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Smile of sadness
無知の恐怖②
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「あっ!!」
クラスメイトが押しあったせいで誰かの肩が博史に当たり、博史はツリーハウスの出入口から落ちてしまった。
そして、博史が手に持っていたスマートフォンは落ちた弾みで博史の手から離れて落ちた。
博史のスマートフォンは、ジャングルジムの格子に何度もぶつかりながらコンクリートの地面へと落ちた。
博史はジャングルジムのすぐ横にあった砂場に落ちたため、衝撃が砂場に吸収されて、大した怪我がなく無事だった。
博史はすぐに立ち上がり、砂を払うと、すぐにスマートフォンの落ちた場所へと走った。そしてスマートフォンについた土を払い、拾い上げた。
スマートフォンの画面を始め、裏面も案の定傷だらけだった。その上、画面は真っ暗で消えていた。
博史はスマートフォンのホームボタンを押した。何度も何度も。
そのころには、ツリーハウスの中にいたクラスメイトもジャングルジムを降りて、心配と焦りの表情を見せながら博史の周りに集まっていた。
キャップを被ったクラスメイトの一人が心配したような表情で言う。
「……博史君……ケガはない?」
そんな声掛けにも聞く耳を持たない様子で、しばらく博史は黙っていた。そして突然泣き出した。
「……お前らなんてことしてくれたんだよ!!俺がせっかくゲットしたモンスターなのに!!スマホだって壊れたじゃねーか!!」
そう言うと、声をかけてくれたクラスメイトの胸ぐらを掴んだ。
周りにいた他のクラスメイトは、すぐに博史とそのクラスメイトを離した。その弾みで、博史はまた地面に尻餅をついた。
すると博史はしゃがみこみ、また泣き出した。
周りのクラスメイトにはもちろん悪気があったようだが、
「ジャングルジムなんかでやるからだろ」と、言い残して次々と帰っていった。
終いには、捨て台詞を吐かれてしまった。
「こんな泣き虫野郎とは思わなかったよ」
一人残っていたのは一番最初に声をかけてくれたキャップを被ったクラスメイトだった。
「博史君ごめんね……みんな悪気があった訳じゃないから、一緒に帰ろう」
そう言うとそのクラスメイトは博史の背中を優しくさすった。
「うるせぇーー!!どんだけリセマラしたと思ってんだ!!もう壊れて使えないんだぞ」
博史の怒りは爆発し、その少年に怒鳴り散らした。博史は今まで自分が一番の人気者だったのに、今の出来事でクラスメイトが離れてしまったこと、そしてスマートフォンが壊れてしまったこと、たくさんの怒りが溢れ爆発してしまったのだ。
そして起き上がると衝動的にそのクラスメイトを殴ってしまった。
そのクラスメイトはその衝撃で後ろに倒れた。被っていた帽子は後ろに飛んだ。倒れた先には砂場を囲む石の枠があった。最悪なことにそのクラスメイトはそこに頭をぶつけた。倒れたクラスメイトの頭からは血がたくさん出ていた。
博史は大量に流れる血を見て、すぐに怖くなってしまい、ベンチの上に置いてあったランドセルを背負うと、すぐに走って家へと向かってしまった。ベンチの上には倒れたクラスメイトの黒いランドセルだけが一つ置いてあるままだった。
「……ただいま」
「あらお帰り……え、砂だらけじゃないどうしたの?」
博史の母親は心配そうに息子の様子を見ている。
「……砂場で遊んでたから」
博史は呟くようにボソボソとそう言った。
「そう、もうご飯だから早く着替えてらっしゃい」
母親は少し不審に思ったが、子供のことを思いそう言った。
博史は母親の言葉に一回頷くと、2階にある自分の部屋へ行くと、すぐに着替えた。そしてランドセルから壊れたスマートフォンを取り出した。
そして食卓へ向かった。
「お母さん……これ」
そう言うと、母親に画面が割れたスマートフォンを見せた。
母親は何があったのか気になったがあえて聞かずにスマホを受け取った。そして、しばらくその壊れたスマホを操作したあとこう言った。
