3 / 6
3
しおりを挟む
「依琉!? どうしたの? ウチに来るなんて」
離れの邸の玄関に、同じ部の依琉が来た。
相変わらずの美形ぶりに、生徒達がザワめく。
「お嬢、この方は?」
「あっ、お婆。私と同じ部の依琉。副部長をしているの」
「はじめまして。神無月のお祖母さま。依琉と申します」
依琉は礼儀正しく挨拶をする。
すると祖母は微笑んだ。
「これはこれは。お嬢から話は聞いています。奥の部屋へどうぞ。何か冷たいものでも出しますから」
「おかまいなく。ボクは道案内で来ただけですから」
「道案内?」
神無月が首を傾げると、依琉はスッと体の位置をズラした。
すると外には若い男女がいる。
「あの人達が用事あるみたいでね。ボクは近くを通りかかっただけ。ここの場所を尋ねられて、案内してきたんだ」
「ウチに…。そう、ありがと」
神無月は草履を履くと、外に出た。
「いらっしゃいませ。ウチにご用とか」
「ええ。ここには言葉や文字で、まじないをしてくれると聞いたものですから…」
男性の方が、弱々しく答える。
そして傍らの女性を見た。
「僕達、夫婦なんです。でも彼女がちょっと病気がちでして…。こちらのお守りはよく効くと聞いたものですから」
「…そうでしたか。少々お待ちください」
神無月は中に戻り、祖母に話をする。
「病克服のお守りが欲しいんだって。お婆、作る?」
祖母は鋭い視線で、二人を見た。
「そうだね。…まっ、それで気が済むなら良いでしょう。教室にご案内しといで」
「はーい」
神無月は二人を教室に通した。
そして祖母と二人を残し、退室する。
そして奥にある台所へ行き、麦茶をコップに注いで玄関に戻った。
依琉がまだそこにいたからだ。
「依琉、これどうぞ」
「ありがと。のど渇いてたんだ」
麦茶を飲むと、依琉は笑みを浮かべる。
「しかし神無月の巫女姿、改めて見ると新鮮だね。いつも制服姿しか見ないから」
「プライベートでは滅多に会わないしね。私も依琉の私服姿見るのは久し振りだわ」
「そうだね」
二人でクスクス笑っていたが、ふと依琉の目に真剣味が宿る。
「…さっきの夫婦、仲が良さそうに見えたね。本心はともかく」
「また何か<視>えたの? …と言うより、<視>えなくとも、分かる気がするけどね」
肩を竦める神無月の姿を見て、依琉は笑った。
「そうだね。気付かぬのは彼女だけ。それが不幸か幸か…」
離れの邸の玄関に、同じ部の依琉が来た。
相変わらずの美形ぶりに、生徒達がザワめく。
「お嬢、この方は?」
「あっ、お婆。私と同じ部の依琉。副部長をしているの」
「はじめまして。神無月のお祖母さま。依琉と申します」
依琉は礼儀正しく挨拶をする。
すると祖母は微笑んだ。
「これはこれは。お嬢から話は聞いています。奥の部屋へどうぞ。何か冷たいものでも出しますから」
「おかまいなく。ボクは道案内で来ただけですから」
「道案内?」
神無月が首を傾げると、依琉はスッと体の位置をズラした。
すると外には若い男女がいる。
「あの人達が用事あるみたいでね。ボクは近くを通りかかっただけ。ここの場所を尋ねられて、案内してきたんだ」
「ウチに…。そう、ありがと」
神無月は草履を履くと、外に出た。
「いらっしゃいませ。ウチにご用とか」
「ええ。ここには言葉や文字で、まじないをしてくれると聞いたものですから…」
男性の方が、弱々しく答える。
そして傍らの女性を見た。
「僕達、夫婦なんです。でも彼女がちょっと病気がちでして…。こちらのお守りはよく効くと聞いたものですから」
「…そうでしたか。少々お待ちください」
神無月は中に戻り、祖母に話をする。
「病克服のお守りが欲しいんだって。お婆、作る?」
祖母は鋭い視線で、二人を見た。
「そうだね。…まっ、それで気が済むなら良いでしょう。教室にご案内しといで」
「はーい」
神無月は二人を教室に通した。
そして祖母と二人を残し、退室する。
そして奥にある台所へ行き、麦茶をコップに注いで玄関に戻った。
依琉がまだそこにいたからだ。
「依琉、これどうぞ」
「ありがと。のど渇いてたんだ」
麦茶を飲むと、依琉は笑みを浮かべる。
「しかし神無月の巫女姿、改めて見ると新鮮だね。いつも制服姿しか見ないから」
「プライベートでは滅多に会わないしね。私も依琉の私服姿見るのは久し振りだわ」
「そうだね」
二人でクスクス笑っていたが、ふと依琉の目に真剣味が宿る。
「…さっきの夫婦、仲が良さそうに見えたね。本心はともかく」
「また何か<視>えたの? …と言うより、<視>えなくとも、分かる気がするけどね」
肩を竦める神無月の姿を見て、依琉は笑った。
「そうだね。気付かぬのは彼女だけ。それが不幸か幸か…」
0
あなたにおすすめの小説
七竈 ~ふたたび、春~
菱沼あゆ
ホラー
変遷していく呪いに終わりのときは来るのだろうか――?
突然、英嗣の母親に、蔵を整理するから来いと呼び出されたり、相変わらず騒がしい毎日を送っていた七月だが。
ある日、若き市長の要請で、呪いの七竃が切り倒されることになる。
七竃が消えれば、呪いは消えるのか?
何故、急に七竃が切られることになったのか。
市長の意図を探ろうとする七月たちだが――。
学園ホラー&ミステリー
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる