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狐とウサギと狼①
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「おい、人間もどき目を覚ませ。起きないとお前の魂を食ってやるぞ。」
しわがれた爺さんのような声が頭から降ってきた。確か、昨日は自分の部屋で寝たはずだ。それなのにどうして私を起こす声が聞こえるのだろう。まだ夢は冷めていないらしい。二度寝を決め込み、布団を頭からかぶって、声を遮断する。
「桜華があいつにやられたのはおぬしのせいでもあるぞ。責任をどうとってくれるのだ。」
その声に飛び起きた。そうだ。こんな悠長に寝ている場合ではない。西園寺さんが瀧さんに殺されて、子どもの幽霊にされてしまい、雨水君は行方不明となってしまうという大変な出来事を経験したばかりなことを思い出した。
改めて、声の主を観察する。声から想像して年寄りの老人を思い描いていたのだが、そこにいたのは狐の耳と尻尾を生やしたケモミミ少年だった。家にまでケモミミ少年が現れるとは。しかし、瀧さんの塾の生徒に狐の耳と尻尾を持った少年の幽霊は居なかったはずだ。いったい、この子は誰なのだろう。
「やっと目覚めたか。全く、神である我に起こさせるとはなんて無礼な人間もどきめ。さっさと支度をして出かけるぞ。」
この状況を理解できないまま、私は少年の言われるがまま、出かける支度を始めた。
「行ってきます。」
誰もいない家に向かって声をかけて家を出る。昨日が日曜日だったので、今日は平日の月曜日である。大学の授業どころではないので、そのまま少年の後を追うことにした。私の両親は仕事があって結局、今週一度も家に帰ってこなかった。
「さて、これからどうするかだが、我は桜華が死んでしまった今、それを桜華の父に知らせるべきか迷っている。桜華から話は聞いていると思うが、我は彼女の身代わりをしていた。しかし、彼女は昨日無残にも殺されてしまった。殺されて、瀧とかいう男にとらわれてしまった。お前はどうしたい。桜華はお前のことを気に入っていたようなので、意見を聞いてやる。我は桜華が死んだので、これで晴れて自由の身となった。お主が望むなら、桜華の仇をとる手伝いをしてやってもよいぞ。」
どこに向かっているかもわからないまま、とりあえず狐少年の後をついて歩いていると、 狐少年は、年より臭いしわがれた声で私に問いかけてきた。
この少年がいまだに誰かわからないが、私は西園寺さんたちを救いたいと思った。もし死んでいないのだったら、助け出したい。もしそれが無理で、すでに死んでしまっていても、魂だけでも安らかに成仏させてあげたい。瀧さんが犯人だとしたら、瀧さんを捕まえてそれ相応の罰を受けてもらいたい。
「主の考えは大体わかった。だがその前にお前の能力と正体を先にはっきりさせておく必要がある。お主は………。」
ここで狐少年は口を閉ざした。
先ほどからこの狐少年は、私のことを人間もどきと呼ぶ。もどきがついているのはなぜだろう。確かに私は普通の人とは違っている。しかし、人間の範囲内での違いだと思っている。
それよりもまず、この狐少年は一体誰だろう。会話からうすうす予測はできるが、これからのことを考えると、ここで正体をはっきりさせておきたい。
「私の能力などはあとでいいですから、あなたの正体を教えてください。あなたは一体何者ですか。」
「われの正体を知らずについてきたとは思えないが、お主が思っている通り、我は西園寺家を守護している神だ。西園寺家の初代当主と契約して代々西園寺家を守護し、繁栄をもたらしている。その契約は血の契約。そのため、奴の子孫にもこの契約は反映される。しかし、その契約もつい先日終わった。我はもう西園寺家にとどまる必要がない。我が離れれば、西園寺家は終わるだろう。桜華が死んだ今、もうこの世に西園寺の直系は存在しない。西園寺の直系となる子は桜華で最後だからな。あの家から出られてせいせいするわ。人間の生は短いとは言え、こう何代も面倒を見ていると飽きて来るものだ。だから、本当のことを言うと、あの瀧とかいう男にはある意味感謝もしている。我は直接西園寺のものに手出しはできないからな。」
