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終章
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「この威力なら、アナザデウスに通じるか?」
「……驚いたな。これなら通じるかもしれねぇ」
この威力は、ロシニル卿も予想していなかったようだ。
「まだ第四の眼の魔力を三分の一程しか使っていない。一気に全解放すれば、これより強い威力を出せる」
レイが言った。
「この威力の魔法は、もはや戦術級と言えるだろう。それにしても、エルザと第四の眼は相性がいいみたいだね。私も驚いたよ」
「戦術級ってなんだ?」
「レガシー級から中級アーティファクトまでをそう呼んだりする。ちなみに上級以上のアーティファクトは戦略級と呼ぶよ」
「へぇ」
「未熟な使い手じゃ事故起こすんじゃねえか?」
と、バードのサイシュが腕を組んで言った。
「私は未熟じゃない」
と、エルザは短く言葉を返す。
ロシニルがエルザに言った。
「ひとまずお前さん、その魔法のことは誰にも言うな。お前らも口外禁止だ。分かったな」
「「はーい」」
「悪魔に知られたら、お前さんの命が狙われるかもしれないからな」
「メザイアとエメルには話しておきたい。私の力になってくれる」
「じゃあ、今はその二人だけにしておきな」
エルザは頷く。
「ゾル、私はしばらくここで訓練する。ロシニル卿に指導をお願いしたい」
「構わねぇよ」
ゾルは頷く。
「分かった」
レイが言った。
「ゾルの新技も見てみたいんだけど」
「分かりました。レイ様」
「サイシュ、相手をしてみてくれない?」
「おお、いいぜ」
「バードなんかが相手になるのか?」
と、エルザが辛辣な台詞を吐いた。
「バードを舐めるんじゃねぇぞ、コラ! どんだけ強いか見せてやるよ!」
サイシュを怒らせてしまったようだ。
闘神憑依は闘神解放の一段上の技だ。使用時間は闘神解放と合わせて五分である。
「闘神憑依」
ゾルがこの技を使えるようになったのは、エルザのアドバイスを受けて訓練したからだった。気持ちのコントロールが重要で、できる限り心を沈める必要がある。
気持ちのコントロールは、ソーサラーは非常に巧みだ。
エルザもこう見えて上手い。
心の持ちようを変えると、戦闘の方法も変わる。
いつもは後手から戦うことを好むゾルだが、この技を使用している時は自ら積極的に攻撃を行う。
この技はゾルの絶望が引き金になり発現した。
技を使うには気持ちをコントロールして、擬似的に絶望状態を再現しなくてはいけない。
深く暗い精神の檻に自分を閉じ込めるイメージ。
その心境にハマった時、ゾルは他の一切を忘れる。
どんなに優れた戦士でも攻撃を受ければ体が自然と防御するために動く。
危険が迫れば、反射的に体が逃げようとする。
だが絶望の状態に陥った時、そうした防御反応は働かなくなる。
それは頭の中に一切の邪念も雑念もない、無、に近い状態と言える。
もちろんエンキから与えられた力であるため特殊能力が付与される。
ヘイスト効果と筋力、耐久力、俊敏力の大幅な向上の他に、飛行能力、魔法消去、魔法除去、全ての魔法属性やブレス、毒への完全耐性、通常武器でのダメージ無効、超視覚などだ。
ほぼ無敵状態と言える。
ただ精神のコントロールに失敗すると、闘神憑依から闘神解放へと技が切り替わってしまう。
「……俺の知ってるウォーロックとちげぇな。バトル・ミュージック!」
サイシュが楽器を弾く。
バードの奏でる音は色々な効果を発揮する。楽器の音が、増幅されて広い範囲に響き渡る。
サイシュは自身の能力を上げたようだった。
「行くぞ、オラァ!」
と、サイシュは魔法剣を抜き斬りかかる。
だが目にも留まらぬ速さでゾルはサイシュの背後に回り、鞘に納めたままのロングソードで胴をなぎ払った。
サイシュは宙を舞い、湖に落下。水しぶきを上げた。
ゾルは闘神憑依を解く。
湖から戻ってくるサイシュにゾルは頭を下げた。
「すみません、この状態だと手加減ができないんです」
彼は先輩だ。年齢もゾルより年上だ。三十後半くらいだろうか。稽古のようなものとはいえ謝っておいた方がいい。
「あー、そうかよ。まぁ、実力を見るのが目的だからな。気にすんな」
サイシュのテンションは低い。
ずぶ濡れだから、それも仕方ないが。
