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プロローグ
その翌日の出来事
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「おい、笠斗。今日付き合えるか?」
「ふむ?告白か?いや、俺の美しさにお前までが遂にー!」
「蹴るぞ」
「冗談だ」
まあ、いつものやり取りじゃあるな。
織平笠斗。
俺の『ワールドネイション』でのゲーム仲間であり、リアルでも親友と言っていい関係にある。
ゲームではエンテラウホ帝国(和名:カモネギ帝国)を統治する。選択種族はモンスター種で、現在はフレースヴェルグという種族へと進化している。空が大好きな男で将来の夢はパイロット。いい奴なんだが時折こうした冗談を口にするお陰で、そっちの趣味の女子生徒から妖しい目で見られる事もある。
確かに笠斗は美形の部類に入ると思うが、俺は普通だと思うんだが、何でだろうな?
「実は翡翠達がな……」
「ああ、『ファンシースター』遂に限界になった?」
思わず苦笑する。
さすがゲーマー、俺より詳しいか。
「やっぱりやばいのか?『ファンシースター』」
「そりゃね。廃課金の人だって中には新人の世話してあげるのが好きって人とかもいる訳でさ、まあ単に偉ぶって教える側に立つのが好きってのも混じってるとは思うがそれはおいといて。廃課金の人達の間でも揉め事がヒートアップしてるって話だよ。お陰で更に人が離れるって悪循環さ」
おやまあ。
そうだよな、揉め事が頻発してりゃ嫌気がさして止める人も出てくるよな。VRMMOは感覚的には実際に顔合わせてるのと大差ないし。
「まあ、それで」
「俺とお前で引率って事ね。了解了解。他に誰か来んの?」
「猫子猫さんが協力してくれるってさ」
ああ、と笠斗が頷いた。
翡翠とあいつの友達三人を合わせて四人。二人でも大丈夫だろうとは思ったが、念の為に知り合い何人かに声をかけてみた。結果、「その日なら時間があるからいいぞ」と快く応じてくれたのが猫子猫さんだった。
あの人も新人に教えるの好きな人だからなあ。
「けど、『ファンシースター』から『ワールドネイション』ねえ。当面は冒険者プレイでも勧めといた方が無難じゃね?」
「かもしれないな」
国の規模をを会社レベルにとどめておいて、共通ワールドのダンジョンに潜って回収した素材を各国プレイヤーに売りさばく商人プレイをしてる人達がいる。そうした人達を『ワールドネイション』では『冒険者』と呼ぶが確かにあれなら『ファンシースター』からの移籍でもそう違和感もないか。
『ワールドネイション』はそのシステムの性質上、運が悪けりゃ「鉱物は凄いのが出るのに薬草が全然出ない!」なんて偏りが出るんで、他の産物の段階に応じた物が得られる共通ダンジョンがあるけど潜ってる時間がもったいないって人はそういう人達相手に商売するからなあ。
「そうだなー、そっちを勧めてみるか」
「それがいいと思うよ。ああ、それとついでにさ」
笠斗が提案してきた訳だが、確かにそれはいいかもしんない。
なので事前にちょいと探ってみる事にした。
幸いというか、家が近い事もあって翡翠の友達三人はちょくちょくうちに遊びに来るし。
幸いというか、その機会は翌日には訪れた。
三人娘はそれぞれ神楽坂香香、葉桜陽奈、神蔵摩莉夜。
見た目はボーイッシュな元気娘、見た目は大人し気なお嬢様、ちょっと無表情な所のある眼鏡っ子。
「いらっしゃい」
「「「お邪魔しまーす(します)」」」
三人が来た理由は事前に翡翠から聞いているし、別に不思議な話でもない。『ワールドネイション』に関して話が聞きたい、って事だ。キャラメイクも含めて。
三人娘、翡翠も含めて四人はこれまでずっと『ファンシースター』で遊んできた。別のゲームをやるに際して、知り合いにそれで長く遊んできた人がいるなら聞きに来るのも当然だろう。
「もうやりたいのは決まったー?」
部屋に入るなり、翡翠の奴が尋ねている。
お前な、少しは落ち着け。
事前に用意しておいたお茶を出しながら、そう注意する。
「うーだってー私まだ決まってないんだもん」
そうなんだよな。
『ファンシースター』は割と分かりやすい。やはり王道のファンタジーRPGっていうイメージしやすい世界だからだろう。
これに対して、『ワールドネイション』はシビライゼーションとウォーシミュレーションの組み合わせ型。通常のダンジョン系RPG要素もあるが、それはおいといていいだろう。
で、翡翠の問いに対しては。
「うん!私は折角だしモンスターやってみたいと思うんだ」
「生産職をやろうと思ってます」
「私は魔法使いかな、って。やっぱり前衛は少し苦手だし……」
どうやら翡翠以外の三人はちゃんとそれぞれ方針を決めているようだ。それを聞いた翡翠が頭を抱える。
「うー決まってないの私だけかあ!」
「何やりたいか決まってないもんな、お前……」
翡翠は『ファンシースター』では前衛やってたが、同じく前衛やるかそれとも他をやるか、人型種族をやるかモンスターをやるかで悩んでいる。
もっとも、他の三人の内、陽奈ちゃんは生産職となるとドワーフ一択になるだろうが、香香ちゃんはどのモンスターをやるか決めないといけない。摩莉夜ちゃんは……普通に選ぶならエルフかな?
