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冷静なキス
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わたしが彼と何かをする時、いつもわたしの方から言い出す。
「ねぇ、キスして」
「ああ」
彼は優しくわたしを抱き締めて、ゆっくりと甘いキスをしてくれる。
「んっ…。次はぎゅっと抱き締めて」
「分かった」
そしてわたしが言った通り、ぎゅっと抱き締めてくれる。
するとわたしの心の中は、春のようにポカポカとあたたかくなる。
それはわたしが彼を好きな、何よりの証拠。
だけど…彼の心が分からない。
高校に入学してすぐ、わたしと彼は学級委員長に選ばれた。
理由はお互い、良い成績で入学したからだ。
でもその時は特に意識なんてしていなかった。
けれど一緒に過ごしているうちに、もっと一緒にいたいと思った。
だから二年に上がる前、つまり学級委員長を終わる前に、彼にわたしから告白した。
「あの、ね。わたし、貴方のことが好きなの。恋人になってくれる?」
…今思い出しても恥ずかしい。
委員長の仕事があるからと、誰もいない放課後の教室に彼と残っている時に告げた。
彼はあまり動じない性格で、表情もあまりその…変わらない。
「―いいよ。恋人になろう」
と、返事も無表情で、全く動じず答えてくれた。
それからと言うもの、一緒にお昼を食べたり帰ったり、または放課後や休日にどこか出掛けるのも、わたしから言い出す。
電話やメールだって、わたしからしなきゃ彼はしてくれない。
二年に上がった今も、わたしと彼は同じクラスで、そして学級委員長をしていた。
なので時々、誰もいない教室でこっそりキスをせがんだりする。
理由は彼が少しでも困ったり、照れたりしたところを見たいから。
…けれど相変わらず淡々と、わたしの言うことを聞いてくれた。
何だか肩透かしも良いところだなぁ。
けれどこうやって抱き締めてもらっていると、胸がきゅんきゅんしてくる。
一緒にいるのに、どこか切ない気持ちは、彼にしか感じられない特別な感情。
だからわたしは彼が好き。
けど彼は…本当にわたしが好きなんだろうか?
いつも冷静で、感情を取り乱したりしない。
どこへ行っても、何をしても、感情や表情が動いているのはわたしだけの気がする。
なので顔を上げ、至近距離で彼の眼を見つめる。
「ねぇ、わたしのこと、本当に好き?」
「好きだよ」
…やっぱり淡々と返された。
「それは…ちゃんと恋人としての、好き?」
「じゃなきゃ、恋人にならない」
ごもっとも。
おかしなことを言っているのは、絶対にわたしの方だって分かっているのに…。
「どうした? 何か不安なのか?」
「う~ん。…いや、わたしの方がおかしいのよ。幸せすぎて、不安っていう感じ?」
そうだ。コレは幸せ過ぎるから、感じてしまうこと。
だって彼はわたし一筋だし、周囲の人だって祝福してくれる。
大事にされていることだって分かるんだけど…。
「ねっ、ねぇ。イヤなことはイヤって言ってよ?」
「イヤなことって?」
「例えばその…デートコースで行きたくない場所とか」
「別にない」
「わたしが言い出したことに不満がある時とか…」
「特にない」
…否定されるのは嬉しいことのはずなのに、何で気持ちは沈んでいくんだろう?
なのでじぃ~っと彼を見つめる。
「じゃああなたって何がイヤなの?」
「キミが他の男に取られるのがイヤだ」
ボッ!と全身が一気に熱くなった!
そっそう言うことを真顔で言われると、心臓に悪い…。
「それ以外のことだったら、特に何も不満はないよ」
「ほっホントに?」
「うん。それにキミと俺の趣味って近いから。俺の行きたい所はキミの行きたい所だし、したいことは俺もしたいことだから」
「…こういう放課後、誰もいない教室でキスすることも?」
「二人っきりなら、俺はいつでもキミに触れていたい」
ぐはっ!?