「ゾルもだいぶ腕を上げたね」
と、レイ。
「いえ、まだまだです。ただエンキの石碑を数カ所見つけられましたので、半年前に比べると能力値が上がっていると思います」
「実際に見てはっきり分かったよ。半年でオリハルコンランクに昇格できた理由が」
ゾルは頭を搔く。
「俺たちも納得した」
と、サイオニックのモースが言った。
「古代魔法の使い手と古代神の契約者のコンビとは」
と、ローグのヘルム。
「頼もしい奴等だぜ」
と、サイシュ。くしゃみをしていた。
エルザとゾルはロシニルの指導の下訓練を続けた。
色々な知識を授かり、古代魔法についての理解を深めた。
たまにシガル村に帰り、ディエロ司祭にコミューンで分かったことなどを聞いた。
ガーネット宮殿にも赴き、皇帝に現状の報告や時勢についての話を聞いた。
気になっていたエルキア王についても皇帝から聞くことができた。
エルキア王は王弟であるニール公の死に、一時は深い悲しみに沈んでいたという。
だが悪魔のロッドにまで手を出し戦争を終わらせようとした公の意思を無駄にしないために、王は自ら動き出した。
エルキア王は王太子に王位を譲位し、政務を引き継がせた。
その後一部の家臣を率いてデバルク森林に踏み込んだそうだ。
デバルク森林とその中央に聳えるティアード山脈には古い遺跡が手つかずで残されている。
この遺跡を探索しアーティファクトを手に入れることがエルキア王の目的である。
この遺跡探索には神殿も協力しているため、ニール公のような事態にはならないだろうと皇帝は話していた。
エルキア王、今は前王と呼ぶべきだが、彼はニール公を救えなかった自身に責任を感じている。
重い腰を上げ、自分が陣頭に立つことで遺跡の探索を終わらせようとしていた。
あえて息子に譲位したのは死ぬ覚悟があるからだろう。だがアーティファクトなどの強力なアイテムを見つけられれば、裏に悪魔がいたとしてもこの戦争を終結させることができると考えているようだ。
ちなみに、エルザがニール公を殺害した件は、神殿の巧みな駆け引きと説得により、罪を問われずに済んだという。
悪いのはニール公だろ。
と、エルザは思う。
ニール公が麝教と繋がっていた話なども、民衆には隠しておくみたいだし。
おかしいだろ。
それは善と言えるのか?
教皇は「この件は五十年後に公表します」と話しているそうだ。
「……驚いたな。これなら通じるかもしれねぇ」
この威力は、ロシニル卿も予想していなかったようだ。
「まだ第四の眼の魔力を三分の一程しか使っていない。一気に全解放すれば、これより強い威力を出せる」
レイが言った。
「この威力の魔法は、もはや戦術級と言えるだろう。それにしても、エルザと第四の眼は相性がいいみたいだね。私も驚いたよ」
「戦術級ってなんだ?」
「レガシー級から中級アーティファクトまでをそう呼んだりする。ちなみに上級以上のアーティファクトは戦略級と呼ぶよ」
「へぇ」
「未熟な使い手じゃ事故起こすんじゃねえか?」
と、バードのサイシュが腕を組んで言った。
「私は未熟じゃない」
と、エルザは短く言葉を返す。
ロシニルがエルザに言った。
「ひとまずお前さん、その魔法のことは誰にも言うな。お前らも口外禁止だ。分かったな」
「「はーい」」
「悪魔に知られたら、お前さんの命が狙われるかもしれないからな」
「メザイアとエメルには話しておきたい。私の力になってくれる」
「じゃあ、今はその二人だけにしておきな」
エルザは頷く。
「ゾル、私はしばらくここで訓練する。ロシニル卿に指導をお願いしたい」
「構わねぇよ」
ゾルは頷く。
「分かった」
レイが言った。
「ゾルの新技も見てみたいんだけど」
「分かりました。レイ様」
「サイシュ、相手をしてみてくれない?」
「おお、いいぜ」
「バードなんかが相手になるのか?」
と、エルザが辛辣な台詞を吐いた。
「バードを舐めるんじゃねぇぞ、コラ! どんだけ強いか見せてやるよ!」
サイシュを怒らせてしまったようだ。
闘神憑依は闘神解放の一段上の技だ。使用時間は闘神解放と合わせて五分である。
「闘神憑依」
ゾルがこの技を使えるようになったのは、エルザのアドバイスを受けて訓練したからだった。気持ちのコントロールが重要で、できる限り心を沈める必要がある。
気持ちのコントロールは、ソーサラーは非常に巧みだ。
エルザもこう見えて上手い。
心の持ちようを変えると、戦闘の方法も変わる。
