キミがいる

hosimure

文字の大きさ
8 / 9

8

しおりを挟む
それを察した彼が、退学に追い込んだのか。

だとすれば、少なくとも十数人は彼の手によって…。

ボクは改めて、ぞっとした。

ボクを守る為だとも言える。

けれど彼はただ、自分の獲物を取られるのがイヤだっただけだ。

そう…彼にとって、ボクは獲物だったんだ。

彼が喰らう為の…。

「でもお前もやるねぇ」

「…何がだよ?」

「そのノートだよ」

彼が指差したのは、ボクが抱えているノートだった。

「まさか細工をしているなんて思わなかった」

「じゃあ…この血はキミの?」

「うん」

彼はTシャツを捲り、お腹を見せた。

そこにはうっすら赤い線を引いたような、傷跡があった。

「ノートを持っていく時に、バッサリ切れた」

ボクはその傷跡に、釘付けになった。

多分…ノートのページ部分をお腹に当てたんだろう。

ノートの罠とは、ページ部分に薄いガラスの破片を仕込んでいたことだった。

薄くて軽いガラスの破片は磨いたことにより、殺傷能力を上げていた。

ボクは犯人がページを捲る時、その指か手に傷がつけばと思っていた。

まさかお腹に傷がついていたなんて、考えもしなかった。

「人間も動物も、追い詰め過ぎると何をするか分からないもんだ」

「ボクの…せめてもの反撃だったんだ」

ボクはノートを見下ろした。

でもまさか、こんな結末を引き寄せるなんて…!

「うん。効果的だった」

すぐ間近で声が聞こえ、顔を上げると、目の前に彼が来ていた。

「っ!?」

思わずノートを落とし、逃げようとした。

「逃げるなよ」

ぐいっと髪を掴まれ、壁に投げ付けられた。

「がはっ!」

肺に入っていた空気が一気に吐き出た。

「逃げるなんてヒドイ奴だな。今までずっと側にいたのに」

「キミがっ…」

「ん? なに?」

ボクはキミがいたから、救われていたのに…。

キミがいたせいで、イジメを受けていたなんて…!

感情の昂りが、涙となって溢れ出してきた。

「ああ、泣くなよ。泣かせたいワケじゃないんだから」

そっと伸びてきた彼の手を、ボクは渾身の力で払った。

<パシッ>

「…やってくれるな」

彼の笑みが、複雑に歪んだ。

「っ!? さっ最初からボクをイジメず、夏休みを過ぎた後から行動したのは何でなんだ? キミに何があったんだよ?」

ボクは犯人に聞きたかった。

何が原因で、ボクをイジメるようになったのか。

「ああ、簡単な話さ。夏休み、オレと遊んでいた時の話だ。偶然、街中でお前のクラスメート達と会って、一緒に遊ぶことになっただろう? アレが原因」

ボクは瞬時に記憶をよみがえらせた。

確かに1年の時の夏休みに、そういうことがあった。

街中で彼と遊んでいたら、当時仲の良かったクラスメート達と偶然出会った。

そして一緒にボウリングに行かないかと誘われ、ボクは頷いた。

「でっでもキミに聞いたら、一緒に行っても良いって言ったじゃないか!」

「そりゃあみんなの前で、イヤだとは言いにくいもんだろう? それにその時は、そいつらと一緒でもいいと思ってた。でも…」

そこではじめて、彼の表情が曇った。

「クラスメート達とはしゃいでいるお前を見て、暗い気持ちになったよ。お前はオレ以外の人間と一緒にいても、楽しそうだから」

「そんなのっ…キミだって同じだろう? ボク以外の人といても」

「オレはお前以外の奴と一緒にいても、おもしろいとも楽しいとも思ったことなんて、一度たりとも無い」 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

別に、好きじゃなかった。

15
BL
好きな人が出来た。 そう先程まで恋人だった男に告げられる。 でも、でもさ。 notハピエン 短い話です。 ※pixiv様から転載してます。

可哀想は可愛い

綿毛ぽぽ
BL
 平民、ビビり、陰キャなセシリオは王立魔術学園へ入学を機に高校デビューを目指したが敢え無く失敗し不良のパシリをさせられる毎日。  同室者の男にも呆れられ絶望するセシリオに天使のような男が現れるが、彼もかなりイカれた野郎のようで……?セシリオは理想の平和な学園生活を送る事が出来るだろうか。また激重感情を抱えた男から逃げられるだろうか。 「むむむ無理無理!助けて!」 ━━━━━━━━━━━ ろくな男はいません。 世界観がごちゃごちゃです。余り深く考えずに暖かい目で読んで頂けたら、と思います。 表紙はくま様からお借りしました。

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

隠れヤンデレは自制しながら、鈍感幼なじみを溺愛する

知世
BL
大輝は悩んでいた。 完璧な幼なじみ―聖にとって、自分の存在は負担なんじゃないか。 自分に優しい…むしろ甘い聖は、俺のせいで、色んなことを我慢しているのでは? 自分は聖の邪魔なのでは? ネガティブな思考に陥った大輝は、ある日、決断する。 幼なじみ離れをしよう、と。 一方で、聖もまた、悩んでいた。 彼は狂おしいまでの愛情を抑え込み、大輝の隣にいる。 自制しがたい恋情を、暴走してしまいそうな心身を、理性でひたすら耐えていた。 心から愛する人を、大切にしたい、慈しみたい、その一心で。 大輝が望むなら、ずっと親友でいるよ。頼りになって、甘えられる、そんな幼なじみのままでいい。 だから、せめて、隣にいたい。一生。死ぬまで共にいよう、大輝。 それが叶わないなら、俺は…。俺は、大輝の望む、幼なじみで親友の聖、ではいられなくなるかもしれない。 小説未満、小ネタ以上、な短編です(スランプの時、思い付いたので書きました) 受けと攻め、交互に視点が変わります。 受けは現在、攻めは過去から現在の話です。 拙い文章ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。 宜しくお願い致します。

周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)

ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子 天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。 可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている 天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。 水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。 イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする 好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた 自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

記憶の代償

槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」 ーダウト。 彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。 そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。 だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。 昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。 いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。 こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です

処理中です...