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電車でのキス
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「おっ遅れるぅ~!」
わたしの住む田舎町では、電車は1時間に1本。
だから乗り過ごしたら、遅刻は決定的!
でも電車が出発するブザーの音が響く。
もうっ…ダメか!?
「諦めるなっ!」
「えっ?」
いきなりグイッと腕を捕まれた。
「きゃあ!」
電車の中に引っ張られた。
プシュー… ガタンゴトンッ
電車は…わたしを乗せて、動き出した。
「あっ、間に合った…」
ほっと安心するのも束の間、自分の状態を思い出した。
わたしの腕を引っ張った人の腕の中に…いる。
「ごっゴメンなさい!」
わたしは慌てて離れた。
見知らぬ男子学生が、驚いた表情をしている。
「あっ、こっちこそゴメン…」
「うっううん。間に合ったから…。ありがとう」
ぺこっと頭を下げて、わたしはイスに座った。
人気が少なくて良かったぁ。
「ふぅ…」
一息つくと、さっきの彼の方に視線を向ける。
彼はわたしとは向かい側のイスに座った。
あの制服は知っている。
わたしの高校は3つ先の駅にあって、彼のはそこからまた2つ先の高校だ。
ネクタイの色からして、同じ1年生だろう。
小さな田舎町だから、わたしが知らない顔だということは、違う町のコなんだろうな。
…にしても、情けない。
電車に乗り遅れそうなのを、助けてもらったなんて…。
でも彼には感謝しなきゃ。
いつかは何かお礼をするのも良いだろう。
そう思っていたら…いつの間にか、3年の月日が流れた。
お互い高校三年生。
あの衝撃的な出会いから、ずっと彼のことを意識していた。
けれどお互い一言も言葉を交わさず、ただ電車の中で姿を見つけては安心するだけ。
そして季節は春になった…。
卒業式を終えて、わたしは花束を持って電車に乗り込んだ。
「あっ…」
人気の少ない電車の中に、同じように花束を持った彼がいた。
彼の学校も、卒業式だったんだろう。
これで…彼の姿を見るのも、最後。
わたしは彼の真向かいのイスに座った。
彼は花束に視線を向けたまま、動かなかった。
きっといろいろと思い出しているんだろうな。
わたしも…思い出す。この三年間、彼を見続けたことを。
そして電車は、わたしの町に止まりそうになる。
このままじゃっ…本当に何もないまま終わってしまう!
わたしは立ち上がり、彼の前に来た。
「あっあの!」
「えっ…」
彼はきょとんとした。
「おっ覚えてないかもしれないけど、前に電車で助けてもらった者です。こっこれ、遅くなったけどお礼です!」
そう言って花束を彼に押し付けた。
「えっ、あっ」
彼はわたしの顔を見て、思い出したようだった。
「それじゃ! 卒業おめでとう!」
わたしは電車を降りようとして…。
「待って!」
再び腕を捕まれ…電車の中に引っ張られた。
プシュー… ガタンゴトンッ
…電車は動き出してしまった。
「あっ、ゴメン。でもこのままじゃ、イヤだったから」
ぎゅうっと腕を強く捕まれた。
「ゴメン…。ホントはいつも、オレの方から声かけなきゃって思ってたんだけど…。緊張してできなくて、でもキミの方から声かけてくれて、嬉しかった」
どくんっ…
心臓が高鳴った。
「こっち…向いて」
わたしは泣き出しそうなのを堪えて、振り返った。
彼もまた、泣きそうな顔をしていた。
そしてわたしは彼に抱きつき、キスをした。
彼はわたしをきつく抱き締めて、二人の距離はゼロになる。
「…ずっと、こうしたかったの」
「オレも…。ゴメン、待たせて」
しばらく抱き合った後、再び電車が止まる。
「あっ、オレここで降りるんだ」
「…隣町だったの」
結構近かった。
「うん。良かったら、これからオレん家に来ない?」
「えっ?」
「いろいろと話したいことがあるんだ」
「うん…。わたしも話したいこと、いっぱいある」
わたし達は微笑んで、手を握り締め合った。
「それじゃ、一緒に行こう」
「うん!」
そして二人一緒に電車を降りる。
いつもわたしが夢見た通りに、二人一緒に歩いていく。
わたしの住む田舎町では、電車は1時間に1本。
だから乗り過ごしたら、遅刻は決定的!
