前を通った時だった。人が言い争う声が聞こえたので、寺の境内に近づいた。すると、瀧さんと一人の男性が寺の中にいた。何を話しているかまではわからなかったが、険悪な雰囲気だったことは確かだ。二人は自分に気付くことはなかった。瀧さんに声をかけようかとも思ったが、やめておいた。
僕は瀧さんと男の声が聞こえるぐらいに近づき、二人に気付かれないように身を隠した。すると、瀧さんがポケットから何かを取り出した。何かまではわからなかったが、それを男に突き刺した。僕は突然怖くなって、その場から逃げ出した。瀧さんが男をどうしたのかまではわからない。もしかしたら、その人を殺したのかもしれない。
瀧さんの言葉に手帳の続きを読み始める西園寺さん。どうやらこの宇佐美翼という人物は、その日あったことを事細かに日記に書いていたらしい。その中で、瀧さんが怪しいと書き記していたようだ。
「日記はこの日で終了している。そして、この手帳の持ち主は、その次の日の夜を境に消息不明。いわゆる行方不明となっている。彼には同棲している彼女がいて、警察に行方不明届が出されているわ。彼が最後に行った場所といえば、あなたが働いている塾『未来教育』で間違いはないはず。彼はその日は塾でのアルバイトが入っていた。」
「何が言いたいのか、大体理解しました。彼は確かに『未来教育』でアルバイトをしていましたが、その日記と、塾でアルバイトをしていたというだけでは証拠にならないではありませんか。彼の勤務記録を見せましょうか。その日はいつも通り、生徒が帰った後、彼と後片付けをして一緒に教室を出ています。退勤記録もありますよ。」
「まだ粘るつもりですか。証拠ならありますよ。これならどうですか。」
そう言って、西園寺さんが取り出したのはスマホだった。スマホを操作して、一枚の写真を瀧さんに提示する。そこには、瀧さんが見知らぬ男に何か注射器のようなものを突き刺している様子が写っていた。
「宇佐美翼は手帳にこそ記していなかったようだったけど、こんな写真を残していた。さて、彼の日記にある寺で話していた男性は誰で、その男に突き刺したものは何ですか。今、その女性に突き刺したものと同じではないのですか。」
「そこまで言われてしまうと隠しようがありませんね。宇佐美君がみたのは私の知り合いの男性です。写真に写っているのは、塾で一緒に働いている同僚ですが、どうも私と意見が合わなくて、言い争ってしまいました。ここに倒れている女性は、たまたまお寺の前を通りかかったので、お寺に興味がないかを尋ねて、彼女がお寺に興味を持っていたので話し込んでいただけですよ。この写真の注射器みたいなものはちょっとしたジョークですよ。おもちゃです。なんの害もありません。」
瀧さんは言い終わると同時に、佐藤さんに突き刺したものを再度、西園寺さんにも振りかざそうとした。不意打ちだったので西園寺さんはよけられそうもなかった。
私は思わず目をつむった。西園寺さんも佐藤さんと同じような目にあってしまう。それでも恐怖でとっさに動くことはできなかった。できることといえば、このままここに身を潜めてことが終わるのを待つだけだ。
西園寺さんが倒れる音が聞こえるかと思って身構えたが、ドサッという人が倒れる音は聞こえなかった。代わりに瀧さんのうめき声が聞こえた。どうやら誰かが瀧さんの腕をひねり上げているようだ。
「ったく、危ない目にあいやがって。ちょっとは自分の身体の心配もしといた方がいいぞ、桜華。」
誰かとは雨水君だった。どうやら雨水君が西園寺さんの危機を救ったみたいだ。雨水君は瀧さんの腕をひねり上げたまま、質問した。
「言いたいことはそれだけか、おっさん。こっちからは聞きたいことが山ほどあるが、まずは殺した奴の遺体はどこにやった。話したくないようなら、強制的に話させるまでだが。」
腕をひねり上げられている瀧さんは、痛さで苦しそうだった。しかし、それ以外の感情は読み取れなかった。
「全く、厄介な人をお供に連れていますね。水を操る能力ですか。道理でこの寺周辺だけ、霧がかかっているわけですね。仕方ありません、真実をお話ししましょう。まずは案内しましょう。私の秘密の儀式場へ。」
あっさりと真実を話すことを決めた瀧さん。何か考えがあるのだろうか。二人は顔を見合わせて頷いた。
「ぜひ案内させてもらいましょう。」
三人は寺の中に入り、寺の床を開けた瀧さんの後に続いて地下へと消えていく。
残されたのは、先ほど瀧さんによって気を失わされた佐藤さんと、ばれないように身を隠していた私の二人である。瀧さんたちがその場にいなくなったことを確認して、佐藤さんに近づく。生きているようなので安心した。
さて、これからどうしようか。瀧さんたちのことは気になるが、まずは佐藤さんをどうするかが問題である。
西園寺さんはその手帳を開き、中身を読み上げ始める。
○月△日。今日は塾でのアルバイトがあった。アルバイトを始めて一か月ぐらいになるが、だいぶ塾の雰囲気にも慣れてきた。塾の生徒の名前もだいぶ頭に入ってきた。
今日は瀧さんがいない日であり、自分1人で塾の生徒の対応をした。最近、瀧さんは塾に入らないことが多い。瀧さんは他の教室も見ているから、そちらに行っているのだと思えば、別に問題はない。それに自分がこの教室を任されていると考えれば、頑張る自信につながる。
しかし、瀧さんが休んでいるのには違う理由があり、何か危険なことをするために休んでいる。なぜかはわからないけれど、確信を持って言える。僕の本能は塾を今すぐやめろと警告している。
