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異世界転移をした彼女は女性の意識改革(服装改革)を行うことにした
24やっとのことで、制服問題に終止符が打たれそうです
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男性騎士団の不満をソフィアが淡々と読み上げていく。
「不満点①露出が多すぎて防御面に不備がある。不満➁露出が多いせいで、思うように身体を動かすことができず、業務に支障が出る。不満③男女で同じというのが気に入らない。不満④動きづらい。不満⑤寒い……」
「不満の量がすごいな。おや、ソフィア、嘆願書の他に書類があるようだな。左手に持っている書類はなんだ?」
エリザベスは、嘆願書に書かれている制服に対する不満をソフィアから聞いている途中、彼女が、嘆願書の他にもう一種類の書類を手に持っているのを発見した。
「ああ、これですか。これは、女性からの嘆願書ですね。女性騎士団からも書類を受け取りまして。まずは、男性騎士からいただいたものから読んでいこうかと思いまして」
「なになに、ほう、これはまた」
ソフィアから、女性からの嘆願書と言われた書類を受け取り、エリザベスは書類にさっと目を通す。そこには、興味深い内容が記載されていた。知らず知らずのうちに、エリザベスは笑みを浮かべていた。
「何か、エリザベス様の興味を惹かれることが書かれていたのですか?」
ソフィアがエリザベスの元に近寄り、書類の内容を覗き込む。
「面白いだろう?カナデも喜びそうなものだと思って、つい笑ってしまった」
「ずいぶん、カナデのことがお気に入りのようですね。まったく、あんな格好だというのに、女性からの人気は結構なものですね。妬けてしまいます。ですが、カナデ好みの案件であるのは確かですね」
「カナデは確かに面白いし、気に入っている。しかし、ソフィア。われはお主のことも気に入っておるぞ。妬いておるとは、ソフィアもかわいいところがあるのう」
「なっ!私は別にそんなことは思ってはいません」
つい、本音が口から出てしまったソフィアだが、しっかりとエリザベスには聞かれてしまったようだ。
『ふふふ』
二人は顔を見合わせて微笑み合う。カナデの話題が出ると、どこかゆるい気持ちになってしまう。今の状況がとても笑える状況ではないのに、つい、笑みがこぼれてしまう。
どちらも美女に値する女性であるため、二人が仲睦まじく微笑み合う様子はとても華やかで、そばでその様子を見ていた老人たちは、ソフィアが嫌いな者もいたのだが、全員が二人を見て、顔を赤らめていた。
しばらくの間、ソフィアとエリザベスはにこやかに微笑み合っていたが、次第に本題である制服の議論に花を咲かせていく。その間もずっと微笑みは維持されていたが、どうにも不穏な雰囲気を老人たちは感じ取っていた。それでも、目を奪われるような二人の笑みに目を離すことができなかった。
「ごほん」
エリザベスの咳払いによって、男性たちは我に返り、この国の女王が下す決断を待つ。
「男性からの嘆願書だが、男性だけの意見を聞き入れるのも不公平だと思うので、女性からの意見も鑑みて、今回の決定をすることにした」
「言い方が正しくありませんよ。女性からの嘆願書もあったので、精査して女性の意見を取り入れることにした、でしょう?」
「そうは言っても、それでは女性の意見だけ聞いて、男性を無視したみたいになってしまう。独断と偏見になってしまうのは避けたい」
「いいではありませんか。この世界って、どう考えても、男尊女卑確定世界ではないですか!少しくらい女性がいい思いをしてもいいとは思いますよ」
「ふむ、わかった」
ソフィアとエリザベスが、男性陣にはよくわからない会話を繰り広げていた。なにやら不穏な雰囲気を感じ取った老人たちの一人が、恐る恐る二人に話しかける。
「あの、エリザベス様、いったい何の話をしているのでしょうか。騎士団の男性の嘆願書を受け入れて、制服をもとに戻すのではないのですか」
『えっ!』
『えっ!』
二人の予想外に驚いた反応に、声をかけた男性も驚きの声を上げた。
「もちろん、元に戻そうとは思っていますが、それだけだと思いますか?まあ、その説明の前に、エリザベス様、もう一つの嘆願書を読み上げてはいかがでしょうか。その方が、彼らにもわかりやすいと思いますので」
「では、読み上げてみようか」
ソフィアに促されて、エリザベスが手に持っていたもう一つの嘆願書の内容を読み上げる。すると、老人たちの顔色がみるみる悪くなっていく。しまいには、うずくまるようにして床に倒れこむものまで現れた。
「……ということだが、これに何か異論のある者はおろうか?」
「ううう、女性からそんな目で見られるなんてうらやましい」
「オレも、露出度を挙げればもしや」
「今から、事務職の制服も改定するか?」
女性騎士からもらった嘆願書には、男性の騎士団の制服に関する感想が記載されていた。以前、男性から受けていた嫌な視線を今度は私たちが向けているかもしれないということ、 男たちが自分たちと同じ目に遭っていて、最初は当然の報いだと思っていたが、ずっとこのままでは、業務に差し支えるようになる、だから、男性の制服を元に戻し、女性の制服もソフィアさんが提案した制服に変更して欲しい、と言った内容だった。
ソフィアはその内容の、最初の部分だけを抜粋して老人たちに教えた。そのため、老人たちががっくりと肩を落としているのだった。男とは、いくつになっても、女にモテたい生き物なのだと二人は改めて実感した。