だっだから真顔で言わないで…。
真剣さが物凄く伝わってくるから。
「…も、良いわ」
結局、彼は無理やりわたしに合わせていたワケではないことが分かっただけでも、良いだろう。
それに…ちゃんと愛されていることも分かったし。
「他に何か、聞きたいことはある?」
「ん~そうね」
わたしは真っ直ぐに彼の眼を見た。
少し…楽しそうな感じがする。
だからわたしもニッと笑った。
「わたしのこと、好き?」
「ああ、好きだよ」
分かりきっている答えに、心は安堵する。
「じゃあ今度から、キスしたくなったら言って? わたしだって、いっぱいあなたに触れていたいもの」
そう言ってさっきよりも強く、彼に抱き着いた。
「…分かった。それじゃあ、キスして良い?」
早速か。でも彼の顔が僅かに赤い。
「んっ。良いよ」
わたしは背伸びをして、彼とキスをした。
だってわたしも今、彼とキスしたいと思ったから…。
冷静なように見えて、わたしのことでいっぱいな彼と。
「ねぇ、キスして」
「ああ」
彼は優しくわたしを抱き締めて、ゆっくりと甘いキスをしてくれる。
「んっ…。次はぎゅっと抱き締めて」
「分かった」
そしてわたしが言った通り、ぎゅっと抱き締めてくれる。
するとわたしの心の中は、春のようにポカポカとあたたかくなる。
それはわたしが彼を好きな、何よりの証拠。
だけど…彼の心が分からない。
高校に入学してすぐ、わたしと彼は学級委員長に選ばれた。
理由はお互い、良い成績で入学したからだ。
でもその時は特に意識なんてしていなかった。
けれど一緒に過ごしているうちに、もっと一緒にいたいと思った。
だから二年に上がる前、つまり学級委員長を終わる前に、彼にわたしから告白した。
「あの、ね。わたし、貴方のことが好きなの。恋人になってくれる?」
…今思い出しても恥ずかしい。
委員長の仕事があるからと、誰もいない放課後の教室に彼と残っている時に告げた。
彼はあまり動じない性格で、表情もあまりその…変わらない。
「―いいよ。恋人になろう」
と、返事も無表情で、全く動じず答えてくれた。
それからと言うもの、一緒にお昼を食べたり帰ったり、または放課後や休日にどこか出掛けるのも、わたしから言い出す。
電話やメールだって、わたしからしなきゃ彼はしてくれない。
二年に上がった今も、わたしと彼は同じクラスで、そして学級委員長をしていた。
なので時々、誰もいない教室でこっそりキスをせがんだりする。
理由は彼が少しでも困ったり、照れたりしたところを見たいから。
…けれど相変わらず淡々と、わたしの言うことを聞いてくれた。
何だか肩透かしも良いところだなぁ。
けれどこうやって抱き締めてもらっていると、胸がきゅんきゅんしてくる。
一緒にいるのに、どこか切ない気持ちは、彼にしか感じられない特別な感情。
だからわたしは彼が好き。
けど彼は…本当にわたしが好きなんだろうか?
いつも冷静で、感情を取り乱したりしない。
どこへ行っても、何をしても、感情や表情が動いているのはわたしだけの気がする。
なので顔を上げ、至近距離で彼の眼を見つめる。
「ねぇ、わたしのこと、本当に好き?」
「好きだよ」
…やっぱり淡々と返された。
「それは…ちゃんと恋人としての、好き?」
「じゃなきゃ、恋人にならない」
ごもっとも。
おかしなことを言っているのは、絶対にわたしの方だって分かっているのに…。
「どうした? 何か不安なのか?」
「う~ん。…いや、わたしの方がおかしいのよ。幸せすぎて、不安っていう感じ?」
そうだ。コレは幸せ過ぎるから、感じてしまうこと。
だって彼はわたし一筋だし、周囲の人だって祝福してくれる。
大事にされていることだって分かるんだけど…。
「ねっ、ねぇ。イヤなことはイヤって言ってよ?」
「イヤなことって?」
「例えばその…デートコースで行きたくない場所とか」
「別にない」
「わたしが言い出したことに不満がある時とか…」
「特にない」
…否定されるのは嬉しいことのはずなのに、何で気持ちは沈んでいくんだろう?
なのでじぃ~っと彼を見つめる。
「じゃああなたって何がイヤなの?」
「キミが他の男に取られるのがイヤだ」
ボッ!と全身が一気に熱くなった!
そっそう言うことを真顔で言われると、心臓に悪い…。
「それ以外のことだったら、特に何も不満はないよ」
「ほっホントに?」
「うん。それにキミと俺の趣味って近いから。俺の行きたい所はキミの行きたい所だし、したいことは俺もしたいことだから」
「…こういう放課後、誰もいない教室でキスすることも?」
「二人っきりなら、俺はいつでもキミに触れていたい」
ぐはっ!?
だっだから真顔で言わないで…。
真剣さが物凄く伝わってくるから。
「…も、良いわ」
結局、彼は無理やりわたしに合わせていたワケではないことが分かっただけでも、良いだろう。
それに…ちゃんと愛されていることも分かったし。
「他に何か、聞きたいことはある?」
「ん~そうね」
わたしは真っ直ぐに彼の眼を見た。
少し…楽しそうな感じがする。
だからわたしもニッと笑った。
「わたしのこと、好き?」
「ああ、好きだよ」
分かりきっている答えに、心は安堵する。
「じゃあ今度から、キスしたくなったら言って? わたしだって、いっぱいあなたに触れていたいもの」
そう言ってさっきよりも強く、彼に抱き着いた。
「…分かった。それじゃあ、キスして良い?」
早速か。でも彼の顔が僅かに赤い。
「んっ。良いよ」
わたしは背伸びをして、彼とキスをした。
だってわたしも今、彼とキスしたいと思ったから…。
冷静なように見えて、わたしのことでいっぱいな彼と。
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