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第四章
第24話【現在】魔法、あるいは本質
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昨日は本当に大変だった。寝たはずなのに疲れが取れていない気がする。
くわあ、とあくびを噛み殺した。
何が大変だったかと言うと、モーリスと別れて家に入った後、着替えを手伝う侍女が右腕にくっきりと残る手のあざを目ざとく見つけてしまった。
陛下が私に位置情報と盗聴魔法をかけた時にぎゅう、と握った箇所がはっきりとあざになっていたのだ。
紫色に変色しているそれは、呪いのようにも思えてちょっとゾッとした。
ウィル、リアムお兄様たちが「戦じゃ戦じゃー!」と踊りだし、落ち着きを取り戻していたはずのユリスお兄様でさえ「父上たちに連絡をして内乱の準備を……」とか不穏なことを言い出した。
そのせいで私はまた、いかにお兄様たちが大切で大好きか、もしその命が失われたら……という事を涙混じりに語らなければいけなかったのだった。
前世で騎士だった私は思うのだ。革命とか、内乱とか、戦いなんてものはないほうが良い。
妹が傷つけられた、その程度の理由で起こっていい戦いなんてない。
……これ、陛下も聞いてるよね。恥ずかしい。
と思いながらも、戦いを避けるために夜遅くまで泣き脅しをしていた。
これ以上陛下が何もしてこないといいけれど……。と思っていたが、どうやら叶わぬ望みになりそうだ。
次の日、こちらを見てやたらニコニコしている陛下がいたからだ。ーー魔法の授業が行われる教室に。
貴族学校は三年生である。一年目は基本的なこと――貴族として必要な教養、魔法学基礎などを学ぶ。
二年、三年生は専門の科目に分かれる。内政、外交、戦闘、家庭、法律、魔法、商業など、自分の将来に応じて取りたい科目を受講する形式だ。
「魔法基礎」のクラスは最初は全員同じ内容を学ぶ。一番大きな講堂に全員が集められ、「魔法」とは何かを学ぶのだ。
講堂には人数分の椅子が並べられ、舞台には魔法の授業を担当する先生と、モーリス、そして、――こちらをやけにニコニコしながら見る陛下がいた。
保険医のモーリスがいるのは変だな?と思ったけど、それどころじゃなかった。
学園総帥が入学したばかりの学生の授業を見学しに来る。明らかにおかしい。
先生たちもちょっと気まずそうにしている。
『魔法の本質――それは「かくあるべし」という想像と意志の力だ。』
魔法教科担当の先生が、そんなことを話し始める。
なるほどなー、制限型の魔法使いは、こうして「かくあるべし」という意志を教育によって根底に宿すことで、魔法が使えるようになるのか。
「魔法」とは何か、「魔力」が「魔法」になるために必要な要素、そして、魔法使いの系統。
『魔法使いのあり方は、大きく三つの系統に分けられている。
ひとつは、制限型。
彼らは、生まれながらに「扱える魔力の量」に上限を課されており、いかに効率よく魔力を運用するかが肝となる。
制限型の魔法使いは、訓練によって魔力量の増加は可能とされているが、その上限は、魔力器官の質や精神的な構造によって左右される。
この制限型は、さらに二つの性質に分類される。
ひとつは〈短期制限型〉。
一日に使える魔力量が定められており、時間経過によって魔力が自然に回復していくタイプ。
もうひとつは〈累積制限型〉。
一生のうちに使える魔力量が決まっており、それを使い切ってしまうと、二度と魔法を使うことはできないタイプ』
これ聞いた気がする。
「毎日コップに水が溜まっていくタイプ」が短期制限型で、「池に溜まった水を使うタイプ」が累積制限型だってベンジャミンが言ってた気がする。
誰もが退屈そうにしている。中には寝ている人もいて、真剣に聞いている人は数少ない。
きっと学校に入学する前に家族から教えてもらっていたのだろう。
『続いて、コスト型――ごく稀に現れる異端の魔法使い。』
コスト型の魔法使い、前世の私の系統。思わずページを捲る手が止まる。
『制限という概念を持たず、かわりに“代償”を支払って魔力を生み出す。
代償の質と量は、発動される魔法の規模に比例する。
生まれながらにして高度な魔法制御が可能で、訓練すら必要としない。』
教科書を読んでの説明はこれで終わりらしい。
ベンジャミンにふわっとした説明を受けたことはあったけれど、体系立てた説明を受けたことが無いから楽しい。
なるほど、これが学校か。
「これからモーリス先生に皆さんの魔力を測定してもらいます。
モーリス先生はこの国でも貴重な魔力鑑定魔法をお持ちの先生です。