どちらにせよ。
「せめてどんなアバターをやりたいのか、方向性ぐらいいい加減に決めてくれ」
「だって種類が多すぎるんだもん!!」
コレよりはマシだろう。間違いなく。
とはいえ、これなら笠斗の企みは上手くいくだろう。
結局、その日は香香ちゃんがどんなモンスターをやるか、とかそういう話に終始する事になった。
「ふむ?告白か?いや、俺の美しさにお前までが遂にー!」
「蹴るぞ」
「冗談だ」
まあ、いつものやり取りじゃあるな。
織平笠斗。
俺の『ワールドネイション』でのゲーム仲間であり、リアルでも親友と言っていい関係にある。
ゲームではエンテラウホ帝国(和名:カモネギ帝国)を統治する。選択種族はモンスター種で、現在はフレースヴェルグという種族へと進化している。空が大好きな男で将来の夢はパイロット。いい奴なんだが時折こうした冗談を口にするお陰で、そっちの趣味の女子生徒から妖しい目で見られる事もある。
確かに笠斗は美形の部類に入ると思うが、俺は普通だと思うんだが、何でだろうな?
「実は翡翠達がな……」
「ああ、『ファンシースター』遂に限界になった?」
思わず苦笑する。
さすがゲーマー、俺より詳しいか。
「やっぱりやばいのか?『ファンシースター』」
「そりゃね。廃課金の人だって中には新人の世話してあげるのが好きって人とかもいる訳でさ、まあ単に偉ぶって教える側に立つのが好きってのも混じってるとは思うがそれはおいといて。廃課金の人達の間でも揉め事がヒートアップしてるって話だよ。お陰で更に人が離れるって悪循環さ」
おやまあ。
そうだよな、揉め事が頻発してりゃ嫌気がさして止める人も出てくるよな。VRMMOは感覚的には実際に顔合わせてるのと大差ないし。
「まあ、それで」
「俺とお前で引率って事ね。了解了解。他に誰か来んの?」
「猫子猫さんが協力してくれるってさ」
ああ、と笠斗が頷いた。
翡翠とあいつの友達三人を合わせて四人。二人でも大丈夫だろうとは思ったが、念の為に知り合い何人かに声をかけてみた。結果、「その日なら時間があるからいいぞ」と快く応じてくれたのが猫子猫さんだった。
あの人も新人に教えるの好きな人だからなあ。
「けど、『ファンシースター』から『ワールドネイション』ねえ。当面は冒険者プレイでも勧めといた方が無難じゃね?」
「かもしれないな」
国の規模をを会社レベルにとどめておいて、共通ワールドのダンジョンに潜って回収した素材を各国プレイヤーに売りさばく商人プレイをしてる人達がいる。そうした人達を『ワールドネイション』では『冒険者』と呼ぶが確かにあれなら『ファンシースター』からの移籍でもそう違和感もないか。
『ワールドネイション』はそのシステムの性質上、運が悪けりゃ「鉱物は凄いのが出るのに薬草が全然出ない!」なんて偏りが出るんで、他の産物の段階に応じた物が得られる共通ダンジョンがあるけど潜ってる時間がもったいないって人はそういう人達相手に商売するからなあ。
「そうだなー、そっちを勧めてみるか」
「それがいいと思うよ。ああ、それとついでにさ」
笠斗が提案してきた訳だが、確かにそれはいいかもしんない。
なので事前にちょいと探ってみる事にした。
幸いというか、家が近い事もあって翡翠の友達三人はちょくちょくうちに遊びに来るし。
幸いというか、その機会は翌日には訪れた。
三人娘はそれぞれ神楽坂香香、葉桜陽奈、神蔵摩莉夜。
見た目はボーイッシュな元気娘、見た目は大人し気なお嬢様、ちょっと無表情な所のある眼鏡っ子。
「いらっしゃい」
「「「お邪魔しまーす(します)」」」
三人が来た理由は事前に翡翠から聞いているし、別に不思議な話でもない。『ワールドネイション』に関して話が聞きたい、って事だ。キャラメイクも含めて。
三人娘、翡翠も含めて四人はこれまでずっと『ファンシースター』で遊んできた。別のゲームをやるに際して、知り合いにそれで長く遊んできた人がいるなら聞きに来るのも当然だろう。
「もうやりたいのは決まったー?」
部屋に入るなり、翡翠の奴が尋ねている。
お前な、少しは落ち着け。
事前に用意しておいたお茶を出しながら、そう注意する。
「うーだってー私まだ決まってないんだもん」
そうなんだよな。
『ファンシースター』は割と分かりやすい。やはり王道のファンタジーRPGっていうイメージしやすい世界だからだろう。
これに対して、『ワールドネイション』はシビライゼーションとウォーシミュレーションの組み合わせ型。通常のダンジョン系RPG要素もあるが、それはおいといていいだろう。
で、翡翠の問いに対しては。
「うん!私は折角だしモンスターやってみたいと思うんだ」
「生産職をやろうと思ってます」
「私は魔法使いかな、って。やっぱり前衛は少し苦手だし……」
どうやら翡翠以外の三人はちゃんとそれぞれ方針を決めているようだ。それを聞いた翡翠が頭を抱える。
「うー決まってないの私だけかあ!」
「何やりたいか決まってないもんな、お前……」
翡翠は『ファンシースター』では前衛やってたが、同じく前衛やるかそれとも他をやるか、人型種族をやるかモンスターをやるかで悩んでいる。
もっとも、他の三人の内、陽奈ちゃんは生産職となるとドワーフ一択になるだろうが、香香ちゃんはどのモンスターをやるか決めないといけない。摩莉夜ちゃんは……普通に選ぶならエルフかな?
どちらにせよ。
「せめてどんなアバターをやりたいのか、方向性ぐらいいい加減に決めてくれ」
「だって種類が多すぎるんだもん!!」
コレよりはマシだろう。間違いなく。
とはいえ、これなら笠斗の企みは上手くいくだろう。
結局、その日は香香ちゃんがどんなモンスターをやるか、とかそういう話に終始する事になった。
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