狐少年は自分の正体を話してくれた。やはり西園寺家の狐の神様だったのか。自分の守るべき相手である西園寺さんが死んだことを嬉しがっているように見える。いくら神様だとは言え、不謹慎ではないか。
それにしても神様にしては威厳がないような気がする。しかし、さすが神様なのか、人の心をどうやら読むことができるらしい。
「威厳がないとは失礼な。この姿の方が何かと便利だと思ってこの姿をとっている。普段は気高き狐の姿なのだ。それと名前だが、九尾という高貴な名がある。狐少年ではない。桜華が死んだことを嬉しがっているということだが、別にそんなことはない。ただ、死んでしまった人間を悲しむということを我はしないだけだ。人間はいずれ死にゆくもので、その時期が桜華は早かっただけだ。」
「まあ、早めた原因は我にあるのだがな」と最後にぼそっとつぶやいた。そのつぶやきは私の耳には入らなかった。
九尾ということは尻尾が九本もあるのだろうか。とりあえず、この狐の正体はわかった。次は狐少年、九尾が話しかけていた私の能力だ。
「そうだ。お前の能力を説明せねばならないな。その前に腹が減った。朝ご飯が食べたい。ファミレスのランチで大丈夫だ。」
神様もお腹が減るのか、新たな発見である。私もまだ朝食は食べていないのでお腹が減っている。話しながら歩いていて気付かなかったが、いつの間にか近くのファミレスの前まで来ていたらしい。ご飯が食べたくてここまで歩いてきたのか。そして、九尾がお金を持っているとは思えないので、私におごってくれということだろう。
しかし、あることに気がついた。九尾の姿は人に見えるのだろうか。もし見えているのだとしたら、狐の耳や尻尾は隠さなければならない。
改めて、九尾の姿を確認する。身長は私より低く、中学1年生ぐらいだろうか。髪は白に近い金髪で、肩までの長さ、目の色は金色である。服装は意外にもパーカーに半ズボンという格好だった。パーカーで頭を隠して尻尾はパーカーの中にいれれば何とかごまかせるだろう。
「人には我の姿は見えている。耳や尻尾も当然見えるが、隠せば何とかなる。そのために服を現代のお前たちに合わせてある。」
どうやら耳や尻尾の心配はしなくてよさそうである。
しわがれた爺さんのような声が頭から降ってきた。確か、昨日は自分の部屋で寝たはずだ。それなのにどうして私を起こす声が聞こえるのだろう。まだ夢は冷めていないらしい。二度寝を決め込み、布団を頭からかぶって、声を遮断する。
「桜華があいつにやられたのはおぬしのせいでもあるぞ。責任をどうとってくれるのだ。」
その声に飛び起きた。そうだ。こんな悠長に寝ている場合ではない。西園寺さんが瀧さんに殺されて、子どもの幽霊にされてしまい、雨水君は行方不明となってしまうという大変な出来事を経験したばかりなことを思い出した。
改めて、声の主を観察する。声から想像して年寄りの老人を思い描いていたのだが、そこにいたのは狐の耳と尻尾を生やしたケモミミ少年だった。家にまでケモミミ少年が現れるとは。しかし、瀧さんの塾の生徒に狐の耳と尻尾を持った少年の幽霊は居なかったはずだ。いったい、この子は誰なのだろう。
「やっと目覚めたか。全く、神である我に起こさせるとはなんて無礼な人間もどきめ。さっさと支度をして出かけるぞ。」
この状況を理解できないまま、私は少年の言われるがまま、出かける支度を始めた。
「行ってきます。」
誰もいない家に向かって声をかけて家を出る。昨日が日曜日だったので、今日は平日の月曜日である。大学の授業どころではないので、そのまま少年の後を追うことにした。私の両親は仕事があって結局、今週一度も家に帰ってこなかった。
「さて、これからどうするかだが、我は桜華が死んでしまった今、それを桜華の父に知らせるべきか迷っている。桜華から話は聞いていると思うが、我は彼女の身代わりをしていた。しかし、彼女は昨日無残にも殺されてしまった。殺されて、瀧とかいう男にとらわれてしまった。お前はどうしたい。桜華はお前のことを気に入っていたようなので、意見を聞いてやる。我は桜華が死んだので、これで晴れて自由の身となった。お主が望むなら、桜華の仇をとる手伝いをしてやってもよいぞ。」