みなさんがどの系統なのか、本人に適正のある魔法がすでに発現している場合にはそれも教えてくださいます」
だから保健室の先生であるモーリスが魔法の授業にいたのか、と納得。
モーリスは講堂の最前列に設置された机に座っていた。隣にはポーションが箱で準備されている。
……ポーションでドーピングしながら新入生全員の魔力鑑定するのか。
昨日飲んだあの甘いポーションの味を思い出してしまった。口の中がよだれでいっぱいになる。
きっとモーリスにとって一年で一番たいへんな一日になるに違いない。
後で私もなにか差し入れしようかな。塩辛いものとか。
新入生たちが続々とモーリスの机の前に並ぶ。
「なんで見て貰う必要があるんだろう?」
「コスト型を早めに見つけるためでしょ。代償によっては命に関わるんだから、魔法を使わせないようにしたり、工夫したり、カリキュラムに調整が必要じゃない」
行列に並びつつ、皆はぺちゃくちゃとおしゃべりをしている。
「アリアナ様がコスト型の魔法使いで有名になる前は、コスト型の魔法使いの存在って殆ど知られてなかったからね。気づいたときには致命的なダメージを負ってたってことがよくあったらしいよ」
「うちの国ってホントアリアナ様に救われてるところあるよねー」
「適正も早いうちに分かっておいたほうが余計な練習も少なくてすむからここで見るんだって」
「私、アリアナ様みたいにコスト型だったらどうしよう!」
……どうやら昨日、私が倒れた後に仲良しグループが確立されつつあるらしい。
……別に悲しくはない。これから友達いっぱい作るもん。
「アンタは制限型、短期。次、制限、短期。次、制限、累積……」
ひよこのオスメスの振り分けってこんな感じでやってるんだろうな。という感じの作業。
多分制限型だろうな、という予想はあった。
というのも、もしも私が珍しい系統や特質を持っていた場合、昨日の時点でモーリスが言ってるはずだ。
『アンタ……今生でも苦労しそうね……』
と困った顔をして笑うモーリスの顔が目に浮かぶ。
続いて私の番がやってきた。
「制限型、短期」
そう言ってモーリスが嬉しそうに笑った。ように見えた。
そのあとまた鬼気迫る形相で生徒たちの分類に戻っていたけど。
予想通りだった。分かってはいたけれど明言されてちょっとホッとした。
私のしばらく後ろで、「制限型、短期、……氷雪魔法」と適正が発現している事を告げるモーリスの声とともに、まわりから歓声が湧いた。
前世では血液操作に適正があったからそうした。
今回、私の得意魔法は何になるんだろう。いや、何を選ぶんだろう。
なにかヒントがあるかな。席に戻ったら教科書を読もう。
くわあ、とあくびを噛み殺した。
何が大変だったかと言うと、モーリスと別れて家に入った後、着替えを手伝う侍女が右腕にくっきりと残る手のあざを目ざとく見つけてしまった。
陛下が私に位置情報と盗聴魔法をかけた時にぎゅう、と握った箇所がはっきりとあざになっていたのだ。
紫色に変色しているそれは、呪いのようにも思えてちょっとゾッとした。
ウィル、リアムお兄様たちが「戦じゃ戦じゃー!」と踊りだし、落ち着きを取り戻していたはずのユリスお兄様でさえ「父上たちに連絡をして内乱の準備を……」とか不穏なことを言い出した。
そのせいで私はまた、いかにお兄様たちが大切で大好きか、もしその命が失われたら……という事を涙混じりに語らなければいけなかったのだった。
前世で騎士だった私は思うのだ。革命とか、内乱とか、戦いなんてものはないほうが良い。
妹が傷つけられた、その程度の理由で起こっていい戦いなんてない。
……これ、陛下も聞いてるよね。恥ずかしい。
と思いながらも、戦いを避けるために夜遅くまで泣き脅しをしていた。
これ以上陛下が何もしてこないといいけれど……。と思っていたが、どうやら叶わぬ望みになりそうだ。
次の日、こちらを見てやたらニコニコしている陛下がいたからだ。ーー魔法の授業が行われる教室に。
貴族学校は三年生である。一年目は基本的なこと――貴族として必要な教養、魔法学基礎などを学ぶ。
二年、三年生は専門の科目に分かれる。内政、外交、戦闘、家庭、法律、魔法、商業など、自分の将来に応じて取りたい科目を受講する形式だ。
「魔法基礎」のクラスは最初は全員同じ内容を学ぶ。一番大きな講堂に全員が集められ、「魔法」とは何かを学ぶのだ。
講堂には人数分の椅子が並べられ、舞台には魔法の授業を担当する先生と、モーリス、そして、――こちらをやけにニコニコしながら見る陛下がいた。
保険医のモーリスがいるのは変だな?と思ったけど、それどころじゃなかった。
学園総帥が入学したばかりの学生の授業を見学しに来る。明らかにおかしい。
先生たちもちょっと気まずそうにしている。
『魔法の本質――それは「かくあるべし」という想像と意志の力だ。』
