ゴーストクローバー

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緑の書 第1章

3話 悪魔の印

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黒いハートの印を持つ者は、悪魔に気に入られた証。
 誰よりも欲深く、何を失おうとも欲望一心に歩む者。
 どんな壁が立ちはだかろうが、対価をいただいた悪魔が払いのけるだろう。

 そして最後は、人の形をした何かに変貌した化物が鎮座する。

 ーーーーー

 ココアは軍人の前に姿を現すと、軍人は一斉に銃を構える。
 幼気な少女に対し、軍人3名が警戒する様は、側から見ればおかしいだろう。

 少女が印持者でなければ…

 「ᛋᛟᚢᛚ ᚱᛖᛚᛖᚨᛋᛖ」

 ココアが不思議な言葉を発すると、軍人はすぐさま彼女に目掛けて発砲する。

 彼女は数発弾丸に貫かれるが倒れなかった。
 それどころか、撃たれた箇所がゆっくりと再生していくのだ。

 軍人は少し驚くが、続けて発砲する。
 マガジンが空になると、すぐに交換して引き金を引く。

 しかし、ココアは何事もないように貫かれた傷を再生してゆっくりと近づき、お互いの距離が5mくらいに達すると、彼女は右手で軍人達の首を切り裂いた。
 よく見ると、彼女の右手は剣のような刃物になっており、人間の首を容易く切り裂けることから、切れ味がいいことが分かる。

 さらに驚くことが起きる。
 返り血で赤く染まった白いポンチョがだんだん元の色に戻るのだ。
 まるで、血で染まった汚れなどなかったかのように…

 「ᛋᛟᚢᛚ ᛋᛖᚨᛚ」

 服が綺麗になったあと、彼女はそう言い右手の刃が変形して元の手に戻る。

 「mission complete。ココアは150の経験値を得た」

 俺の方へ戻ってきた後、決めポーズを取りよく分からないこと喋る。
 とても、人を殺した後とは思えない狂気に恐怖を感じた。

 「絶対殺さないといけなかったのか?」

 俺がそういうと、彼女は不思議そうな顔をする。
 
 「だって今やらないと、他の罪なき人が死ぬんだよ? それに見たでしょ、私を容赦なく撃ったでしょ。正当防衛♪ 正当防衛♪」

 彼女は人を殺したことなど気にも留めず、ゆっくりと歩き始めた。

 ロギエ軍は印持者とやらを追いかけて、今見たように殺すのだろう。
 それは今見て理解した。
 俺もアイツらに見つかったら殺される。

 それに彼女の見せた不可解な現象。
 弾丸に貫かれてもびくともせず、手を刃物に変えて切り裂き、返り血も数秒で無かったことにする。

 これが印持者の能力だというなら、殺されないとしても、捕まえられるのが普通だ。
 こんな不思議模様があるだけで、人間が殺人兵器に早変わりするのだから。
 
 「早く行かないとまた追手が来ちゃうよぉ~。それとも、カッコいい私に惚れちゃってまた見たいの?」

 俺が立ち止まってるのを見て、彼女は両手で口を押さえながらニヤけてる。

 さっきまでならただの変人だったのに、今じゃサイコパスな殺人鬼にしか見えない。

 「俺もさっきココアみたいなこと出来るのか?」

 もし俺もあんなことが出来たなら、早めにどう扱えるのか知っておかないといけないと思った。
 
 「そんなの無理に決まってるじゃん。キリルさんがどんな能力か知らないけど、印の模様が別だし、同じ事は無理だよ」

 「そうか…なら近いしいことはできるのか」

 彼女は不思議な言葉を発していた。
 おそらく、それが能力を扱う鍵となるのだろう。

 「それは分からないよ。人によって能力は変わるし…私が変に戦闘特化してるからね。もしかして印持者になって浅いから分からないの?」

 俺は頷くと彼女はニヤけたあと、ふふーんの鼻息を出した。
 鼻が高くなったような気がする。

 「それじゃあゴールに着くまで、印持者について説明してしんぜよう!」

 彼女は意気揚々とそう言う。
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