朔夜蒼紗の大学生活~幽霊だって勉強したい~

折原さゆみ

文字の大きさ
37 / 49

蛇もいました②

しおりを挟む
 最近の出来事が衝撃過ぎて、よく眠れていても、身体や精神が疲れ切っているらしい。私は授業が始まってそうそう、すぐに夢の中に旅立ちかけていた。九尾と佐藤さんの小声の会話が遠くに聞こえる。



 

 授業はいつの間にか終了していて、教室には私と九尾と佐藤さんしか残っていない。そして、そこには翼君と狼貴君と死んだはずの雨水君がその場にいた。




「さて、お主。言霊を操る能力を使いこなす練習をしていくぞ。お主の能力があれば、あの瀧という男はたやすく捕まえることができる。」

 
 私はその言葉にうなずく。今までどうやって能力を発動するかもわからなかったのに、今では発動方法がわかり、すでに何度も発動している。



「今日はそこの蛇娘にかけてみろ。瀧という男が、この娘をもう一度狙ってくるのは明白。彼女が瀧という男を誘い込むことができたらこちらの勝ちだ。誘い込んだのち、お主が能力を瀧に発動させる。」





「わかった。やってみる。」

 私は深呼吸した。そして、佐藤さんの目を見て叫んだ。




「私の質問に答えよ。」

 
 叫ぶと同時に私の周りが光りだす。さらには佐藤さんの周りも同じように光りだす。そして、今、私の瞳は金色に変わり、輝いているのだろう。自分の状況も冷静に判断できた。




「お前の能力について詳しく教えろ。」


「はい。私は身体に猛毒の血が流れています。その血を摂取すると、大抵の人間は身体がしびれ、動けなくなる。摂取量が多いと最悪死に至る猛毒の血液です。さらに私には威嚇の能力があります。蛇ににらまれた蛙のように、人間は私のひとにらみで身体が動かなくなります。」

 
 自分の能力を説明を始める佐藤さん。顔の半分が蛇のうろこのようなものに覆われていく。瞳は爬虫類特有の鋭いものに変化していく。
 
 能力がうまく発動したようだ。私の質問に答え終わると、私たちを覆っていた光が消え、佐藤さんは気を失って倒れてしまった。慌てて佐藤さんに駆け寄る。










「蒼紗、蒼紗。授業が終わったわよ。次の授業は休講になっているから、この後、少し早いけど食堂に行って昼食を食べながら今後のことを話し合いましょう。」


 はっと顔を上げる。すると、私の顔を覗き込む九尾と佐藤さんの顔があった。

 

 今見たものは夢だったのか。これが私の能力である予知夢だろうか。私の顔を覗き込んでいた九尾が、私の思いつめた表情に気が付いた。




「夢を見たのか。」


「まあ、授業中に夢まで見るなんて、どれだけ爆睡していたのやら。最近疲れたような顔をしていたし、何か悩み事でもあるのかしら。」



 悩み事はたくさんある。瀧さんのことがメインだが、西園寺さんと雨水君のこと、それから………。

 そこであることに気が付いた。今日、佐藤さんは西園寺さんについての質問を私にしていない。どういうことだろう。普段なら、私が大学に来ているのに、西園寺さんたちが来ていないということを必ず質問するはずだ。




「どうしたのかしら。蒼紗。私の顔に何かついているのかしら。」


 聞いてみるべきだろうか。西園寺さんのことを。



「まずはこの教室を出よう。話はそれからだ。」

 九尾が話を遮るように言った。





「それもそうね、じゃあ、食堂にでも行きましょう。」

 私たちは食堂に向かった。私の心には重い暗雲が立ち込めていた。






 食堂に着くと、まだお昼前で席は結構空いていた。私たちは向かい合わせに席に着く。外を見ると、雨が降っていた。雨を見ると雨水君を思い出す。そういえば、夢の中で雨水君の姿があった。生きているのだろうか。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」

masuta
キャラ文芸
恋と友情、そして命を懸けた決断。青春は止まらない。 世界を股にかける財閥の御曹司・嘉位は、U-15日本代表として世界一を経験した天才投手。 しかし、ある理由で野球を捨て、超エリート進学校・和井田学園へ進学する。 入学式の日、偶然ぶつかった少女・香織。 彼女は、嘉位にとって“絶対的替えの効かない、唯一無二の存在”だった。 香織は、八重の親友。 そして八重は、時に未来を暗示する不思議な夢を見る少女。 その夢が、やがて物語を大きく動かしていく。 ゴールデンウィーク、八重の見た夢は、未曾有の大災害を告げていた。 偶然か、必然か……命を守るために立ち上がる。 「誰も欠けさせない」という信念を胸に走り続ける。 やがて災害を未然に防ぎ、再びグラウンドへと導く。 その中で、恋もまた静かに進んでいく。 「ずっと、君が好きだった」告白の言葉が、災害と勝負を越えた心を震わせる。 それぞれの想いが交錯し、群像劇は加速する。 一人ひとりが主人公。人生に脇役はいない。 現代ファンタジーとリアルが交錯する青春群像劇。 本作は小説家になろう、オリジナル作品のフルリメイク版です。

ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!

オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。 ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。 学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。 当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。 同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。 ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。 そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。 まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。  その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。 こうしてジュリーとの同居が決まった。 しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。  

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

完結‼️翡翠の歌姫は 後宮で声を隠す―2人の皇子と失われた記憶【1/23本編完結】

雪城 冴
キャラ文芸
本編完結‼️【中華サスペンス】 皇帝が隠した禁忌の秘密。 それを“思い出してはいけない少女”がいた。 「その眼で見るな――」 特殊な眼を持つ少女・翠蓮は、忌み嫌われ、村を追われた。 居場所を失った彼女が頼れたのは、歌だけ。 宮廷歌姫を目指して辿り着いた都でも、待っていたのは差別と孤立。 そんな翠蓮に近づいたのは、 危険な香りをまとう皇子と、天女のように美しいもう一人の皇子だった。 だが、その出会いをきっかけに皇位争い、皇后の執着、命を狙われる日々。 追い詰められる中で、翠蓮の忘れていた記憶が揺り動く。 かつて王家が封じた“力”とは? 翠蓮の正体とは? 声を隠して生き延びるか。 それとも、すべてを賭けて歌うのか。 運命に選ばれた少女が、最後に下す決断とは――? ※架空の中華風ファンタジーです ※アルファポリス様で先行公開しており、書き溜まったらなろう、カクヨム様に移しています ※表紙絵はAI生成

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

あやかし帝都の婚姻譚 〜浄癒の花嫁が祓魔の軍人に溺愛されるまで〜

鳴猫ツミキ
キャラ文芸
【完結】【第一章までで一区切り】時は大正。天羽家に生まれた桜子は、特異な体質から、家族に虐げられた生活を送っていた。すると女学院から帰ったある日、見合いをするよう命じられる。相手は冷酷だと評判の帝国陸軍あやかし対策部隊の四峰礼人だった。※和風シンデレラ風のお話です。恋愛要素が多いですが、あやかし要素が主体です。第9回キャラ文芸大賞に応募しているので、応援して頂けましたら嬉しいです。【第一章で一区切りで単体で読めますので、そこまででもご覧頂けると嬉しいです】。

処理中です...