「この手帳の持ち主は能力者だった。名前は宇佐美翼、25歳。教師を目指していた男性で、危険察知能力が非常に高い。ウサギの耳と尻尾を持っていて、聴力にも優れている。彼はあなたのことが危険だと本能で感じた。そして、あなたが危険人物だと知ってしまった。彼はどうしようか悩んでいた。解決策が出ないまま、彼はあなたに殺された。」
「確かに、彼はウサギのような特殊能力を持っていました。危険察知能力にも優れていた。しかし、それがどうしたら私が犯人だとつながるのですか。」
○月×日。今日、自分は衝撃的な現場に出くわしてしまった。たまたま塾の近くにあるお寺の前を通った時だった。人が言い争う声が聞こえたので、寺の境内に近づいた。すると、瀧さんと一人の男性が寺の中にいた。何を話しているかまではわからなかったが、険悪な雰囲気だったことは確かだ。二人は自分に気付くことはなかった。瀧さんに声をかけようかとも思ったが、やめておいた。
僕は瀧さんと男の声が聞こえるぐらいに近づき、二人に気付かれないように身を隠した。すると、瀧さんがポケットから何かを取り出した。何かまではわからなかったが、それを男に突き刺した。僕は突然怖くなって、その場から逃げ出した。瀧さんが男をどうしたのかまではわからない。もしかしたら、その人を殺したのかもしれない。
瀧さんの言葉に手帳の続きを読み始める西園寺さん。どうやらこの宇佐美翼という人物は、その日あったことを事細かに日記に書いていたらしい。その中で、瀧さんが怪しいと書き記していたようだ。
「日記はこの日で終了している。そして、この手帳の持ち主は、その次の日の夜を境に消息不明。いわゆる行方不明となっている。彼には同棲している彼女がいて、警察に行方不明届が出されているわ。彼が最後に行った場所といえば、あなたが働いている塾『未来教育』で間違いはないはず。彼はその日は塾でのアルバイトが入っていた。」
「何が言いたいのか、大体理解しました。彼は確かに『未来教育』でアルバイトをしていましたが、その日記と、塾でアルバイトをしていたというだけでは証拠にならないではありませんか。彼の勤務記録を見せましょうか。その日はいつも通り、生徒が帰った後、彼と後片付けをして一緒に教室を出ています。退勤記録もありますよ。」
「まだ粘るつもりですか。証拠ならありますよ。これならどうですか。」
そう言って、西園寺さんが取り出したのはスマホだった。スマホを操作して、一枚の写真を瀧さんに提示する。そこには、瀧さんが見知らぬ男に何か注射器のようなものを突き刺している様子が写っていた。
「宇佐美翼は手帳にこそ記していなかったようだったけど、こんな写真を残していた。さて、彼の日記にある寺で話していた男性は誰で、その男に突き刺したものは何ですか。今、その女性に突き刺したものと同じではないのですか。」
「そこまで言われてしまうと隠しようがありませんね。宇佐美君がみたのは私の知り合いの男性です。写真に写っているのは、塾で一緒に働いている同僚ですが、どうも私と意見が合わなくて、言い争ってしまいました。ここに倒れている女性は、たまたまお寺の前を通りかかったので、お寺に興味がないかを尋ねて、彼女がお寺に興味を持っていたので話し込んでいただけですよ。この写真の注射器みたいなものはちょっとしたジョークですよ。おもちゃです。なんの害もありません。」
瀧さんは言い終わると同時に、佐藤さんに突き刺したものを再度、西園寺さんにも振りかざそうとした。不意打ちだったので西園寺さんはよけられそうもなかった。
私は思わず目をつむった。西園寺さんも佐藤さんと同じような目にあってしまう。それでも恐怖でとっさに動くことはできなかった。できることといえば、このままここに身を潜めてことが終わるのを待つだけだ。
西園寺さんが倒れる音が聞こえるかと思って身構えたが、ドサッという人が倒れる音は聞こえなかった。代わりに瀧さんのうめき声が聞こえた。どうやら誰かが瀧さんの腕をひねり上げているようだ。
「ったく、危ない目にあいやがって。ちょっとは自分の身体の心配もしといた方がいいぞ、桜華。」
誰かとは雨水君だった。どうやら雨水君が西園寺さんの危機を救ったみたいだ。雨水君は瀧さんの腕をひねり上げたまま、質問した。
「言いたいことはそれだけか、おっさん。こっちからは聞きたいことが山ほどあるが、まずは殺した奴の遺体はどこにやった。話したくないようなら、強制的に話させるまでだが。」
腕をひねり上げられている瀧さんは、痛さで苦しそうだった。しかし、それ以外の感情は読み取れなかった。
「全く、厄介な人をお供に連れていますね。水を操る能力ですか。道理でこの寺周辺だけ、霧がかかっているわけですね。仕方ありません、真実をお話ししましょう。まずは案内しましょう。私の秘密の儀式場へ。」
あっさりと真実を話すことを決めた瀧さん。何か考えがあるのだろうか。二人は顔を見合わせて頷いた。
「ぜひ案内させてもらいましょう。」
三人は寺の中に入り、寺の床を開けた瀧さんの後に続いて地下へと消えていく。
残されたのは、先ほど瀧さんによって気を失わされた佐藤さんと、ばれないように身を隠していた私の二人である。瀧さんたちがその場にいなくなったことを確認して、佐藤さんに近づく。生きているようなので安心した。
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