どこに向かっているかもわからないまま、とりあえず狐少年の後をついて歩いていると、 狐少年は、年より臭いしわがれた声で私に問いかけてきた。
この少年がいまだに誰かわからないが、私は西園寺さんたちを救いたいと思った。もし死んでいないのだったら、助け出したい。もしそれが無理で、すでに死んでしまっていても、魂だけでも安らかに成仏させてあげたい。瀧さんが犯人だとしたら、瀧さんを捕まえてそれ相応の罰を受けてもらいたい。
「主の考えは大体わかった。だがその前にお前の能力と正体を先にはっきりさせておく必要がある。お主は………。」
ここで狐少年は口を閉ざした。
先ほどからこの狐少年は、私のことを人間もどきと呼ぶ。もどきがついているのはなぜだろう。確かに私は普通の人とは違っている。しかし、人間の範囲内での違いだと思っている。
それよりもまず、この狐少年は一体誰だろう。会話からうすうす予測はできるが、これからのことを考えると、ここで正体をはっきりさせておきたい。
「私の能力などはあとでいいですから、あなたの正体を教えてください。あなたは一体何者ですか。」
「われの正体を知らずについてきたとは思えないが、お主が思っている通り、我は西園寺家を守護している神だ。西園寺家の初代当主と契約して代々西園寺家を守護し、繁栄をもたらしている。その契約は血の契約。そのため、奴の子孫にもこの契約は反映される。しかし、その契約もつい先日終わった。我はもう西園寺家にとどまる必要がない。我が離れれば、西園寺家は終わるだろう。桜華が死んだ今、もうこの世に西園寺の直系は存在しない。西園寺の直系となる子は桜華で最後だからな。あの家から出られてせいせいするわ。人間の生は短いとは言え、こう何代も面倒を見ていると飽きて来るものだ。だから、本当のことを言うと、あの瀧とかいう男にはある意味感謝もしている。我は直接西園寺のものに手出しはできないからな。」
狐少年は自分の正体を話してくれた。やはり西園寺家の狐の神様だったのか。自分の守るべき相手である西園寺さんが死んだことを嬉しがっているように見える。いくら神様だとは言え、不謹慎ではないか。
それにしても神様にしては威厳がないような気がする。しかし、さすが神様なのか、人の心をどうやら読むことができるらしい。
「威厳がないとは失礼な。この姿の方が何かと便利だと思ってこの姿をとっている。普段は気高き狐の姿なのだ。それと名前だが、九尾という高貴な名がある。狐少年ではない。桜華が死んだことを嬉しがっているということだが、別にそんなことはない。ただ、死んでしまった人間を悲しむということを我はしないだけだ。人間はいずれ死にゆくもので、その時期が桜華は早かっただけだ。」
「まあ、早めた原因は我にあるのだがな」と最後にぼそっとつぶやいた。そのつぶやきは私の耳には入らなかった。
九尾ということは尻尾が九本もあるのだろうか。とりあえず、この狐の正体はわかった。次は狐少年、九尾が話しかけていた私の能力だ。
「そうだ。お前の能力を説明せねばならないな。その前に腹が減った。朝ご飯が食べたい。ファミレスのランチで大丈夫だ。」
神様もお腹が減るのか、新たな発見である。私もまだ朝食は食べていないのでお腹が減っている。話しながら歩いていて気付かなかったが、いつの間にか近くのファミレスの前まで来ていたらしい。ご飯が食べたくてここまで歩いてきたのか。そして、九尾がお金を持っているとは思えないので、私におごってくれということだろう。
しかし、あることに気がついた。九尾の姿は人に見えるのだろうか。もし見えているのだとしたら、狐の耳や尻尾は隠さなければならない。
改めて、九尾の姿を確認する。身長は私より低く、中学1年生ぐらいだろうか。髪は白に近い金髪で、肩までの長さ、目の色は金色である。服装は意外にもパーカーに半ズボンという格好だった。パーカーで頭を隠して尻尾はパーカーの中にいれれば何とかごまかせるだろう。
「人には我の姿は見えている。耳や尻尾も当然見えるが、隠せば何とかなる。そのために服を現代のお前たちに合わせてある。」
どうやら耳や尻尾の心配はしなくてよさそうである。
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