でも電車が出発するブザーの音が響く。
もうっ…ダメか!?
「諦めるなっ!」
「えっ?」
いきなりグイッと腕を捕まれた。
「きゃあ!」
電車の中に引っ張られた。
プシュー… ガタンゴトンッ
電車は…わたしを乗せて、動き出した。
「あっ、間に合った…」
ほっと安心するのも束の間、自分の状態を思い出した。
わたしの腕を引っ張った人の腕の中に…いる。
「ごっゴメンなさい!」
わたしは慌てて離れた。
見知らぬ男子学生が、驚いた表情をしている。
「あっ、こっちこそゴメン…」
「うっううん。間に合ったから…。ありがとう」
ぺこっと頭を下げて、わたしはイスに座った。
人気が少なくて良かったぁ。
「ふぅ…」
一息つくと、さっきの彼の方に視線を向ける。
彼はわたしとは向かい側のイスに座った。
あの制服は知っている。
わたしの高校は3つ先の駅にあって、彼のはそこからまた2つ先の高校だ。
ネクタイの色からして、同じ1年生だろう。
小さな田舎町だから、わたしが知らない顔だということは、違う町のコなんだろうな。
…にしても、情けない。
電車に乗り遅れそうなのを、助けてもらったなんて…。
でも彼には感謝しなきゃ。
いつかは何かお礼をするのも良いだろう。
そう思っていたら…いつの間にか、3年の月日が流れた。
お互い高校三年生。
あの衝撃的な出会いから、ずっと彼のことを意識していた。
けれどお互い一言も言葉を交わさず、ただ電車の中で姿を見つけては安心するだけ。
そして季節は春になった…。
卒業式を終えて、わたしは花束を持って電車に乗り込んだ。
「あっ…」
人気の少ない電車の中に、同じように花束を持った彼がいた。
彼の学校も、卒業式だったんだろう。
これで…彼の姿を見るのも、最後。
わたしは彼の真向かいのイスに座った。
彼は花束に視線を向けたまま、動かなかった。
きっといろいろと思い出しているんだろうな。
わたしも…思い出す。この三年間、彼を見続けたことを。
そして電車は、わたしの町に止まりそうになる。
このままじゃっ…本当に何もないまま終わってしまう!
わたしは立ち上がり、彼の前に来た。
「あっあの!」
「えっ…」
彼はきょとんとした。
「おっ覚えてないかもしれないけど、前に電車で助けてもらった者です。こっこれ、遅くなったけどお礼です!」
そう言って花束を彼に押し付けた。
「えっ、あっ」
彼はわたしの顔を見て、思い出したようだった。
「それじゃ! 卒業おめでとう!」
わたしは電車を降りようとして…。
「待って!」
再び腕を捕まれ…電車の中に引っ張られた。
プシュー… ガタンゴトンッ
…電車は動き出してしまった。
「あっ、ゴメン。でもこのままじゃ、イヤだったから」
ぎゅうっと腕を強く捕まれた。
「ゴメン…。ホントはいつも、オレの方から声かけなきゃって思ってたんだけど…。緊張してできなくて、でもキミの方から声かけてくれて、嬉しかった」
どくんっ…
心臓が高鳴った。
「こっち…向いて」
わたしは泣き出しそうなのを堪えて、振り返った。
彼もまた、泣きそうな顔をしていた。
そしてわたしは彼に抱きつき、キスをした。
彼はわたしをきつく抱き締めて、二人の距離はゼロになる。
「…ずっと、こうしたかったの」
「オレも…。ゴメン、待たせて」
しばらく抱き合った後、再び電車が止まる。
「あっ、オレここで降りるんだ」
「…隣町だったの」
結構近かった。
「うん。良かったら、これからオレん家に来ない?」
「えっ?」
「いろいろと話したいことがあるんだ」
「うん…。わたしも話したいこと、いっぱいある」
わたし達は微笑んで、手を握り締め合った。
「それじゃ、一緒に行こう」
「うん!」
そして二人一緒に電車を降りる。
いつもわたしが夢見た通りに、二人一緒に歩いていく。
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