携帯彼氏の災難!?【マカシリーズ・6】

hosimure

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知ることの災難

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その後、私は一切ケータイを開かなかった。

けれど帰り道の途中、ケータイが電話の着信を知らせる音楽が流れ出した。

「あっ、ミナ、ゴメン。ちょっと電話」

「うん、分かった」

ミナから少し離れ、私は電話に出る。

「はい、マカです」

『やぁっと出てくれたぁ!』

…さっきの幻覚の男の声だった。

「間違いです」

そう言ってブチッと電源ごと切る。

「誰からだったぁ?」

「間違い電話だった」

笑顔のミナに、笑顔で返事をする。

「ふぅん。あっ、そう言えばさぁ、【携帯彼氏】って知ってる?」

「何、それ?」

イヤ~な言葉に、思わず顔が歪む。

「何でも理想の彼氏がケータイで作れるんだって。ケー彼って言うんだよぉ」

「けっけぇかれ?」

略すのも、限度があるだろう…。

「でも単に恋愛シュミレーションゲームみたいなモンでしょ?」

「それがメールしてきたり、電話をかけてきたりもするんだってぇ。あとぉ、フツーにテレビ電話みたいに話せるんだって」

…私の頭の中に、あの男の笑い顔が浮かんだ。

「ふっふーん。でもミナはやってないわよね? 私達大学受験を控えてるんだし、そんなのやってるヒマ無いしね」

「やってないよぉ。でもおもしろそうだよね~」

「やっちゃダメっ!」

私は思わずミナの肩を掴んだ。

「絶対にやっちゃダメ! 近付いてもダメっ! 近くに来たと思ったら、すぐに逃げなさい!」

「うっうん、分かった…」

ミナは目をまん丸にしながらも、頷いた。

私は深く息を吐き、制服のスカートのポケットに入れたケータイに触れた。

…厄介なモノを押し付けられてしまったな。

私はミナと別れた後、従兄のソウマの店に向かった。

普通ではない雑貨屋を営むソウマの店は、いつ来ても客がいない。

なので堂々と店内で話ができる。

「―コレはまた」

私が開いて見せたケータイを見て、ソウマは呆気に取られた。

『…何、アンタ』

男はむつくれた顔で、ソウマを睨んでいる。

「ああ…。でも何となく仕組みは分かりますね」

「分かるんだが、どうすれば良いのかが分からない」

私はズキズキ痛む頭を抱えた。

「犯人はお昼休みの女の子で間違い無いんですか?」

「多分な。昼までケータイを見ていたが、そんなのは無かった」

「マカに譲った…と言うよりは、まさに押し付けたんでしょうね」

そう言ってアイスハイビスカスティーを淹れてくれた。

私はテーブルセットのイスに座り、一気に半分ほど飲み、息を吐く。

「ソウマ、悪いがコイツのこと、調べといてくれないか? ミナの耳に入るぐらいだ。かなりの話題になっているだろうからな」

「分かりました。しかし良いアイディアですねぇ。波長さえ合えば、簡単に真似できそうです」

「変なところで商売魂燃やすな! コピー商品なんてやらかすなよ!」

「分かっていますよ、冗談です」

私はケータイを閉じ、テーブルに置いた。

「…何だか厄介なことになっている気がする。早急に頼むな」

「心得ていますよ。でもマカ、何なら押し付けてきた彼女に聞いてみたらどうですか?」

「明日、捕まえてみる。しかし…何だって私を選んだんだ? それともたまたまか?」

「一般の子なら偶然でしょうね。―裏が無ければ」

「チッ…」 
舌打ちせずにはいられない。

「まあとりあえず、彼のこと少しは構ってやったらどうです? ちょっとは気晴らしになるんじゃないですか?」

「…お前、コイツを見たろ? こんなチャラ男、見ているだけでストレスが溜まる」

薄茶色の髪はアゴまで伸びていて、ピアスをいくつも付けていた。

見た目20そこそこ。しかし笑顔を見ると、童顔に見える。

軽い口調と、バカっぽいしゃべり方。

チャラ男と称されるに相応しい男。

「ミナが『理想の彼氏』と言っていたが、あの女はこんなのが好みだったのか」

趣味が悪すぎる、と顔に出してみせる。

「アハハ。最近の流行りみたいなものですかね」

「笑い事じゃない! 私の好みでもないしな」

「マカの好み…。そう言えば聞いたことがありませんね」

ぎくっ。…話の方向がイヤな方に向いてきた。

「次期当主ということで、お見合いの件も多いそうじゃないですか」

「まっまあな」

「選びたい放題みたいですけど、まだ決めていらっしゃらないとか…。もしかして本命がいたりします?」

私は立ち上がった。

「…余計なことに口をはさんでいるヒマがあるなら、とっとと調査を始めろ」

そう言ってケータイをカバンに入れ、歩き出した。

「分かっていると思うが、メールで知らせろ」

「はいはい。迅速に取り掛かりますよ」

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