朔夜蒼紗の大学生活~幽霊だって勉強したい~

折原さゆみ

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雨男は生きていました①

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 塾が終わり、家に帰ると、家の前には人が立っていた。近づいていくと、それは死んだと思っていたはずの雨水君であった。


「雨水君、生きていたんだね。西園寺さんは瀧に殺されてしまったけれど、雨水君だけでも殺されていなくてよかった。」

「どうして、桜華が殺されたことを知っている。」



 そう言うと、雨水君はその場で崩れ落ちた。慌てて近くに駆け寄ると、雨水君は苦しそうにしていた。熱があるのか、顔が真っ赤である。


「熱がありそうだな。自分の仕えている主が目の前で殺されてしまったのだから、ショックで熱が出るのも仕方がないな。」

 
 いつの間にかそばにいた九尾が、雨水君の様子を見て話し出す。とりあえず、このまま雨水君をこの場においてはおけないので、私の家にいれることにした。今日も両親は仕事で帰るのが遅いらしい。家には誰もいなかった。

 
 自分の部屋に雨水君を運び、ベッドに寝かせる。熱に浮かされた雨水君の額に、ぬれタオルを置いてやる。雨水君はそのまま気を失ったように眠りについた。


 ふと、外を見ると、雨が降り出していた。雨水君が家の前にいたときには降っていなかったはずだ。ザーザーと激しく雨が地面にたたきつけられている。外はすでに夜で真っ暗だったが、雨が降っているせいで余計暗く感じる。

 

 雨水君が寝ている間、私はお風呂に入ったり、大学の授業の復習をしたり、瀧さんについて考えたりして時間をつぶした。

 しばらくして、雨水君が目を覚ました。横になって少し楽になったのだろうか。顔色がよくなっている。雨水君があたりを見渡し、私に気付いたようだ。




「ここは朔夜の部屋か。」

「そうです。私の家の前に雨水君が立っていて、私が近づいたら急に倒れだしたので驚きました。」


「そうか。迷惑をかけてすまなかった。おかげでだいぶ良くなったから、ここを出るよ。これ以上お前に迷惑をかけるわけにはいかない。」


 ベッドから起き上がり、私の部屋から出ていこうとする雨水君。慌てて引き留める。少し横になっただけで、体調がそんなにも回復するわけがない。それに聞きたいことがたくさんある。



「どうして私が、西園寺さんが殺されてしまったことを知っているか気になりませんか。それに私は殺した犯人を知っている。これから西園寺さんの仇を採るというならば、情報は必要ではないでしょうか。私も西園寺さんの仇を打とうと考えています。私たちは協力できると思います。」

 



 私は雨水君に提案する。おそらく、雨水君一人で瀧さんのところに乗り込んでも勝算は低い。今回は何とか殺されずに済んだが、作戦もなく乗り込んでしまうのは危険である。何より、今の雨水君は体調が悪く、本気で戦える状態ではない。体調を回復させるついでに情報を聞くというのは悪くないことだと思う。



「確かになぜ桜華が殺されたかを知っているか興味はある。ただ、その話を聞くためにここに残るのはダメだ。桜華の仇を打とうと考えてくれるのはありがたいが、これは俺たちの問題だ。それに相手は危険な能力者だ。これ以上犠牲は出したくない。」



「実際あの男は危険だから、蒼紗を危険にさらしたくないのはわかるが、一人で勝てる相手かのう。蒼紗と協力した方がよいと思うがのう。」

 
 ここで九尾が口をはさんできた。そういえば、九尾が近くにいたのだった。今まで静かにしていたから全然気づかなかった。
 
 雨水君は私しかいないと思っていたようで、突然話し出した九尾を見て警戒する。




「この子は九尾といいます。怪しい子供ではありませんよ。西園寺さんの家の………。」


「我から話そう。我は九尾。お主はあったことはないかもしれんが、西園寺家の守護神である。今回の件は残念だったな。」



「お前が西園寺家の守護神か。桜華から話は聞いたことがある。そんな守護神がなぜこんなところにいる。京都にいるのではなかったのか。桜華のことを守ることもせず、今更どの面下げてここにいるつもりだ。」



「そりゃあ、西園寺家次期当主様が亡くなったとなれば、飛んでくるのも当然だろう。守れずとは言ったが、それはおぬしも同じだろう。自分は助かって、主をみすみす殺されているのだから。」

 二人はお互いに睨みあう。そして、その睨み合いに負けたのは雨水君だった。




「ああそうだ。俺は桜華を見殺しにしてしまった。だからこそ、これ以上は犠牲を出したくない。しかし、情報がないと十分に戦えないことも事実だ。話を聞くことにしよう。」

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