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16予想通り
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会場には結婚式が始まる1時間前に到着した。電車による遅延もなく、バス停のすぐ近くに式場があったため、迷うことはなかった。
式場はホテルの敷地内のチャペルで行われる予定だった。チャペルの中で行われる結婚式を二人はとても楽しみにしていた。楓子はホテルのホームページを見て驚いたものだ。美耶は、県内でも人気だという式場で式を挙げようとしていた。
口コミを見ると、半年前には予約がいっぱいになるという。そんな場所で親友の晴れ姿、ウェディングドレス姿を見られることを期待していた。
しかし、楓子と紅葉はホテルに入り、違和感を抱いて互いの顔を見合わせる。
「今日って、本当に先輩の結婚式があるんだよね?」
「ちょっと待って、スマホで見てみる」
慌ててエントランスの人の邪魔にならない場所に移動して、楓子はスマホで美耶から送られてきたメッセージを確認する。確かにこの式場で間違いない。
「日付も今日だし、場所もここで間違いないはず」
スマホと式場を交互に見て紅葉に伝える。紅葉もまた、自分のスマホを見ていたが、楓子の言葉を聞いて頷く。
「そ、そういえば、今日の予定に美耶の名前がなかったような……」
楓子は式場に掲げられていた本日の予定の中に美耶の名前がないことに気づく。式場で結婚式自体は行われる予定だった。しかし、肝心の彼女たちの名前が掲示板には見当たらない。今日は美耶以外の二件の結婚式が執り行われる予定になっていた。
『やっぱり……』
この事実に楓子と紅葉は驚くことはなかった。心のどこかで、これは美耶による自分たちをおびき寄せる罠だと思っていた。それが現実になっただけである。二人はとりあえず、この事実をもっと確実にするため、受付で聞いてみることにした。
「親友の結婚式が今日、ここで行われると聞いたんですけど」
「お名前を教えていただけますか?」
「エエト……」
楓子が閉じたスマホをまた開いて、美耶のメッセージを見ようとするが、その手が止まる。
「ね、ねえ。紅葉。美耶の旦那さんの苗字ってわかる?」
「あああああ」
「お客様?」
大事なことが美耶のメッセージには書かれていなかった。弟もその事実に気づいてうなりだす。
「す、すいません。私たちが日にちを勘違いしていたみたいです」
「ありがとうございます」
楓子たちは急に恥ずかしくなって、急いで式場の外に出た。外は先ほどまでの雲一つない快晴とは変わり、雲が流れてきて曇り始めていた。
どうやら、二人は彼女に騙されていたらしい。どうして、そこまでしてこの場所に自分たちを呼んだのだろうか。結婚式場に呼んだ意味がわからない。しかし、このままここでのんびり話している場合ではないことはわかった。
(このまますぐに家に帰ろう)
「も、紅葉。今日は残念だったけど、このまま帰ろう。私の家に寄る?家に帰って今後の子とでもは、話そうか?」
「そ、そうだね。せっかくここまで来て帰るのは寂しいけど、寄り道せずに帰ろう。姉ちゃんの家に寄ってもいいのなら、寄っていこうかな」
楓子の気持ちを理解した紅葉も同じ気持ちだったらしい。嫌な予感がした二人は、急いで会場を離れることにした。
会場を出てバス停まで速足で歩いていると、今日式を挙げる新郎新婦に招待された人たちが続々と歩いていくのを見かける。本来なら、自分たちもあのように式を楽しみに会場入りしていたのだろう。
「いったい、どこまで私たちをコケにしたらすむの!」
「ここで怒らないでよ。ここは式場なんだから、他の人たちのことも考えて」
紅葉に嗜まれるが、楓子の怒りは収まらない。せっかく彼女のために張り切ってワンピースなどを新調したのに無駄になってしまった。別にほかの友人たちの結婚式で代用できるので全くの無駄ではなかったが、それでも今日という時間は無駄になってしまった。
