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Teru=Hanswurst
愛は永遠に……。 ②
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私はそのまま後ろを向き、エレベーターへと向かって歩いた。
エレベーターに着くと、私の部屋がある34階へと下がっていった。
そして自分の部屋へ辿り着くと鍵を開けてドアを開いた。
白と黒を基調とした部屋だった。窓のところまで行くとそこから下の景色を見下ろした。歩いている人が米粒のようだった。いつも見ている景色が少し変わったような感じがした。
私は机の上にピエロの仮面と美希から貰ったハート型の箱を置いた。
私は椅子に座った。そしてもう一度ハート型の箱のリボンを外し、蓋を取った。フォンダンショコラが箱の中にはあった。そのフォンダンショコラとプラスチックのスプーン、それと折り畳まれた手紙を机の上に出して置いた。
フォンダンショコラは綺麗な丸い形をしていた。しっかり者の美希らしいなと思った。もしも妹の美優が作っていたならばこんな綺麗な形にはならなかっただろう。
私はスプーンでフォンダンショコラを一口食べた。濃厚なチョコレートの甘みが口いっぱいに広がった。それはとても美味しかった。無我夢中でフォンダンショコラを口に入れていき気づいた時には全て食べ終わっていた。
これが食べられるのはまた来年か、それとも一生食べることが出来ないのだろうかと考えた。もっとゆっくりと味わって食べればよかったと後悔をするが時すでに遅し。
今日食べたこの味を大切にしよう。
私は折り畳まれた手紙を手に取った。そしてその手紙を開いてみた。その手紙を私は噛み締めるようにゆっくりと読んでいく。
ピエロさんへ。
あの時。私が中学校の頃、いじめられて自殺しようと学校の屋上にいた時ピエロさんと出会いましたね。
ピエロさんと話していると何だかとても落ち着いて、気がつけば悩みを打ち明けていました。
ピエロさんは真摯に私の悩みを聞いてくれましたね。そのお陰で私は親友にも恵まれて、自分で言うのもあれですがこんなに立派に今では学級委員を務めるほどに成長しました。
気づけばピエロさんと出会ってピエロさんの特殊なお仕事の手伝いを初めて3年が経ちますね。
本当は今年もバレンタインを作る気はありませんでした。
だけど私の親友2人に後押しされて作ろうと思いました。この2人の親友が出来たのもピエロさんのお陰です。
勝手ですが、両親のいない私にとって、ピエロさんは父親のような存在です。
これからもよろしくお願いします。
私は優しくて面白いピエロさんのことを尊敬していますし、好きです。
美希より。
私の目から自然と涙が落ちてきた。その涙は私の目を洗い流すかのように絶え間なく出ていく。涙を流したのは妻と美優を失った時以来だった。今流している涙が嬉し涙でよかった。
私は手紙が濡れないように折り畳むと机の引き出しの中に大事に保管した。
「何かホワイトデーはお返ししないとな……」
私はそう呟くと涙がこれ以上こぼれ落ちないように上を見上げた。
死神になってしまった私にとって涙はとても大切なものだ。これから先生きることへの希望、死ぬことへの恐怖に涙を流すことはない。
死神になった私の流す涙は全て感情に左右されるものだ。
人の人生の美しさに涙を流す。
人間の優しく暖かい感情に涙を流す。
悲し涙を流すことしたくはない。悲し涙は君が居なくなってしまった時まで大事にとっておこう。
感情のダムをせき止めず、思いのまま感情を溢れさせる。
感情を抑制させる刑事だった私にこれ以上の喜びなどあるのだろうか。
「私は美希のこと愛しているよ……」
これから先、どんな事があろうとも私は君を守っていく。
君が命を失うその時まで私は片時も離れない。
君がこの世界から消えた時私は死を選択してしまうかもしれない。
君は私の生きる希望だ。
私の瞳に映る君の姿は、星のような光輝を放ち暗闇にいる私の道を照らし続けてくれる。
一歩でも踏み外したら終わってしまうこの人生を君のために踏み外さないよう慎重に歩いていこう。