いつもは後手から戦うことを好むゾルだが、この技を使用している時は自ら積極的に攻撃を行う。
この技はゾルの絶望が引き金になり発現した。
技を使うには気持ちをコントロールして、擬似的に絶望状態を再現しなくてはいけない。
深く暗い精神の檻に自分を閉じ込めるイメージ。
その心境にハマった時、ゾルは他の一切を忘れる。
どんなに優れた戦士でも攻撃を受ければ体が自然と防御するために動く。
危険が迫れば、反射的に体が逃げようとする。
だが絶望の状態に陥った時、そうした防御反応は働かなくなる。
それは頭の中に一切の邪念も雑念もない、無、に近い状態と言える。
もちろんエンキから与えられた力であるため特殊能力が付与される。
ヘイスト効果と筋力、耐久力、俊敏力の大幅な向上の他に、飛行能力、魔法消去、魔法除去、全ての魔法属性やブレス、毒への完全耐性、通常武器でのダメージ無効、超視覚などだ。
ほぼ無敵状態と言える。
ただ精神のコントロールに失敗すると、闘神憑依から闘神解放へと技が切り替わってしまう。
「……俺の知ってるウォーロックとちげぇな。バトル・ミュージック!」
サイシュが楽器を弾く。
バードの奏でる音は色々な効果を発揮する。楽器の音が、増幅されて広い範囲に響き渡る。
サイシュは自身の能力を上げたようだった。
「行くぞ、オラァ!」
と、サイシュは魔法剣を抜き斬りかかる。
だが目にも留まらぬ速さでゾルはサイシュの背後に回り、鞘に納めたままのロングソードで胴をなぎ払った。
サイシュは宙を舞い、湖に落下。水しぶきを上げた。
ゾルは闘神憑依を解く。
湖から戻ってくるサイシュにゾルは頭を下げた。
「すみません、この状態だと手加減ができないんです」
彼は先輩だ。年齢もゾルより年上だ。三十後半くらいだろうか。稽古のようなものとはいえ謝っておいた方がいい。
「あー、そうかよ。まぁ、実力を見るのが目的だからな。気にすんな」
サイシュのテンションは低い。
ずぶ濡れだから、それも仕方ないが。
「ゾルもだいぶ腕を上げたね」
と、レイ。
「いえ、まだまだです。ただエンキの石碑を数カ所見つけられましたので、半年前に比べると能力値が上がっていると思います」
「実際に見てはっきり分かったよ。半年でオリハルコンランクに昇格できた理由が」
ゾルは頭を搔く。
「俺たちも納得した」
と、サイオニックのモースが言った。
「古代魔法の使い手と古代神の契約者のコンビとは」
と、ローグのヘルム。
「頼もしい奴等だぜ」
と、サイシュ。くしゃみをしていた。
エルザとゾルはロシニルの指導の下訓練を続けた。
色々な知識を授かり、古代魔法についての理解を深めた。
たまにシガル村に帰り、ディエロ司祭にコミューンで分かったことなどを聞いた。
ガーネット宮殿にも赴き、皇帝に現状の報告や時勢についての話を聞いた。
気になっていたエルキア王についても皇帝から聞くことができた。
エルキア王は王弟であるニール公の死に、一時は深い悲しみに沈んでいたという。
だが悪魔のロッドにまで手を出し戦争を終わらせようとした公の意思を無駄にしないために、王は自ら動き出した。
エルキア王は王太子に王位を譲位し、政務を引き継がせた。
その後一部の家臣を率いてデバルク森林に踏み込んだそうだ。
デバルク森林とその中央に聳えるティアード山脈には古い遺跡が手つかずで残されている。
この遺跡を探索しアーティファクトを手に入れることがエルキア王の目的である。
この遺跡探索には神殿も協力しているため、ニール公のような事態にはならないだろうと皇帝は話していた。
エルキア王、今は前王と呼ぶべきだが、彼はニール公を救えなかった自身に責任を感じている。
重い腰を上げ、自分が陣頭に立つことで遺跡の探索を終わらせようとしていた。
あえて息子に譲位したのは死ぬ覚悟があるからだろう。だがアーティファクトなどの強力なアイテムを見つけられれば、裏に悪魔がいたとしてもこの戦争を終結させることができると考えているようだ。
ちなみに、エルザがニール公を殺害した件は、神殿の巧みな駆け引きと説得により、罪を問われずに済んだという。
悪いのはニール公だろ。
と、エルザは思う。
ニール公が麝教と繋がっていた話なども、民衆には隠しておくみたいだし。
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