朔夜蒼紗の大学生活~幽霊だって勉強したい~

折原さゆみ

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これからどうしましょうか

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 私は驚いて声を上げそうになるのを必死に抑えた。これは一体どういうことだろう。瀧さんとともに地下から出てきたのは、中学生ぐらいの姿になった西園寺さんらしき少女だった。少し、透けて見えるのは気のせいだろうか。

 瀧さんはその少女に向かって「桜華さん」と呼んでいた。いったい、地下で何があったのか。地下から戻ってきたのは、少女と瀧さんだけで雨水君は居なかった。


 

 夢で見たことを思い出す。地下室のような部屋で、男が女の胸の上にお札を置いて何かをつぶやき、そこから透明な人間が現れて、その何かは人間の中学生ぐらいの姿をとった。男がその何かに声をかけると、その何かは笑顔を見せてこういったのだ。


「わかった。先生のところで私、勉強頑張るね。」と。




 この夢にでてきたのは、もしや瀧さんと塾に通っていた子供の幽霊ではないのか。もしそうだとしたら、ここで目覚めたという塾に来ていた子たちはもしや………。

 隣にいる翼君の様子をうかがう。翼君は特に表情を変えることなく、一緒に身を隠していた。表情を変えないまま、翼君はこの状況を説明してくれた。驚きの事実だった。






「瀧が入っていた地下の部屋で、僕たちは目覚めているんだよ。そうして、僕たちは瀧によって、地上の世界を見る。これからあの女の人は僕たちと一緒に塾で勉強する新しい仲間になるはず。つまり、あの女の人は朔夜先生の知り合いみたいだけど、すでに瀧に殺されてしまったということだよ。」

 
 これは大変なことになった。もし、ここにいることが瀧さんにばれたら、私も西園寺さんたちと同じように殺されて、子供姿の幽霊にされてしまうのだろうか。

 そんなことにはならないように、今はこのまま瀧さんがこの寺から去っていくのを待つしかない。ここで西園寺さんと同じように殺されてしまっては、事件解決もできないまま、さらに被害者が増えてしまう。それだけは避けなければならない。




「朔夜先生は、ここにいてね。先生まで瀧の餌食になるのは嫌だからね。僕が瀧の気を引き付けるから、その隙をついて先生は逃げるんだ。」

 どうやら、翼君は瀧さんが何をしているのか知っているらしい。そして、私がここにいることがばれたらまずいことを理解しているようだ。私は頷いて、逃げる機会をうかがう。

 それにしても先ほどから翼君は瀧さんを瀧と呼び捨てにしている。記憶がないといっていたが、本当に何も覚えていないのか。気になったが、それはここから逃げた後に聞いても遅くはないはずだ。




「瀧先生、こんにちは。また新しい仲間ですか。」

 翼君が瀧さんの前に姿を現し、声をかける。翼君の姿に気が付くと、彼はにっこりとほほ笑む。


「そうですね。新しい仲間です。ただ、塾で一緒に勉強するのはもう少し後になりそうです。まずは、この身体に慣れてもらわなくてはなりませんからね。」

 
 そう言って、瀧さんと翼君、幽霊となった西園寺さんは、そのまま寺の外に向かって歩いて行った。

 


 完全に寺から瀧さんたちの姿が見えなくなったのを確認して、私は床下からはい出した。とんでもないことになった。とりあえず、今は家に帰って今後のことをゆっくり落ち着いて考えたい。

 


 家に帰る途中、瀧さんに見つかることはなかった。無事に家に帰り、自分の部屋のベッドに飛び込んだ。そしてそのまま意識を失ったかのように眠りについた。


 


 本当に最近夢をよく見る。今日は子供の幽霊たちと瀧さんが寺にいた。瀧さんは子供の幽霊に対して何かを話している。子供たちはその話を熱心に聞いている。話が終わると瀧さんは寺から出ていった。子供の幽霊の中には西園寺さんがいた。しかし、雨水君の姿はやはり見当たらなかった。

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