私が君を追い越して、君がこの世界から消えてしまっても君が照らし続けてくれる光跡を私はずっと歩んでいこう。
愛は永遠に……。
エレベーターに着くと、私の部屋がある34階へと下がっていった。
そして自分の部屋へ辿り着くと鍵を開けてドアを開いた。
白と黒を基調とした部屋だった。窓のところまで行くとそこから下の景色を見下ろした。歩いている人が米粒のようだった。いつも見ている景色が少し変わったような感じがした。
私は机の上にピエロの仮面と美希から貰ったハート型の箱を置いた。
私は椅子に座った。そしてもう一度ハート型の箱のリボンを外し、蓋を取った。フォンダンショコラが箱の中にはあった。そのフォンダンショコラとプラスチックのスプーン、それと折り畳まれた手紙を机の上に出して置いた。
フォンダンショコラは綺麗な丸い形をしていた。しっかり者の美希らしいなと思った。もしも妹の美優が作っていたならばこんな綺麗な形にはならなかっただろう。
私はスプーンでフォンダンショコラを一口食べた。濃厚なチョコレートの甘みが口いっぱいに広がった。それはとても美味しかった。無我夢中でフォンダンショコラを口に入れていき気づいた時には全て食べ終わっていた。
これが食べられるのはまた来年か、それとも一生食べることが出来ないのだろうかと考えた。もっとゆっくりと味わって食べればよかったと後悔をするが時すでに遅し。
今日食べたこの味を大切にしよう。
私は折り畳まれた手紙を手に取った。そしてその手紙を開いてみた。その手紙を私は噛み締めるようにゆっくりと読んでいく。
ピエロさんへ。
あの時。私が中学校の頃、いじめられて自殺しようと学校の屋上にいた時ピエロさんと出会いましたね。
ピエロさんと話していると何だかとても落ち着いて、気がつけば悩みを打ち明けていました。
ピエロさんは真摯に私の悩みを聞いてくれましたね。そのお陰で私は親友にも恵まれて、自分で言うのもあれですがこんなに立派に今では学級委員を務めるほどに成長しました。
気づけばピエロさんと出会ってピエロさんの特殊なお仕事の手伝いを初めて3年が経ちますね。
本当は今年もバレンタインを作る気はありませんでした。
だけど私の親友2人に後押しされて作ろうと思いました。この2人の親友が出来たのもピエロさんのお陰です。
勝手ですが、両親のいない私にとって、ピエロさんは父親のような存在です。
これからもよろしくお願いします。
私は優しくて面白いピエロさんのことを尊敬していますし、好きです。
美希より。
私の目から自然と涙が落ちてきた。その涙は私の目を洗い流すかのように絶え間なく出ていく。涙を流したのは妻と美優を失った時以来だった。今流している涙が嬉し涙でよかった。
私は手紙が濡れないように折り畳むと机の引き出しの中に大事に保管した。
「何かホワイトデーはお返ししないとな……」
私はそう呟くと涙がこれ以上こぼれ落ちないように上を見上げた。
死神になってしまった私にとって涙はとても大切なものだ。これから先生きることへの希望、死ぬことへの恐怖に涙を流すことはない。
死神になった私の流す涙は全て感情に左右されるものだ。
人の人生の美しさに涙を流す。
人間の優しく暖かい感情に涙を流す。
悲し涙を流すことしたくはない。悲し涙は君が居なくなってしまった時まで大事にとっておこう。
感情のダムをせき止めず、思いのまま感情を溢れさせる。
感情を抑制させる刑事だった私にこれ以上の喜びなどあるのだろうか。
「私は美希のこと愛しているよ……」
これから先、どんな事があろうとも私は君を守っていく。
君が命を失うその時まで私は片時も離れない。
君がこの世界から消えた時私は死を選択してしまうかもしれない。
君は私の生きる希望だ。
私の瞳に映る君の姿は、星のような光輝を放ち暗闇にいる私の道を照らし続けてくれる。
一歩でも踏み外したら終わってしまうこの人生を君のために踏み外さないよう慎重に歩いていこう。
私が君を追い越して、君がこの世界から消えてしまっても君が照らし続けてくれる光跡を私はずっと歩んでいこう。
愛は永遠に……。
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