ちらりと紅葉に視線をむけると、紅葉も内心では怒りを覚えているようだ。バスが来るまでの間、足をどんどんと地面に打ち付けていた。
式場はホテルの敷地内のチャペルで行われる予定だった。チャペルの中で行われる結婚式を二人はとても楽しみにしていた。楓子はホテルのホームページを見て驚いたものだ。美耶は、県内でも人気だという式場で式を挙げようとしていた。
口コミを見ると、半年前には予約がいっぱいになるという。そんな場所で親友の晴れ姿、ウェディングドレス姿を見られることを期待していた。
しかし、楓子と紅葉はホテルに入り、違和感を抱いて互いの顔を見合わせる。
「今日って、本当に先輩の結婚式があるんだよね?」
「ちょっと待って、スマホで見てみる」
慌ててエントランスの人の邪魔にならない場所に移動して、楓子はスマホで美耶から送られてきたメッセージを確認する。確かにこの式場で間違いない。
「日付も今日だし、場所もここで間違いないはず」
スマホと式場を交互に見て紅葉に伝える。紅葉もまた、自分のスマホを見ていたが、楓子の言葉を聞いて頷く。
「そ、そういえば、今日の予定に美耶の名前がなかったような……」
楓子は式場に掲げられていた本日の予定の中に美耶の名前がないことに気づく。式場で結婚式自体は行われる予定だった。しかし、肝心の彼女たちの名前が掲示板には見当たらない。今日は美耶以外の二件の結婚式が執り行われる予定になっていた。
『やっぱり……』
この事実に楓子と紅葉は驚くことはなかった。心のどこかで、これは美耶による自分たちをおびき寄せる罠だと思っていた。それが現実になっただけである。二人はとりあえず、この事実をもっと確実にするため、受付で聞いてみることにした。
「親友の結婚式が今日、ここで行われると聞いたんですけど」
「お名前を教えていただけますか?」
「エエト……」
楓子が閉じたスマホをまた開いて、美耶のメッセージを見ようとするが、その手が止まる。
「ね、ねえ。紅葉。美耶の旦那さんの苗字ってわかる?」
「あああああ」
「お客様?」
大事なことが美耶のメッセージには書かれていなかった。弟もその事実に気づいてうなりだす。
「す、すいません。私たちが日にちを勘違いしていたみたいです」
「ありがとうございます」
楓子たちは急に恥ずかしくなって、急いで式場の外に出た。外は先ほどまでの雲一つない快晴とは変わり、雲が流れてきて曇り始めていた。
どうやら、二人は彼女に騙されていたらしい。どうして、そこまでしてこの場所に自分たちを呼んだのだろうか。結婚式場に呼んだ意味がわからない。しかし、このままここでのんびり話している場合ではないことはわかった。
(このまますぐに家に帰ろう)
「も、紅葉。今日は残念だったけど、このまま帰ろう。私の家に寄る?家に帰って今後の子とでもは、話そうか?」
「そ、そうだね。せっかくここまで来て帰るのは寂しいけど、寄り道せずに帰ろう。姉ちゃんの家に寄ってもいいのなら、寄っていこうかな」
楓子の気持ちを理解した紅葉も同じ気持ちだったらしい。嫌な予感がした二人は、急いで会場を離れることにした。
会場を出てバス停まで速足で歩いていると、今日式を挙げる新郎新婦に招待された人たちが続々と歩いていくのを見かける。本来なら、自分たちもあのように式を楽しみに会場入りしていたのだろう。
「いったい、どこまで私たちをコケにしたらすむの!」
「ここで怒らないでよ。ここは式場なんだから、他の人たちのことも考えて」
紅葉に嗜まれるが、楓子の怒りは収まらない。せっかく彼女のために張り切ってワンピースなどを新調したのに無駄になってしまった。別にほかの友人たちの結婚式で代用できるので全くの無駄ではなかったが、それでも今日という時間は無駄になってしまった。
ちらりと紅葉に視線をむけると、紅葉も内心では怒りを覚えているようだ。バスが来るまでの間、足をどんどんと地面に打ち付けていた。
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