キミがいる

hosimure

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それは勉強に関わらず、運動や人望でも言えた。

なので二期に渡って、生徒会会長まで務め上げた。

ちなみにボクは彼の推薦で、生徒会書記をした。

だけど彼と違って、勉強も運動神経も中レベル。

容姿だって、街を歩けば女の子が振り向くような彼とは、つり合わないほど平凡。

何で彼のような人が、未だにボクと親しくしてくれるのかが分からない。

大学も同じ所を目指そうと言ってくれたけれど、彼は推薦で通るだろうけど、ボクは必死に勉強しなければムリだ。

「今から間に合う気がしないんだよな~」

「何弱気になってるんだよ! オレと同じ大学、行きたくねーのか?」

「行きたい気持ちはあるけれど、それよりもレベルが高過ぎる」

「そうか? じゃあもうちょっとレベル下げるか? 近くならば、あの大学が良かったんだけどな」

…レベルじゃなくて、距離で選んでいたのか。

こういうところ、彼らしい天然っぷりだ。

「でもキミなら行けるレベルだろ? 何もボクに合わせなくていいんじゃない?」

「何を言ってるんだ! オレはお前と一緒が良いんだよ」

芝居じみたセリフと動作だけど、どこか心温まる。

「ありがと。そう言ってくれると、嬉しいよ」 

ボクがイジメを受けても学校へ来れたのは、彼のおかげと言っても過言じゃない。

落ち込んでいるボクのことを気にかけてくれる。

嫌がらせをされた後、どこからか聞き付け、いつも助けてくれる。

その時、笑顔でボクを慰めてくれるから、ボクは救われていた。

クラスが同じ時はずっと側にいてくれた。

クラスが別になっても、休み時間や昼休み時間にちょくちょく教室に顔を出してくれた。

放課後や休日では、2人でよく出かけている。

だから寂しくなんてなかった。

1人じゃなかった。

彼は明るくて優しい。

人を思いやる気持ちがある人で、一緒にいると気持ちがとても落ち着く。

「それにさ。大学に行けばクラスなんてないから、今よりずっと一緒にいられるだろう?」

「キミは大学行ったら遊びそうだね」

「そりゃ遊べるだけは遊ぶさ。いろいろ開放的になるだろうしな」

そう言って楽しそうに笑う彼を見ると、本当に楽しそうだと思える。

「だけどボク、大学受かるかな? かなり生活面では問題児だし」

この3年間、ずっとイジメを受けてきたのだ。

内申書は想像するだけで怖い。 

「学校はそんなこと内申書に書かないって。それにお前は二年間、生徒会書記を務めてたんだから」

「それはキミが誘ってくれたから。周囲の人だって、渋々受け入れたようなもんだし」

彼は発言力もあった。

だから彼に逆らえる人は、先生の中でさえ少ないだろう。

「そんな暗い考えに捕らわれるなよ。イジメなんて高校卒業すればなくなるんだし、大学には大人がたくさんいるから、イジメを受ける心配もなくなるぞ?」

「分かっちゃいるんだけどね」

「心配なんてするなよ。オレがいるだろう?」

彼の笑みは、心から安心できる。

だからボクも笑顔になる。

「うん、ありがとう」

「礼なんていいって。親友だろう?」

肩を抱かれて一瞬戸惑う。

だけど彼の言葉がとても温かい。

「そうだね」

「んじゃ、大学はオレの方で改めて探しておくわ」

「本当に良いの? ボクのレベルに合わせるなんて…」

「いーのいーの。勉強だけが全てじゃないだろう? 大切な幼馴染兼親友と過ごす時間も大切なんだ」

「…そう言ってくれると、救われるよ」

「オレはお前が側にいるだけで、嬉しいからな」 
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