「大丈夫よ電源が切れてただけだから。それに画面も修理すれば大丈夫よ」
壊れてしまったと思っていたのは博史君の勘違いだった。モンシューのアプリのデータももちろん残っていた。博史君は心から安心した。
博史は食卓の椅子に座った。机の上に並んでいるのは博史の大好物のハンバーグだった。
元気を取り戻した博史がご飯を食べていると、鍵が開く音が聞こえ父親が帰ってきた。
「ただいま」
スーツ姿の父親は玄関に着くなり、迎えにきた母親に黒い鞄を渡した。母親はそれを受け取ると、今度は父親が脱いだスーツの上着を受け取った。
「おかえりなさい」
「そういえばそこの公園から救急車が走ってったぞ」
父親はネクタイをほどきながらそう言うと、玄関の段差を上がり、洗面所へと向かう。
「なにかあったのかしら」
母親は不安な表情を見せてそう言う。
「なんでも、森さん家の息子さんが砂場で血を流して倒れてたそうだ」
父親は帰りに公園にギャラリーが出来ていて、その中の一人に事情を聞いていたのだ。
「大丈夫かしらね……心配だわ……そういえば」
母親はそう言うと食卓へと戻ってきた。
「博史、公園に遊びに行ったのよね、なにか知らない?」
博史は突然思い出した。博史の頭の中はモンシューのデータのことで頭がいっぱいだったのだ。
博史は箸を机に置いて、その後の両親の会話をろくに聞かずに玄関を出て、近くの病院に走っていった。
(森君だったのか……僕が殴ってしまったのは……)
森君は幼稚園の頃からの友達だった。森君だけは博史とずっと一緒にいてくれた。唯一無二の親友だった。
小学5年生で初めて同じクラスになった。それまでの博史は内向的な性格だったため、クラスで馴染めず友達が出来ずにいた。
森君はモンシューでレア度が一番高い☆5のモンスター、オリンポスドラゴンを持っていてクラスで人気者だった。
そして森君は、クラスに馴染めていない博史をみかねて、森君が流行っていたモンシューを教えた。
博史は母さんにねだってスマホを買ってもらった。
博史は寝る間も惜しんでリセマラを繰り返した。そしてようやく☆5のファイナルレッドドラゴンを手にいれた。そこから博史は森君と一緒にクラスの人気者になったのだ。
クラスメイトが押しあったせいで誰かの肩が博史に当たり、博史はツリーハウスの出入口から落ちてしまった。
そして、博史が手に持っていたスマートフォンは落ちた弾みで博史の手から離れて落ちた。
博史のスマートフォンは、ジャングルジムの格子に何度もぶつかりながらコンクリートの地面へと落ちた。
博史はジャングルジムのすぐ横にあった砂場に落ちたため、衝撃が砂場に吸収されて、大した怪我がなく無事だった。
博史はすぐに立ち上がり、砂を払うと、すぐにスマートフォンの落ちた場所へと走った。そしてスマートフォンについた土を払い、拾い上げた。
スマートフォンの画面を始め、裏面も案の定傷だらけだった。その上、画面は真っ暗で消えていた。
博史はスマートフォンのホームボタンを押した。何度も何度も。
そのころには、ツリーハウスの中にいたクラスメイトもジャングルジムを降りて、心配と焦りの表情を見せながら博史の周りに集まっていた。
キャップを被ったクラスメイトの一人が心配したような表情で言う。
「……博史君……ケガはない?」
そんな声掛けにも聞く耳を持たない様子で、しばらく博史は黙っていた。そして突然泣き出した。
「……お前らなんてことしてくれたんだよ!!俺がせっかくゲットしたモンスターなのに!!スマホだって壊れたじゃねーか!!」
そう言うと、声をかけてくれたクラスメイトの胸ぐらを掴んだ。
周りにいた他のクラスメイトは、すぐに博史とそのクラスメイトを離した。その弾みで、博史はまた地面に尻餅をついた。
すると博史はしゃがみこみ、また泣き出した。
周りのクラスメイトにはもちろん悪気があったようだが、
「ジャングルジムなんかでやるからだろ」と、言い残して次々と帰っていった。
終いには、捨て台詞を吐かれてしまった。
「こんな泣き虫野郎とは思わなかったよ」
一人残っていたのは一番最初に声をかけてくれたキャップを被ったクラスメイトだった。
「博史君ごめんね……みんな悪気があった訳じゃないから、一緒に帰ろう」