魔法教科担当の先生が、そんなことを話し始める。
なるほどなー、制限型の魔法使いは、こうして「かくあるべし」という意志を教育によって根底に宿すことで、魔法が使えるようになるのか。
「魔法」とは何か、「魔力」が「魔法」になるために必要な要素、そして、魔法使いの系統。
『魔法使いのあり方は、大きく三つの系統に分けられている。
ひとつは、制限型。
彼らは、生まれながらに「扱える魔力の量」に上限を課されており、いかに効率よく魔力を運用するかが肝となる。
制限型の魔法使いは、訓練によって魔力量の増加は可能とされているが、その上限は、魔力器官の質や精神的な構造によって左右される。
この制限型は、さらに二つの性質に分類される。
ひとつは〈短期制限型〉。
一日に使える魔力量が定められており、時間経過によって魔力が自然に回復していくタイプ。
もうひとつは〈累積制限型〉。
一生のうちに使える魔力量が決まっており、それを使い切ってしまうと、二度と魔法を使うことはできないタイプ』
これ聞いた気がする。
「毎日コップに水が溜まっていくタイプ」が短期制限型で、「池に溜まった水を使うタイプ」が累積制限型だってベンジャミンが言ってた気がする。
誰もが退屈そうにしている。中には寝ている人もいて、真剣に聞いている人は数少ない。
きっと学校に入学する前に家族から教えてもらっていたのだろう。
『続いて、コスト型――ごく稀に現れる異端の魔法使い。』
コスト型の魔法使い、前世の私の系統。思わずページを捲る手が止まる。
『制限という概念を持たず、かわりに“代償”を支払って魔力を生み出す。
代償の質と量は、発動される魔法の規模に比例する。
生まれながらにして高度な魔法制御が可能で、訓練すら必要としない。』
教科書を読んでの説明はこれで終わりらしい。
ベンジャミンにふわっとした説明を受けたことはあったけれど、体系立てた説明を受けたことが無いから楽しい。
なるほど、これが学校か。
「これからモーリス先生に皆さんの魔力を測定してもらいます。
モーリス先生はこの国でも貴重な魔力鑑定魔法をお持ちの先生です。
みなさんがどの系統なのか、本人に適正のある魔法がすでに発現している場合にはそれも教えてくださいます」
だから保健室の先生であるモーリスが魔法の授業にいたのか、と納得。
モーリスは講堂の最前列に設置された机に座っていた。隣にはポーションが箱で準備されている。
……ポーションでドーピングしながら新入生全員の魔力鑑定するのか。
昨日飲んだあの甘いポーションの味を思い出してしまった。口の中がよだれでいっぱいになる。
きっとモーリスにとって一年で一番たいへんな一日になるに違いない。
後で私もなにか差し入れしようかな。塩辛いものとか。
新入生たちが続々とモーリスの机の前に並ぶ。
「なんで見て貰う必要があるんだろう?」
「コスト型を早めに見つけるためでしょ。代償によっては命に関わるんだから、魔法を使わせないようにしたり、工夫したり、カリキュラムに調整が必要じゃない」
行列に並びつつ、皆はぺちゃくちゃとおしゃべりをしている。
「アリアナ様がコスト型の魔法使いで有名になる前は、コスト型の魔法使いの存在って殆ど知られてなかったからね。気づいたときには致命的なダメージを負ってたってことがよくあったらしいよ」
「うちの国ってホントアリアナ様に救われてるところあるよねー」
「適正も早いうちに分かっておいたほうが余計な練習も少なくてすむからここで見るんだって」
「私、アリアナ様みたいにコスト型だったらどうしよう!」
……どうやら昨日、私が倒れた後に仲良しグループが確立されつつあるらしい。
……別に悲しくはない。これから友達いっぱい作るもん。
「アンタは制限型、短期。次、制限、短期。次、制限、累積……」
ひよこのオスメスの振り分けってこんな感じでやってるんだろうな。という感じの作業。
多分制限型だろうな、という予想はあった。
というのも、もしも私が珍しい系統や特質を持っていた場合、昨日の時点でモーリスが言ってるはずだ。
『アンタ……今生でも苦労しそうね……』
と困った顔をして笑うモーリスの顔が目に浮かぶ。
続いて私の番がやってきた。
「制限型、短期」
そう言ってモーリスが嬉しそうに笑った。ように見えた。
そのあとまた鬼気迫る形相で生徒たちの分類に戻っていたけど。
予想通りだった。分かってはいたけれど明言されてちょっとホッとした。
私のしばらく後ろで、「制限型、短期、……氷雪魔法」と適正が発現している事を告げるモーリスの声とともに、まわりから歓声が湧いた。
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