老人たちの声があちこちから聞こえるが、聞かぬふりをして、今度こそ、エリザベスは決断を下した。
「騎士団の今後の制服は……」
「不満点①露出が多すぎて防御面に不備がある。不満➁露出が多いせいで、思うように身体を動かすことができず、業務に支障が出る。不満③男女で同じというのが気に入らない。不満④動きづらい。不満⑤寒い……」
「不満の量がすごいな。おや、ソフィア、嘆願書の他に書類があるようだな。左手に持っている書類はなんだ?」
エリザベスは、嘆願書に書かれている制服に対する不満をソフィアから聞いている途中、彼女が、嘆願書の他にもう一種類の書類を手に持っているのを発見した。
「ああ、これですか。これは、女性からの嘆願書ですね。女性騎士団からも書類を受け取りまして。まずは、男性騎士からいただいたものから読んでいこうかと思いまして」
「なになに、ほう、これはまた」
ソフィアから、女性からの嘆願書と言われた書類を受け取り、エリザベスは書類にさっと目を通す。そこには、興味深い内容が記載されていた。知らず知らずのうちに、エリザベスは笑みを浮かべていた。
「何か、エリザベス様の興味を惹かれることが書かれていたのですか?」
ソフィアがエリザベスの元に近寄り、書類の内容を覗き込む。
「面白いだろう?カナデも喜びそうなものだと思って、つい笑ってしまった」
「ずいぶん、カナデのことがお気に入りのようですね。まったく、あんな格好だというのに、女性からの人気は結構なものですね。妬けてしまいます。ですが、カナデ好みの案件であるのは確かですね」
「カナデは確かに面白いし、気に入っている。しかし、ソフィア。われはお主のことも気に入っておるぞ。妬いておるとは、ソフィアもかわいいところがあるのう」
「なっ!私は別にそんなことは思ってはいません」
つい、本音が口から出てしまったソフィアだが、しっかりとエリザベスには聞かれてしまったようだ。
『ふふふ』
二人は顔を見合わせて微笑み合う。カナデの話題が出ると、どこかゆるい気持ちになってしまう。今の状況がとても笑える状況ではないのに、つい、笑みがこぼれてしまう。
どちらも美女に値する女性であるため、二人が仲睦まじく微笑み合う様子はとても華やかで、そばでその様子を見ていた老人たちは、ソフィアが嫌いな者もいたのだが、全員が二人を見て、顔を赤らめていた。
しばらくの間、ソフィアとエリザベスはにこやかに微笑み合っていたが、次第に本題である制服の議論に花を咲かせていく。その間もずっと微笑みは維持されていたが、どうにも不穏な雰囲気を老人たちは感じ取っていた。それでも、目を奪われるような二人の笑みに目を離すことができなかった。
「ごほん」
エリザベスの咳払いによって、男性たちは我に返り、この国の女王が下す決断を待つ。
「男性からの嘆願書だが、男性だけの意見を聞き入れるのも不公平だと思うので、女性からの意見も鑑みて、今回の決定をすることにした」
「言い方が正しくありませんよ。女性からの嘆願書もあったので、精査して女性の意見を取り入れることにした、でしょう?」
「そうは言っても、それでは女性の意見だけ聞いて、男性を無視したみたいになってしまう。独断と偏見になってしまうのは避けたい」
「いいではありませんか。この世界って、どう考えても、男尊女卑確定世界ではないですか!少しくらい女性がいい思いをしてもいいとは思いますよ」
「ふむ、わかった」
ソフィアとエリザベスが、男性陣にはよくわからない会話を繰り広げていた。なにやら不穏な雰囲気を感じ取った老人たちの一人が、恐る恐る二人に話しかける。
「あの、エリザベス様、いったい何の話をしているのでしょうか。騎士団の男性の嘆願書を受け入れて、制服をもとに戻すのではないのですか」
『えっ!』
『えっ!』
二人の予想外に驚いた反応に、声をかけた男性も驚きの声を上げた。
「もちろん、元に戻そうとは思っていますが、それだけだと思いますか?まあ、その説明の前に、エリザベス様、もう一つの嘆願書を読み上げてはいかがでしょうか。その方が、彼らにもわかりやすいと思いますので」
「では、読み上げてみようか」
ソフィアに促されて、エリザベスが手に持っていたもう一つの嘆願書の内容を読み上げる。すると、老人たちの顔色がみるみる悪くなっていく。しまいには、うずくまるようにして床に倒れこむものまで現れた。
「……ということだが、これに何か異論のある者はおろうか?」
「ううう、女性からそんな目で見られるなんてうらやましい」
「オレも、露出度を挙げればもしや」
「今から、事務職の制服も改定するか?」
女性騎士からもらった嘆願書には、男性の騎士団の制服に関する感想が記載されていた。以前、男性から受けていた嫌な視線を今度は私たちが向けているかもしれないということ、 男たちが自分たちと同じ目に遭っていて、最初は当然の報いだと思っていたが、ずっとこのままでは、業務に差し支えるようになる、だから、男性の制服を元に戻し、女性の制服もソフィアさんが提案した制服に変更して欲しい、と言った内容だった。
ソフィアはその内容の、最初の部分だけを抜粋して老人たちに教えた。そのため、老人たちががっくりと肩を落としているのだった。男とは、いくつになっても、女にモテたい生き物なのだと二人は改めて実感した。
老人たちの声があちこちから聞こえるが、聞かぬふりをして、今度こそ、エリザベスは決断を下した。
「騎士団の今後の制服は……」
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