そう言うとそのクラスメイトは博史の背中を優しくさすった。
「うるせぇーー!!どんだけリセマラしたと思ってんだ!!もう壊れて使えないんだぞ」
博史の怒りは爆発し、その少年に怒鳴り散らした。博史は今まで自分が一番の人気者だったのに、今の出来事でクラスメイトが離れてしまったこと、そしてスマートフォンが壊れてしまったこと、たくさんの怒りが溢れ爆発してしまったのだ。
そして起き上がると衝動的にそのクラスメイトを殴ってしまった。
そのクラスメイトはその衝撃で後ろに倒れた。被っていた帽子は後ろに飛んだ。倒れた先には砂場を囲む石の枠があった。最悪なことにそのクラスメイトはそこに頭をぶつけた。倒れたクラスメイトの頭からは血がたくさん出ていた。
博史は大量に流れる血を見て、すぐに怖くなってしまい、ベンチの上に置いてあったランドセルを背負うと、すぐに走って家へと向かってしまった。ベンチの上には倒れたクラスメイトの黒いランドセルだけが一つ置いてあるままだった。
「……ただいま」
「あらお帰り……え、砂だらけじゃないどうしたの?」
博史の母親は心配そうに息子の様子を見ている。
「……砂場で遊んでたから」
博史は呟くようにボソボソとそう言った。
「そう、もうご飯だから早く着替えてらっしゃい」
母親は少し不審に思ったが、子供のことを思いそう言った。
博史は母親の言葉に一回頷くと、2階にある自分の部屋へ行くと、すぐに着替えた。そしてランドセルから壊れたスマートフォンを取り出した。
そして食卓へ向かった。
「お母さん……これ」
そう言うと、母親に画面が割れたスマートフォンを見せた。
母親は何があったのか気になったがあえて聞かずにスマホを受け取った。そして、しばらくその壊れたスマホを操作したあとこう言った。
「大丈夫よ電源が切れてただけだから。それに画面も修理すれば大丈夫よ」
壊れてしまったと思っていたのは博史君の勘違いだった。モンシューのアプリのデータももちろん残っていた。博史君は心から安心した。
博史は食卓の椅子に座った。机の上に並んでいるのは博史の大好物のハンバーグだった。
元気を取り戻した博史がご飯を食べていると、鍵が開く音が聞こえ父親が帰ってきた。
「ただいま」
スーツ姿の父親は玄関に着くなり、迎えにきた母親に黒い鞄を渡した。母親はそれを受け取ると、今度は父親が脱いだスーツの上着を受け取った。
「おかえりなさい」
「そういえばそこの公園から救急車が走ってったぞ」
父親はネクタイをほどきながらそう言うと、玄関の段差を上がり、洗面所へと向かう。
「なにかあったのかしら」
母親は不安な表情を見せてそう言う。
「なんでも、森さん家の息子さんが砂場で血を流して倒れてたそうだ」
父親は帰りに公園にギャラリーが出来ていて、その中の一人に事情を聞いていたのだ。
「大丈夫かしらね……心配だわ……そういえば」
母親はそう言うと食卓へと戻ってきた。
「博史、公園に遊びに行ったのよね、なにか知らない?」
博史は突然思い出した。博史の頭の中はモンシューのデータのことで頭がいっぱいだったのだ。
博史は箸を机に置いて、その後の両親の会話をろくに聞かずに玄関を出て、近くの病院に走っていった。
(森君だったのか……僕が殴ってしまったのは……)
森君は幼稚園の頃からの友達だった。森君だけは博史とずっと一緒にいてくれた。唯一無二の親友だった。
小学5年生で初めて同じクラスになった。それまでの博史は内向的な性格だったため、クラスで馴染めず友達が出来ずにいた。
森君はモンシューでレア度が一番高い☆5のモンスター、オリンポスドラゴンを持っていてクラスで人気者だった。
そして森君は、クラスに馴染めていない博史をみかねて、森君が流行っていたモンシューを教えた。
博史は母さんにねだってスマホを買ってもらった。
博史は寝る間も惜しんでリセマラを繰り返した。そしてようやく☆5のファイナルレッドドラゴンを手にいれた。そこから博史は森君と一緒にクラスの人気者になったのだ。
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